乙女ゲームのモブに転生したので、幸せになろうと思います。

木苺

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思亜倭差

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なんでここにドラゴンが!?
私が呆然としている間に、ドラゴンは口から炎を出してきた。私がいるのはドラゴンの前。
やばいっ…よけれなっ
ブシャァッ
空に舞い散る誰かの血。死んでない私。そしてその「誰か」は、
…無月。
どういうこと?無月が助け…えっ
私の本能がフル稼働して、私にこの状況を理解させ、幸せの道へと導く。
ではやろうか。私がっとさに考えた、幸せのシナリオを。
私はドラゴンを見つめ無月が殺されたことに怒っているような表情をする。目に少し涙が浮かんでいればなおさらいいだろう。
さっきはとっさのことだったから判断できなかったとはいえ、シールドで体を守って炎の弾をぶつければ勝てるだろう。
シールド出ろ!
私はシールドを出しドラゴンに炎の球を投げた。ドラゴンはそれをよけ鋭い爪で大地を切り裂く。私はジャンプで後退し避けた。すかさずナイフを投げる。ドラゴンは鱗で弾いた。
強いなこのドラゴン。早く無月と茶番をしなくちゃいけない。
なら―
私は無月を抱え空へと浮かび上がり片手を上に向ける。掌の上に小さい炎の弾がうかぶ。炎はどんどん大きくなってゆき―
やがて、ここらの土地が全部滅びるほどの大きさになった。さぁ、あとはこれを投げるだけ。
じゃあ…
「さようなら。」
地面と接触した炎の弾は、激しく爆発し、ドラゴンと孤児院を包み込んだ。ドラゴンの踏みつぶし攻撃からかろうじて生き残った子供も今の爆発で死んだ。もし生き残っていても私がやったとはだれも思わないだろう。
じゃあ無月と最後の劇をやりますか。
地面に降りて目に水をつける。
「無月…死んじゃ嫌だよぉ…」
無月を抱えてなく私。
無月は力なく笑う。
「あはは…なかないで、ファンシー…私は熊だけど、貴方と入れて本当に楽しかった。でね、ファンシー…私一つ嘘をついてたんだ。」
無月は泣きながら、それでも笑おうとする。
「ファンシーのお母さん、本当は居ないの。私が、殺しちゃったの。」
私は泣き続ける。
「そして…もう一つ。」
無月は私の頭に赤い花をつける。
「森でとってきたの。ファンシーの…綺麗な髪に、似合いそうだな…って。私のことは嫌いになってもいい。でもねファンシー…いままで、本当に、本当にありがとう。」
無月は最後にふわりと微笑んで、私の腕の中で息を引き取った。無月がくれた赤い花。それは彼岸花だった。彼岸花は私の頭に根を張って、綺麗に咲き誇る。私の血を栄養として。
…なるほど。愛という名の呪いってわけか。まぁいいだろう。主要人物になるには見た目の特徴も必要だ。
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