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意外なほど丸く収まった(最終話)
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結果として、ロミオとリオンは付き合うこととなった。
――といっても、まずはお互いを理解するための所謂『お友達から始めましょう』といったところだ。
それに伴い、ラランナとロミオの婚約解消に向けて動き出した。
まずはお互いの父親に事情を話したのだが、拍子抜けするほどあっさりと受け入れられてしまった。
ロミオに至っては婚約解消の理由として、勘当覚悟でカミングアウトをしたのだが、彼の父は『なんだ、それならしょうがないな』と納得してしまったのだ。
あまりにもあっさりとしている父にロミオは驚き、思わず尋ねた。
婚約解消を怒っていないのか。
婚約者の弟に懸想した息子に対して、嫌悪感はないのか。
ロミオの質問に、父は答えた。
「だって好きになっちゃったのなら、もうどうしようもないだろ?」
中小企業とはいえ社長をしている男だ。
彼もまた柔軟な思考を持っており、息子の性的指向をあっさりと受け入れてくれた。
それと同時に、しっかりと釘を刺された。
「ローズクラウンさんのご子息を泣かせるようなことをするなよ。彼はお前自らが見初めた人なのだろ? 大事に出来ないようなら、この家から――いや、以降はシーサイドの人間だと名乗ることは許さないからな」
「はい」
ロミオは深く頭を下げた。
ラランナの父は娘達から事の顛末を聞き、婚約解消に向けてすぐに動いてくれた。
父はラランナの結婚が遠のいたことを嘆いたが、リオンに相手が出来たことに驚き、同時に喜んでくれた。
「一番心配していたあの子に相手が出来たんだ。ほっとしたよ」
父はそう言って笑っていた。
「だがリオンとロミオ君のことは、母さんにはまだ話さない方が良いだろう。ラランナ達も、母さんの耳には入れないように気を付けなさい」
「はい」
ラランナの婚約解消については母に話さないわけにはいかないが、リオンとロミオのことは今はまだ言う必要は無いだろう。
ラランナ達は難なく受け入れることができたが、世の中には同性愛を受け入れられない人もいる。
ましてや自分の息子が――となると、より拒絶反応を示す場合もあるらしい。
何も無理に理解させる必要は無いのだ。
ラランナの婚約解消を母に告げた後が大変だった。
「あんな良い人となぜ!?」「ラランナの何が不満だったというの?!」と大騒ぎである。
父がうまくなだめてくれなければ、シーサイド家に殴り込みに行きそうであった。
ようやく落ち着いたかと思いきや、母は次の結婚相手を見つけるべく、世話焼きおばさんのごとくお見合い写真を大量に持ってきた。
「ロミオさんのことは残念だけど、ラランナにはもっと良い相手がいるはずよ。エミリーも、気になる人がいたら言いなさい」
「…わぁ、すごい数…」
「…私は自分で良い人を見つけるから…。お姉ちゃん、頑張ってね」
母の気合いの入れようをみてゲンナリするラランナは、「なんかごめん」とリオンに謝られた。
運良く――本当に奇跡的なことに、2か月後にラランナは仕事先で出会った男性と縁があり、お付き合いを始めるまで母からのお見合い攻撃は続いた。
ロミオとはタイプが違ってやや可愛らしい風体の男性は、ラランナとウマが合った。
ラランナの両親も弟妹も、彼女の良縁を喜んでくれた。
もしかしたら彼女が良き人と出会えたことを一番喜んだのは、ラランナの良き友人であるロミオだったかもしれない。
翌年の秋、ラランナは結婚した。
ウェディングドレス姿の彼女はとても幸せそうだった。
新婦を見つめる新郎の眼差しは、とろけそうなほど柔らかい。
結婚式には親族の他、会社関係者の一部が招待されている。
――もちろん、シーサイド家も参列していた。
姉の結婚を祝うリオンの隣には、彼と揃いの腕時計を付けたロミオの姿があった。
――といっても、まずはお互いを理解するための所謂『お友達から始めましょう』といったところだ。
それに伴い、ラランナとロミオの婚約解消に向けて動き出した。
まずはお互いの父親に事情を話したのだが、拍子抜けするほどあっさりと受け入れられてしまった。
ロミオに至っては婚約解消の理由として、勘当覚悟でカミングアウトをしたのだが、彼の父は『なんだ、それならしょうがないな』と納得してしまったのだ。
あまりにもあっさりとしている父にロミオは驚き、思わず尋ねた。
婚約解消を怒っていないのか。
婚約者の弟に懸想した息子に対して、嫌悪感はないのか。
ロミオの質問に、父は答えた。
「だって好きになっちゃったのなら、もうどうしようもないだろ?」
中小企業とはいえ社長をしている男だ。
彼もまた柔軟な思考を持っており、息子の性的指向をあっさりと受け入れてくれた。
それと同時に、しっかりと釘を刺された。
「ローズクラウンさんのご子息を泣かせるようなことをするなよ。彼はお前自らが見初めた人なのだろ? 大事に出来ないようなら、この家から――いや、以降はシーサイドの人間だと名乗ることは許さないからな」
「はい」
ロミオは深く頭を下げた。
ラランナの父は娘達から事の顛末を聞き、婚約解消に向けてすぐに動いてくれた。
父はラランナの結婚が遠のいたことを嘆いたが、リオンに相手が出来たことに驚き、同時に喜んでくれた。
「一番心配していたあの子に相手が出来たんだ。ほっとしたよ」
父はそう言って笑っていた。
「だがリオンとロミオ君のことは、母さんにはまだ話さない方が良いだろう。ラランナ達も、母さんの耳には入れないように気を付けなさい」
「はい」
ラランナの婚約解消については母に話さないわけにはいかないが、リオンとロミオのことは今はまだ言う必要は無いだろう。
ラランナ達は難なく受け入れることができたが、世の中には同性愛を受け入れられない人もいる。
ましてや自分の息子が――となると、より拒絶反応を示す場合もあるらしい。
何も無理に理解させる必要は無いのだ。
ラランナの婚約解消を母に告げた後が大変だった。
「あんな良い人となぜ!?」「ラランナの何が不満だったというの?!」と大騒ぎである。
父がうまくなだめてくれなければ、シーサイド家に殴り込みに行きそうであった。
ようやく落ち着いたかと思いきや、母は次の結婚相手を見つけるべく、世話焼きおばさんのごとくお見合い写真を大量に持ってきた。
「ロミオさんのことは残念だけど、ラランナにはもっと良い相手がいるはずよ。エミリーも、気になる人がいたら言いなさい」
「…わぁ、すごい数…」
「…私は自分で良い人を見つけるから…。お姉ちゃん、頑張ってね」
母の気合いの入れようをみてゲンナリするラランナは、「なんかごめん」とリオンに謝られた。
運良く――本当に奇跡的なことに、2か月後にラランナは仕事先で出会った男性と縁があり、お付き合いを始めるまで母からのお見合い攻撃は続いた。
ロミオとはタイプが違ってやや可愛らしい風体の男性は、ラランナとウマが合った。
ラランナの両親も弟妹も、彼女の良縁を喜んでくれた。
もしかしたら彼女が良き人と出会えたことを一番喜んだのは、ラランナの良き友人であるロミオだったかもしれない。
翌年の秋、ラランナは結婚した。
ウェディングドレス姿の彼女はとても幸せそうだった。
新婦を見つめる新郎の眼差しは、とろけそうなほど柔らかい。
結婚式には親族の他、会社関係者の一部が招待されている。
――もちろん、シーサイド家も参列していた。
姉の結婚を祝うリオンの隣には、彼と揃いの腕時計を付けたロミオの姿があった。
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