上 下
73 / 140
第10章 新緑の森

第71話 時間が止まった時計の世界

しおりを挟む
「入ってみよう」
 マコトたちは旅の扉に入った。

「ここは……」
「お兄ちゃん、怖いよ」
 リリアが袖を掴む。

「まるで、時間が止まったようですね」
 サミエルがびっくりする。
「止まったようじゃなくて、止まってるんだろうな」

「どうすれば、元に戻るの?」
 ミアが聞く。
「操ってるやつがいるはずだ。時間を止めるな」
「そいつを倒せばいいのか?」
 ウンディーネが聞く。
「と、思うけどな」

「でも、そいつはどこにいるの?」
 ラミアが聞く。
「どこかにダンジョンがあるはず」
「探してみようよ」
 サメエルが袖を引っ張る。というより、胸を押し付けている。

「マコト?」
 ラミアが睨む。
「なにもしてないだろう」
「嘘。サメエルの胸、見たいとか思ったんでしょ?」
「脱ぎましょうか?」
「いや、殺される」

「とりあえず、中を探しましょう」
 マコトたちは中をぐるぐる探すが、なにも見つからなかった。
「おかしいな」

「民家の中は?」
 ミズナシが聞く。
「なるほどな。探してみよう」


 民家の中を探してみると、光っている時計があった。
「ビンゴだな」
「入ってみよう」
 マコトたちは時計の中に入った。

「まるで、回路だな」
「入り組んでる」
「どう進んだら良いか分からないわね」
 ラミアがキョロキョロする。

「あっち」
 ミアが指差す。
「それは分かるが、どういけば良いんだ?」

「お兄ちゃん、こっち」
 リリアが指差す。どうやら正解のようだ。
「偉いぞ」
「エヘヘ」
 リリアがはにかむ。

「むー」
 ミアが膨れる。自分のポジションを取られて悔しいのだ。
「ミアも偉いぞ」
 ミアの頭を撫でる。
「エヘヘ」

「マコトはミアたちに甘いんじゃないの?」
 ラミアが文句を言う。
「ラミアも撫でてほしいのか?」
「違うわよ! バカ!」

「素直になったらどうじゃ?」
 ウンディーネが笑う。
「燃やすわよ?」
「冗談だ」

 マコトたちはリリアが指差した方へ歩き出した。
「変な道ね」
「時計の中だからな」

 しばらく進むと、階段があった。
「下に下りるみたいね」
「行ってみよう」


 階段を下りると、大きい時計が動いていた。
「あれがボスか」
「倒しましょう」

「これはお客人。一緒に踊ろうではないか」

 カントリークロックが現れた。
 カントリークロックは針を動かした。周りの動きが速くなった。
「どうなってるの?」

 動きが違うので、攻撃が出来ない。
「お困りのようですな?」
「どうしたら……」

 しかし、カントリークロックは攻撃をしてこない。

「ゆっくり動かなければ良いんじゃないか?」
「そうか」
 マコトたちは速く動いた。

「これは、私が……」
 カントリークロックの針が壊れた。
「許さないですよ!」

「〝大業火・炎爆〟!」
 ラミアがすかさず魔法を唱える。
「なっ。こんな簡単にやられるなんて」
 カントリークロックは砕け散った。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

チョコ嫌いな伯爵令嬢と恋してる王子

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:27

猫の雑貨屋さん

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

廃棄

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:157

御石村役場 生活安全課 特殊治安係

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

古井戸からの来訪者

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...