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後編
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エメラルド達の会話が一段落した頃、会場の外では異変が起きていた。
婚活パーティが行われているのは、フィフス国で最も景観が美しいと言われている町のレストランである。
色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園が隣接しており、結婚式場としても利用される人気のスポットだ。
午後の日差しが降り注ぐ庭園に突如、大きな影が差した。
それに気づいたのは、庭園を散策しながら親睦を深めていたパーティ参加者の男女だった。
日が陰ったことで何気なく空を見上げた男が、滞空している巨体を見つけのだ。
男女は慌てふためき、パーティ会場に走り込んだ。
「――あら? なんだか騒がしいわね」
せっかく来たのだからと、ソフィアとは別れて、会場にいる男性と話し始めた頃、会場の一角が騒がしいことに気づいた。
「どうしたのでしょうか?」
「気になりますわね…。私、ちょっと見てきますわ」
「え、あぁ、はい」
男性をその場に残し、エメラルドは騒ぎの中心に向かった。
レストランは庭園が見えるように、庭園と接する壁の一面がすべてガラス張りになっている。今日はパーティ会場と庭園を行き来できるように、掃き出し窓はすべて解放されていた。
「ど、どうされましたか?!」
パーティの主催者と思しき燕尾服の男が、青ざめている二人の男女に声をかけていた。
「そ、そら!わ、わい、わいばーっ!」
男性は相当慌てているようで、要領を得ない。
しきりに庭を指さしているため、会場のスタッフが様子を見に外に出ると、上空をゆっくりと旋回している巨大な影を見つけた。
「ワイバーンだっ!」
スタッフの声は会場内に良く響いた。
会場内が一瞬、水を打ったようにシーンと静まりかえった。
そして徐々にざわめきが広がり、やがて会場内は騒然となった。
(ワイバーンですってっ!?)
エメラルドはパニックになっている人々をかき分けて、庭園へと躍り出た。
すると強風が吹き、反射的に両腕で顔を庇った。
強すぎる風に、一瞬息ができなくなる。風はすぐに収まった。
「…わぁお」
エメラルドが庭園に目を向けると、そこには黒い巨体が噴水広場に着地していた。
噴水に前足をかけ、ワイバーンは咆えた。
落雷にも似た咆吼に、会場内の人々が震え上がる。
逃げ惑っていた人々も、その場にうずくまってしまった。
腰が抜けている人もいるだろう。
逃げようにも、レストランの出入り口は庭園に通じているため、下手に動けばワイバーンの餌食になる。
裏口から出るにしても、案内が出来るスタッフ達も腰を抜かしている。
(私が避難させてる時間は無いわね。できるだけワイバーンを引きつけて、ここから離れた場所に移動しないと)
エメラルドは手にしていた鉄扇を一振りする。
カシャンと扇の骨が伸びて、鉄扇は彼女の片腕ほどの長さになった。
履いているパンプスのヒールは低いため、叩き折る必要は無いだろう。ストラップもついているので、すぐに脱げることもない。
ドレスはタイトだが、スリットが入っているため戦いの邪魔にはならないだろう。
己の服装に問題が無いことを確認すると、エメラルドはワイバーンに向かって一歩踏み出した。
「――っ!?」
清浄な魔力を感じてエメラルドは足を止めた。
庭園を包むように、ドーム型の光の膜が現れたのだ。
レストランは光の膜の向こう側にある。
「防護壁を展開したわ。皆は動けないし、アレがおとなしく移動してくれるとも思えないから。
――ここで仕留めるわよ」
ポキポキと指を鳴らしながら、ソフィアがエメラルドの隣に並ぶ。
庭園の外に被害が出ないよう強固な防護壁を展開するためには、かなりの魔力が必要となるはずだ。にもかかわらず、彼女の顔はとても涼しげである。
さすがは今代の聖女といったところか。
「そうね、今日はあなたがいたんだったわね。だったら――秒で片付けるわよ」
天敵であるが故、相手の戦闘スタイルなど徹底的に研究したのだ。
お互いの強みも、弱点も熟知している。
知り尽くしているが故、授業の一環で二人がタッグを組み魔獣退治に挑んだ時、これ以上無いほどに力を発揮した。
学園を卒業して以来の共闘となるが、エメラルドは一切の不安を感じていない。
エメラルドは一瞬の間にワイバーンに近づき、鉄扇を右翼に叩きつけた。
ワイバーンは彼女の速さに反応しきれず、避けることが出来なかった。
これでもう飛ぶことはできないだろう。
だが黙ってやられるわけにはいかない。ワイバーンは長い尾で一帯をなぎ払った。
「おっと!」
エメラルドは難なくそれを避けると、今度は左翼に重い一撃を与える。
ワイバーンの注意は、エメラルドに向いていた。
そっと駆け寄ったソフィアは跳躍すると、闘気を纏わせた両手を組み、ワイバーンの頭に振り下ろした。
頭部への攻撃をまともに食らったワイバーンの体がぐらつく。
その隙を逃さず、エメラルドもワイバーンの頭部をめがけて鉄扇を振り下ろす。
ソフィアは瞬時にエメラルドの鉄扇に強化魔法を重ね掛けした。
エメラルドのパワーと通常の何十倍にも強化された鉄扇により、ワイバーンの頭部はあっけなく潰された。
ずしんと重い音を響かせて、黒い巨体が大地に倒れ伏す。
言葉を交わすこと無く、ソフィアはエメラルドの鉄扇に風魔法を纏わせる。
エメラルドも当然のようにそれをワイバーンの首めがけてたたき込んだ。
ワイバーンの首が胴体と切り離された。
彼女達は油断することなく、ワイバーンが絶命していることを確かめると、ようやく肩の力を抜いた。
「お疲れ様」
「お疲れ。聖女になってデスクワークが増えたらしいから、鈍ってるかと思ったわ」
「デスクワークどころか、毎日立ちっぱなしで治癒魔法ぶっ続けで使用させられてるわよ。職場環境の改善に向けて、法律作ってちょうだい。馬鹿みたいに忙しいくせに給料がたいしたことないから、聖女が就任したそばから辞めてってるのよ」
「その辺はお兄様の領分ね。伝えておくわ」
「エメラルドこそ、王族の公務が増えたでしょうに、衰えてはいないようね」
「当然よ。私の公務は国内の魔獣討伐隊に参加することですもの。ほぼ毎日汗と泥と血にまみれてるわ」
「…それって王女としてどうなの?」
「…」
ワイバーンの脅威が無くなり、ソフィアが防護壁を解除すると、レストランから恐る恐るこちらを除きこむ人の姿がちらほら見える。
防護壁で守られたレストランは無傷だ。
町並も美しいままである。
ただ、庭園だけが壊滅的な状態となっているのは、致し方ないことだ。
ほどなくして庭園の入り口からこの町の警護にあたっていた騎士団が到着し、事態の収拾に当たった。
エメラルドもソフィアも、彼らの事情聴取に快く応じる。
ワイバーンの所有権は倒したエメラルド達にある。
――とはいえ、持って帰るのは面倒だし、ワイバーンを狩ったことは何度かあるため、それほど素材を欲してはいない。
庭園がめちゃくちゃになって呆然とするレストランのオーナーに、まるごと押しつけることにした。
ワイバーンの素材は高値で取引されるため、売れば庭園の修繕費を払ってもおつりが来るだろう。
見返りも無く提供してくれた彼女達に、オーナーは涙を流し何度も感謝の言葉を口にした。
――もし見返りに何でも望みが叶うのだとしたら、彼女達は間違いなく『良い男』を望んでいただろう。
残念ながら、婚活パーティはその場でお開きとなってしまった。
騎士団経由でフィフス国の王族にも話が伝わり、翌日、彼女達は王城へと招待されることとなった。
彼女達が町を救った英雄であることに加え、王城に招いても問題ない――むしろそのまま帰しては失礼に当たる程の身分であるからだろう。
王家主催の、豪勢な料理が並ぶ食事会が開かれた。
食事会には王族のみならず、国の重鎮達も参加している。
エメラルド達は、もしかしたらこの中の誰か――もしくはその家族――と縁を結ぶことになるのかと淡い期待をしたのだが、何事も無く終わってしまった。
女2人でワイバーンを数十秒で片付けた事実に、男性陣が引いていたことには、彼女達は気づいていない。
王城に用意された豪華な客間に宿泊すると、翌日、彼女達はフィフス国の人々から感謝されながら、帰路についた。
エイト国までは列車やバスを乗り継ぎ、途中で宿をとるため2日ほどかかる。
エメラルドとソフィアは同じ車両を利用することとなった。
フィフス国が手配してくれたのは貴賓用の特別車両であり、豪華な造りになっている。
一般客の立ち入りは禁じられているため、広い座席に座るのはエメラルドとソフィアだけだ。
入り口付近に、エメラルドのお付きの者が二人控えている。
ぼんやりと窓の外を見て、エメラルドは思う。
(…私は一体何のために、フィフス国まで行ったんだろう…)
良い人を見つけるために婚活パーティに参加したのだが、得られたのは栄誉だけ。
はぁ、とため息をつくと、目の前のソフィアも同時にため息をついた。
ふいに目が合い、しばし見つめ合う。
「「はぁ…」」
二人は同時に深いため息をついた。
彼女達に春が訪れるのは、一体いつになるのだろうか。
婚活パーティが行われているのは、フィフス国で最も景観が美しいと言われている町のレストランである。
色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園が隣接しており、結婚式場としても利用される人気のスポットだ。
午後の日差しが降り注ぐ庭園に突如、大きな影が差した。
それに気づいたのは、庭園を散策しながら親睦を深めていたパーティ参加者の男女だった。
日が陰ったことで何気なく空を見上げた男が、滞空している巨体を見つけのだ。
男女は慌てふためき、パーティ会場に走り込んだ。
「――あら? なんだか騒がしいわね」
せっかく来たのだからと、ソフィアとは別れて、会場にいる男性と話し始めた頃、会場の一角が騒がしいことに気づいた。
「どうしたのでしょうか?」
「気になりますわね…。私、ちょっと見てきますわ」
「え、あぁ、はい」
男性をその場に残し、エメラルドは騒ぎの中心に向かった。
レストランは庭園が見えるように、庭園と接する壁の一面がすべてガラス張りになっている。今日はパーティ会場と庭園を行き来できるように、掃き出し窓はすべて解放されていた。
「ど、どうされましたか?!」
パーティの主催者と思しき燕尾服の男が、青ざめている二人の男女に声をかけていた。
「そ、そら!わ、わい、わいばーっ!」
男性は相当慌てているようで、要領を得ない。
しきりに庭を指さしているため、会場のスタッフが様子を見に外に出ると、上空をゆっくりと旋回している巨大な影を見つけた。
「ワイバーンだっ!」
スタッフの声は会場内に良く響いた。
会場内が一瞬、水を打ったようにシーンと静まりかえった。
そして徐々にざわめきが広がり、やがて会場内は騒然となった。
(ワイバーンですってっ!?)
エメラルドはパニックになっている人々をかき分けて、庭園へと躍り出た。
すると強風が吹き、反射的に両腕で顔を庇った。
強すぎる風に、一瞬息ができなくなる。風はすぐに収まった。
「…わぁお」
エメラルドが庭園に目を向けると、そこには黒い巨体が噴水広場に着地していた。
噴水に前足をかけ、ワイバーンは咆えた。
落雷にも似た咆吼に、会場内の人々が震え上がる。
逃げ惑っていた人々も、その場にうずくまってしまった。
腰が抜けている人もいるだろう。
逃げようにも、レストランの出入り口は庭園に通じているため、下手に動けばワイバーンの餌食になる。
裏口から出るにしても、案内が出来るスタッフ達も腰を抜かしている。
(私が避難させてる時間は無いわね。できるだけワイバーンを引きつけて、ここから離れた場所に移動しないと)
エメラルドは手にしていた鉄扇を一振りする。
カシャンと扇の骨が伸びて、鉄扇は彼女の片腕ほどの長さになった。
履いているパンプスのヒールは低いため、叩き折る必要は無いだろう。ストラップもついているので、すぐに脱げることもない。
ドレスはタイトだが、スリットが入っているため戦いの邪魔にはならないだろう。
己の服装に問題が無いことを確認すると、エメラルドはワイバーンに向かって一歩踏み出した。
「――っ!?」
清浄な魔力を感じてエメラルドは足を止めた。
庭園を包むように、ドーム型の光の膜が現れたのだ。
レストランは光の膜の向こう側にある。
「防護壁を展開したわ。皆は動けないし、アレがおとなしく移動してくれるとも思えないから。
――ここで仕留めるわよ」
ポキポキと指を鳴らしながら、ソフィアがエメラルドの隣に並ぶ。
庭園の外に被害が出ないよう強固な防護壁を展開するためには、かなりの魔力が必要となるはずだ。にもかかわらず、彼女の顔はとても涼しげである。
さすがは今代の聖女といったところか。
「そうね、今日はあなたがいたんだったわね。だったら――秒で片付けるわよ」
天敵であるが故、相手の戦闘スタイルなど徹底的に研究したのだ。
お互いの強みも、弱点も熟知している。
知り尽くしているが故、授業の一環で二人がタッグを組み魔獣退治に挑んだ時、これ以上無いほどに力を発揮した。
学園を卒業して以来の共闘となるが、エメラルドは一切の不安を感じていない。
エメラルドは一瞬の間にワイバーンに近づき、鉄扇を右翼に叩きつけた。
ワイバーンは彼女の速さに反応しきれず、避けることが出来なかった。
これでもう飛ぶことはできないだろう。
だが黙ってやられるわけにはいかない。ワイバーンは長い尾で一帯をなぎ払った。
「おっと!」
エメラルドは難なくそれを避けると、今度は左翼に重い一撃を与える。
ワイバーンの注意は、エメラルドに向いていた。
そっと駆け寄ったソフィアは跳躍すると、闘気を纏わせた両手を組み、ワイバーンの頭に振り下ろした。
頭部への攻撃をまともに食らったワイバーンの体がぐらつく。
その隙を逃さず、エメラルドもワイバーンの頭部をめがけて鉄扇を振り下ろす。
ソフィアは瞬時にエメラルドの鉄扇に強化魔法を重ね掛けした。
エメラルドのパワーと通常の何十倍にも強化された鉄扇により、ワイバーンの頭部はあっけなく潰された。
ずしんと重い音を響かせて、黒い巨体が大地に倒れ伏す。
言葉を交わすこと無く、ソフィアはエメラルドの鉄扇に風魔法を纏わせる。
エメラルドも当然のようにそれをワイバーンの首めがけてたたき込んだ。
ワイバーンの首が胴体と切り離された。
彼女達は油断することなく、ワイバーンが絶命していることを確かめると、ようやく肩の力を抜いた。
「お疲れ様」
「お疲れ。聖女になってデスクワークが増えたらしいから、鈍ってるかと思ったわ」
「デスクワークどころか、毎日立ちっぱなしで治癒魔法ぶっ続けで使用させられてるわよ。職場環境の改善に向けて、法律作ってちょうだい。馬鹿みたいに忙しいくせに給料がたいしたことないから、聖女が就任したそばから辞めてってるのよ」
「その辺はお兄様の領分ね。伝えておくわ」
「エメラルドこそ、王族の公務が増えたでしょうに、衰えてはいないようね」
「当然よ。私の公務は国内の魔獣討伐隊に参加することですもの。ほぼ毎日汗と泥と血にまみれてるわ」
「…それって王女としてどうなの?」
「…」
ワイバーンの脅威が無くなり、ソフィアが防護壁を解除すると、レストランから恐る恐るこちらを除きこむ人の姿がちらほら見える。
防護壁で守られたレストランは無傷だ。
町並も美しいままである。
ただ、庭園だけが壊滅的な状態となっているのは、致し方ないことだ。
ほどなくして庭園の入り口からこの町の警護にあたっていた騎士団が到着し、事態の収拾に当たった。
エメラルドもソフィアも、彼らの事情聴取に快く応じる。
ワイバーンの所有権は倒したエメラルド達にある。
――とはいえ、持って帰るのは面倒だし、ワイバーンを狩ったことは何度かあるため、それほど素材を欲してはいない。
庭園がめちゃくちゃになって呆然とするレストランのオーナーに、まるごと押しつけることにした。
ワイバーンの素材は高値で取引されるため、売れば庭園の修繕費を払ってもおつりが来るだろう。
見返りも無く提供してくれた彼女達に、オーナーは涙を流し何度も感謝の言葉を口にした。
――もし見返りに何でも望みが叶うのだとしたら、彼女達は間違いなく『良い男』を望んでいただろう。
残念ながら、婚活パーティはその場でお開きとなってしまった。
騎士団経由でフィフス国の王族にも話が伝わり、翌日、彼女達は王城へと招待されることとなった。
彼女達が町を救った英雄であることに加え、王城に招いても問題ない――むしろそのまま帰しては失礼に当たる程の身分であるからだろう。
王家主催の、豪勢な料理が並ぶ食事会が開かれた。
食事会には王族のみならず、国の重鎮達も参加している。
エメラルド達は、もしかしたらこの中の誰か――もしくはその家族――と縁を結ぶことになるのかと淡い期待をしたのだが、何事も無く終わってしまった。
女2人でワイバーンを数十秒で片付けた事実に、男性陣が引いていたことには、彼女達は気づいていない。
王城に用意された豪華な客間に宿泊すると、翌日、彼女達はフィフス国の人々から感謝されながら、帰路についた。
エイト国までは列車やバスを乗り継ぎ、途中で宿をとるため2日ほどかかる。
エメラルドとソフィアは同じ車両を利用することとなった。
フィフス国が手配してくれたのは貴賓用の特別車両であり、豪華な造りになっている。
一般客の立ち入りは禁じられているため、広い座席に座るのはエメラルドとソフィアだけだ。
入り口付近に、エメラルドのお付きの者が二人控えている。
ぼんやりと窓の外を見て、エメラルドは思う。
(…私は一体何のために、フィフス国まで行ったんだろう…)
良い人を見つけるために婚活パーティに参加したのだが、得られたのは栄誉だけ。
はぁ、とため息をつくと、目の前のソフィアも同時にため息をついた。
ふいに目が合い、しばし見つめ合う。
「「はぁ…」」
二人は同時に深いため息をついた。
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