兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)

みかん畑

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正しい未来へ

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 お兄様は魔女をすぐに殺そうとしたけど、僕はそれを止めようした。
 あまりに僕がしつこく食い下がるから、この身体になって以来、初めて僕は兄に暴力を振るわれそうになった。いや、実際には腕が一瞬、上がりかけただけで、彼は何もしなかった。でも、その一瞬、お兄様は確かに暴力的な衝動に駆られていたと思う。

 結局、王族に魔法を放ったということで、魔女は死刑が言い渡された。

 それだけは、国家を守る為に必要なことなのだと、僕はお兄様に言い含められた。

 それから、月日は過ぎて。

 僕は学校に通えるようになって、鬱屈とした軟禁生活からようやく解放された。

 僕は久しぶりに外へ出るようになって、自分がどれだけおかしなことばかり妄想していたのか思い至ったりして、そこには後悔とか、怖いなっていう思いもあったりしたけれど。お兄様と心を通わせることができたのは、本当に幸せだったなと思っていた。

 でも、お兄様は――僕を遠ざけるようになった。

 城内で見かけても、学校で会っても、僕から会いに行っても、お兄様は僕を相手にせず、露骨に遠ざけるようになった。

 以前と同じように微笑んで、僕を見守る眼差しは穏やかな兄のもので。
 ただ、そこには、以前の獣欲めいた欲望はなくなっていた。

 まるで、そう、憑き物が落ちたように。

 お兄様は優しくて理想的な、どこにでもいる兄に変わった。

 それから、お兄様は止まっていた時間を取り戻すように勉学に精を出して、将来王になることを見越した教育を受けるようになった。

 僕とお兄様の時間はほとんどなくなった。

 いつしか疎遠になった僕らは、以前のような距離感で、過ごすようになっていた。

 季節は移り変わって冬になり、吐息が白くなった頃、お兄様は久しぶりに僕を部屋に呼び出した。

「結婚しようと思うんだ」

 ただ、彼はそれだけを伝えた。
 相手も、どうして僕を選ばなかったかも言わず。
 言い訳すらせずに、ただ穏やかに僕の幸福を祈ると言ってくれた。

「お兄様、ありがとうございます」

 紅茶を飲んだお兄様が、ホッと一息をついていた。

 僕への未練は、どこにもないみたいだった。
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