男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

文字の大きさ
109 / 109
小話・季節ネタなど(後書き手の呟きとか)

2023/7/7 七夕

しおりを挟む
※時系列を気にしたら負けです

「七夕って何、ジャス君?」

「何だ七夕を知らないのか?織姫様と彦星が年に1回会える日だよ」

 織姫には様を付けて彦星を呼び捨てにする当たり、ジャスミンは今日も女性至上主義である。
 お伽噺でも女性至上主義らしい。

「何で年に1回しか会えないの?」

「それはだな――――」

 ☆七夕☆

 「織姫と彦星」 昔々、天の川のそばには天の神様が住んでいました。
 天の神様には、一人の娘がいました。
 名前を織姫と言いました。
 織姫は機を織って、神様たちの着物を作る仕事をしていました。織姫がやがて年頃になり、天の神様は娘に、御婿さんをむかえてやろうと思いました。
 色々探して見つけたのが、天の川の岸で天の牛を飼っている、彦星という若者です。
 彦星は、とても立派な若者でした。織姫も、かがやくばかりに美しい娘です。
 二人は相手を一目見ただけで、好きになりました。
 二人は結婚して、楽しい生活を送るようになりました。
 でも、仲が良過ぎるのも困りもので、二人は仕事を忘れて、遊んでばかりいるようになったのです。
 すると、天の神様のもとへ、皆が文句を言いに来るようになりました。
 「織姫が機織りをしないので、皆の着物が古くてボロボロです。
 早く新しい着物を作って下さい」「彦星が世話をしないので、牛たちが病気になってしまいます」神様は、すっかり怒ってしまい「二人は天の川の、東と西に別れて暮らすがよい」と、言って、織姫と彦星を、別れ別れにしたのです。
 でも天の神様は、織姫があまりにも悲しそうにしているのを見て、こう言いました。
 「一年に一度だけ、七月七日の夜だけ、彦星と会ってもよろしい」 それから、一年に一度会える日だけを楽しみにして、織姫は毎日、一生懸命に機を織りました。
 天の川の向こうの彦星も、天の牛を飼う仕事に精を出しました。そして、待ちに待った七月七日の夜、織姫は天の川を渡って、彦星の所へ会いに行きます。

「―――――と言う話しだ」

「天の神様酷い!僕ならオグリに乗ってルーシュに毎日会いに行くよ!」

「アンドュ様が毎日訪ねてくれるのは申し訳ないので週の半分は私がルインで向かいますね」

「リア充爆発しろ、男だけ」

 ジャスミンの眼が死んでいる。
 今のジャスミンには己の織姫が居ないのだ。
 つい最近フラれたばかりである。

「貴方は私が特別好きなんじゃなくて女なら誰でも良いんでしょ!たまたま私が近くに居たから私を選んだに過ぎないわ。どの女にも優しくするあなたの隣にずっと居るなんて私耐えられない、別れましょう!!」

 3日前の話である。
 その日ジャスミンは幼馴染の騎士団長に酒に付き合わせて1日泣いていたのだと言う。
 合掌。

「でもジャス君はオグリもルインもいないしどうやって織姫さんに会いに行くの?」

「俺は運命の人と引き裂かれそうになったらその女性と逃げる!戦わない!争わない!敵前逃亡上等!運命の女性は知らぬ土地でも不便の内容絶対に幸せにして見せる!!」

 グッ、とジャスミンが拳を握る。

「逃げるかぁ、僕思いつかなかったや」

「ジャスミンさんなら逃げ通せそうですね。でも一緒に逃亡するなら女性の方も体力合う人の方が良いですよね?」

「そうだね!強い女の人が良いね!」

「強い女性か…何処かに居るのだろうか俺の運命の人は………」

「きっとすぐ出会えるよ~ジャス君格好良いもん」

「確かにジャスミンさんは良い旦那様になりそうですね」

「褒めても何も出んぞ、ルーシュちゃんにはプリンを御馳走してあげよう」

「僕は?」

「アンドュは自分で買え」

「じゃぁ違うデザート選ぶから半分こしようねルーシュ♡」

「こいつら息をするようにイチャつきやがる…天然のリア充、厄介だな………」

 はぁ、とジャスミンは溜息をついて、2人を伴って食堂に向かった。
 自分も別のデザートを頼んで3人でシェアしようと思いながら。
しおりを挟む
感想 197

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(197件)

いぬぞ~
2025.08.20 いぬぞ~
ネタバレ含む
2025.08.20 高井繭来

ワンコの魅力に皆が気付かないかルーシュはヒヤヒヤです。

セブンも庇護欲湧くでしょうね。
オウマも当然可愛いと思う筈です(*´▽`*)

解除
いぬぞ~
2024.11.05 いぬぞ~
ネタバレ含む
2024.11.05 高井繭来

保護犬の見えない尻尾が審査員には見えていると思います。
頑張れ保護犬!
今日の君は帝国の皇太子なんだ!
ルーシュが隣に居るかと言ってワンコモードに入ってはならんぞ!

コンテストの後でルーシュの前で無茶苦茶尻尾フリフリの保護犬モードに変わると思います(*´▽`*)

解除
いぬぞ~
2024.10.09 いぬぞ~
ネタバレ含む
2024.10.09 高井繭来

全能神も2人しかいない心友失いたくないですからね(笑)
引っ掻き回すけれど、最後の一線を越える行いはしません。
ワンコも大事だし、ルーシュも心友だし、実際は1番ヤキモキしているの全能神かも?
早く2人が結ばれれば良いのにな~( *´艸`)

解除

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。