最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑

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2 高収入、高リスク

 ジュークパーティは四人構成のパーティだ。
 賢者のルーミアと、暗殺者のタカ。勇者のジュークと、錬金術師の僕を入れて四人パーティになっている。

 普通はアタッカー三人とヒーラー、サポーターを一人ずつって構成が多いんだけど、ジュークパーティでは僕がヒーラーを代行する形になってる。

 急いで二人の元に向かった僕だけど、タカに「遅い」と文句を言われた。
 二人はギルドのカウンターから大きく離れた飲食スペースで、夕食を取っていた。ルーミアは上品にハンバーグを、タカは鳥料理を食べている。僕はジュークから預かった依頼書を二人に渡した。

「は? 報酬100万で子守り?」

 ルーミアの端正な顔が歪む。彼女は綺麗な顔立ちをしてるけど、感情が声と顔に出やすい。少しドキリとしながら説明する。

「うん。ギルマスの姪が冒険者になるから、面倒を見てあげて欲しいって……」
「簡単に受けたわね。普通に考えて報酬が高すぎると思うんだけど」
「それは僕も気になって……」
「気になったら止めるべきじゃないの? ジュークは暴走しやすいんだからストッパーになりなさいよ」
「ごめん。でも、二人だってジュークには逆らえないよね」
「お前、マジで言ってんの?」

 タカが呆れ顔で僕を見た。

「仲間が先走ったら止める。これっていつも俺たちがやってることじゃん。お前、何で俺たちがあいつに気遣うとか勘違いしてんだよ。お前みたいに顔色伺って言いたいことも言えないグズと一緒にするな」
「騒がないで。うるさくて目立つ」
「ああ……」

 二人が苛立ってるのが分かる。
 依頼書は渡したし、僕も帰ろうと思った。

「じゃあ、帰……」
「飯食ってけよ。お前だけ食わずに帰したら虐めてるみたいになるじゃん」
「私もう帰るけど」
「彼氏か?」
「友達。じゃあね」

 ルーミアはあっさり行ってしまった。

「これからデートなのかな」
「だったら飯なんか食わねえだろ。あいつビッチだから色んな男と遊んでんだよ」
「ふうん」
「何? 興味あんの? やめとけって。ぜってぇ俺らじゃ相手にされないから。あいつ、自分も冒険者の癖して見下してんだよ。この仕事」
「冒険者って人気者になれるのに」
「本当は学者になりたかったんだと。家の借金で進学と夢は諦めたらしいけどな。ま、最初から夢がないお前よりかは充実した人生送ってるよ」

 僕にも夢くらいあるけど……。

「にしても、俺だったらいくら顔がよくても性格がアレじゃ抱く気失せるけどな。会う前にハンバーグ食ってくる女ってのもなんか嫌だし」

 それから、いっぱいタカの悪口を聞かされて解散した。
 また飯でも食おうって誘われたけど、嫌だなって思った。

「なんか疲れた……」

 ギルドを出てアパートに向かう。
 タカと話して遅くなったけど、僕のアパートの周辺は夜になると強盗や殺人が頻発するくらい治安が悪い。内心、ビビりながら細い路地を歩いていく。

 魔導文明によって夜でもだいぶ明るくなったけど、どの州も貧困の差は大きくて、スラムに近づくほど街灯が切れたり古くなったりして闇が増える。運が悪いと薬中になって薬の為に強盗殺人までして稼ぐようなのにも出会うから、安心して夜道を歩くことなんてできない。

 僕は警戒しながら帰り路を急ぎ、あとアパートまでもう少しのところで、薬中の男に絡まれた。

「おい! クスリ出せ! クスリ!」
「いや、持ってませんって」
「今俺のこと馬鹿にしただろ! ぶっ殺してやる!」

 男がナイフを抜いて威嚇もなしに振りかぶってきた。

「こっち来るなって」

 言いながら蹴りを放つ。
 冒険者は迷宮で戦うことでレベルアップすることができる。
 レベルアップに応じた基礎ステータスの上昇によって、僕たち冒険者は一般人を超越した戦闘力を持つ。
 僕のレベルは22。レベル24が平均のパーティ内では低い方だけど、さすがに薬中の男に負けるほど弱くはない。

 運良くクリーンヒットしたので、僕は蹲った男を無視してアパートの方角に逃げた。
 ようやく202号室の扉の前に立った時は安堵した。

「はぁ……。無駄に疲れた」
「お帰りなさい。兄さん」

 ガチャリと扉が開いて、妹のヒカリが出迎えてくれる。

「外に変なのがいたから、早く中に入って」

 妹のヒカリを押し戻してアパートに入れた。
 こんな犯罪者のテーマパークみたいなところでヒカリの存在は目立たせたくない。

「もう、心配性なんですから」
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