5 / 30
5話 目に映るもの、映らないもの
しおりを挟む
今回の話はかなり短く、ホラーとしてはありふれたものとなる。
しかし読者様の中に同じような体験をしたことがある人がいたら、その時の恐怖が鮮明に蘇るかもしれない。
霊感がある人にしかわからない『霊感あるある』のような話だ。
◆
「あいつ何してるんだ?」
タクシー移動をしている時に、たまたま街中に坂本の姿を見つけた。
夕方過ぎだったろうか、軽装で歩く坂本の姿に違和感を覚えた。
夕日が射す石畳の田舎道。
通行人は彼だけしかおらず、あとはポツポツと野良猫の姿が見えるだけ。
そんな狭いわけでもない、たとえ正面から人が来たとしても楽にすれ違うことができる道を、彼は異常なまでにフラフラしながら歩いていた。
その姿はまるで何かを避けるような動きだった。
道を譲るように大きく右に避け左に避け、衝突を避けるかのように肩だけ捻ったり。
そんな奇妙な動きをする坂本を運転手も見たのだろう、冷徹な言葉を吐いた。
「暖かくなってくると、ああいった変な人が増えますよね」
私はそれを少しだけ腹立たしく思った。
別に友人をバカにされたから怒ったわけではなく、自分が視えないものや理解できないものを『変だ』と笑って片付けてしまうことに腹が立ったのだ。
自身が見たものや耳にしたことや体験したことなど、確証のある話や事柄でないと受け入れがたいのは事実である。
しかしそれを無残に切り捨てていいか、笑っていいかは別問題だ。
車窓の向こうの光景にあるものは、私には視えないけど何となくわかっていた。
(何かいるんだろ?)
そう思った時にはすでに坂本の姿は小さく遠ざかっていたが、その道にいた猫達の毛は逆立っており何かを警戒しているようだった。
しかし読者様の中に同じような体験をしたことがある人がいたら、その時の恐怖が鮮明に蘇るかもしれない。
霊感がある人にしかわからない『霊感あるある』のような話だ。
◆
「あいつ何してるんだ?」
タクシー移動をしている時に、たまたま街中に坂本の姿を見つけた。
夕方過ぎだったろうか、軽装で歩く坂本の姿に違和感を覚えた。
夕日が射す石畳の田舎道。
通行人は彼だけしかおらず、あとはポツポツと野良猫の姿が見えるだけ。
そんな狭いわけでもない、たとえ正面から人が来たとしても楽にすれ違うことができる道を、彼は異常なまでにフラフラしながら歩いていた。
その姿はまるで何かを避けるような動きだった。
道を譲るように大きく右に避け左に避け、衝突を避けるかのように肩だけ捻ったり。
そんな奇妙な動きをする坂本を運転手も見たのだろう、冷徹な言葉を吐いた。
「暖かくなってくると、ああいった変な人が増えますよね」
私はそれを少しだけ腹立たしく思った。
別に友人をバカにされたから怒ったわけではなく、自分が視えないものや理解できないものを『変だ』と笑って片付けてしまうことに腹が立ったのだ。
自身が見たものや耳にしたことや体験したことなど、確証のある話や事柄でないと受け入れがたいのは事実である。
しかしそれを無残に切り捨てていいか、笑っていいかは別問題だ。
車窓の向こうの光景にあるものは、私には視えないけど何となくわかっていた。
(何かいるんだろ?)
そう思った時にはすでに坂本の姿は小さく遠ざかっていたが、その道にいた猫達の毛は逆立っており何かを警戒しているようだった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/20:『にんぎょう』の章を追加。2025/12/27の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる