29 / 30
27話 ゆみこねーちゃん
しおりを挟む
「小さい頃、公園で遊んでるとゆみこねーちゃんが話しかけてくれた」
何の話からの派生だったか、坂本がそんな話を始めた。
「あれ? お前1人っ子じゃなかったっけ?」
「そうだよ。血縁関係的なお姉ちゃんじゃなくて、近所の年上のお姉ちゃんってこと」
「なるほどね。で?」
「小さい頃は分別がついてなかったからさ、幽霊がいる!とかしょっちゅう口に出してて、他の子どもから距離を置かれてたんだよ、俺」
何度も聞いたことがあるが、返事がしにくいデリケートな問題だ。
そんな私の心情を察したのだろう、話を進める坂本。
「親にも腫物を触るような感じで扱われてたからさ、あんまり早く家に帰りたくなかったんだ。だから夕方はできるだけ遅くまで外で遊んでた」
「その時に面倒見てくれたのが?」
「そう、ゆみこねーちゃんだった。みんなみたいに怖がったりせず、ついポロッと霊の話をしても、笑顔で頭を撫でてくれた」
「いい人だったんだな」
「俺もそう思ってた。だけど、いい人じゃなかったんだよ」
「何か裏があってお前に近づいていたってこと?」
すると坂本はニヒルに笑った。
「違う、そういう意味じゃない。」
「え?」
「後からいろんな人に聞いて回ったけど、ゆみこなんて子どもは近所にいなかった。それどころか、『坂本くんは1人でいるときも誰かとしゃべってるから怖い』って噂話まで流れてたんだよ」
「……あっ!」
「わかったか?いい " 人 " じゃなかったんだよ」
これは学生時代に聞いた話なのだが、都市伝説や階段にはこの手の話が結構数が多い。
人間だと思っていた人が実は人間じゃなく幽霊だった、というパターンの話だ。
暗くなってもなかなか家に帰らない子どもを怖がらせるために「あんまり遅くまで遊んでると人攫いがくるわよ!」「暗くなってきたらオバケが出るわよ!」と大人が戒めのために言うことは多いが、子どもが実際に体験するというのはなかなか珍しいと思った話だった。
何の話からの派生だったか、坂本がそんな話を始めた。
「あれ? お前1人っ子じゃなかったっけ?」
「そうだよ。血縁関係的なお姉ちゃんじゃなくて、近所の年上のお姉ちゃんってこと」
「なるほどね。で?」
「小さい頃は分別がついてなかったからさ、幽霊がいる!とかしょっちゅう口に出してて、他の子どもから距離を置かれてたんだよ、俺」
何度も聞いたことがあるが、返事がしにくいデリケートな問題だ。
そんな私の心情を察したのだろう、話を進める坂本。
「親にも腫物を触るような感じで扱われてたからさ、あんまり早く家に帰りたくなかったんだ。だから夕方はできるだけ遅くまで外で遊んでた」
「その時に面倒見てくれたのが?」
「そう、ゆみこねーちゃんだった。みんなみたいに怖がったりせず、ついポロッと霊の話をしても、笑顔で頭を撫でてくれた」
「いい人だったんだな」
「俺もそう思ってた。だけど、いい人じゃなかったんだよ」
「何か裏があってお前に近づいていたってこと?」
すると坂本はニヒルに笑った。
「違う、そういう意味じゃない。」
「え?」
「後からいろんな人に聞いて回ったけど、ゆみこなんて子どもは近所にいなかった。それどころか、『坂本くんは1人でいるときも誰かとしゃべってるから怖い』って噂話まで流れてたんだよ」
「……あっ!」
「わかったか?いい " 人 " じゃなかったんだよ」
これは学生時代に聞いた話なのだが、都市伝説や階段にはこの手の話が結構数が多い。
人間だと思っていた人が実は人間じゃなく幽霊だった、というパターンの話だ。
暗くなってもなかなか家に帰らない子どもを怖がらせるために「あんまり遅くまで遊んでると人攫いがくるわよ!」「暗くなってきたらオバケが出るわよ!」と大人が戒めのために言うことは多いが、子どもが実際に体験するというのはなかなか珍しいと思った話だった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/22:『かれんだー』の章を追加。2025/12/29の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/21:『おつきさまがみている』の章を追加。2025/12/28の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/20:『にんぎょう』の章を追加。2025/12/27の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる