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11話「桜満開スプリングフェスティバル」
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●場所:街の道路
街に植えられた街路樹のサクラの木は、春になったから桜の花を咲かせ、町を明るく彩り始める。
ひだまりと、すふれは学校から帰っている途中だ。
「桜を見ながら帰れるのも今のうちだねー」と、ひだまりは桜並木とレンガ造りの街並みと、街に走る小川を見ながら言う。
「そうねー、でも子供の時から毎年見ているとさすがに感動薄れちゃうわ」すふれは苦笑いしながら答えた。
「実家の駅前に市長の銅像があるんだけど、それに似た感じなのかな」ひだまりが言うと「市長さん……」とすふれはなんとも言えないリアクションを取った。
「“街に緑を”って言うけど、雑草ボーボーなのは違うと思うんだよねー」と、ひだまり。
「ここも意外と雑草は放置よー」と、すふれ。
「雑草って街に必要だったんだね」そう、ひだまりが言うと「必要って言うのとはちょっと違うと思うけど……」とすふれ。
すふれはなにかを思い出したようだ。「そうだ、三月は商店街でお祭りがあるのよー。桜にちなんだお祭りがあるの」
「へー、どんなのがあるの?」ひだまりが尋ねると「それなりに」とすふれは答える。
「それなりなんだ」とひだまり。「一応お神輿があるのよー」というすふれに「定番だよねー」ひだまりはうなずいた。「あとはチェリーマフィンねー」「それはいいね!」「食べ物には反応いいわねひまちゃん」「じゃあすふれちゃんのおすすめは?」「チェリーマフィン」
商店街で祭りがあるというので、せっかくだからとひだまりとすふれは商店街に寄って行った。商店街を歩いていると、店の入り口を草花で装飾した店を発見する。
●場所:商店街 家具店の入り口
「あ、家具店の入り口がお花でいっぱい」とひだまりが言うと「アイビーね」と答えるすふれ。
「いろんな色の花があるけど、これ全部アイビーってやつ?」
「そうそう、全部アイビーなの」
「へーすごいねー」
「公園にあったお花畑あるでしょ? あれもアイビーの花畑なの」
「この町の特産品なのかな?」ひだまりが聞いた。
「ではないわね」すふれは即答した。
「じゃあなんでこんなに」
「アイビーを売るためだと思うわね」
「うーん、なんだか夢もかけらもないね」
「夢じゃ補助金は生まれないものね。公園にお花畑を作っても、公務員はお花畑じゃいけないものね」
「そうだね町はお花畑だけど」ひだまりは言う。
「お花で飾ってるの間違いよー」とすふれ。
家具店の入り口に立てかけられた看板に「ワイン試し飲みコーナー設置中」と書かれた紙が貼られてあった。
ひだまりは看板に貼られた紙を見て「春限定のワインかー」と言う。
「まだ飲んじゃだめでしょー」とすふれ。
貼られた紙を見ながらすふれは「春限定のぶどうジュースもあるのよー」と言う。
「ぶどうジュースなら飲めるね」とひだまり。
「試し飲みもあるから入る?」とすふれ。
「そうだねなんの味がするんだろう」とひだまり。
「ぶどうよ」とすふれ。
二人は家具店に入った。
●場所:家具店
「いやー、普段あまり家具なんて見ないからちょっと新鮮だった」とひだまり。
「わたしもー」とすふれ。二人は食器売り場に行く。
ひだまりとすふれは食器売り場で食器を見て回っている。
「あ、このお皿いいねー」とひだまり。
「へーいいじゃない。プリントじゃないんだ」とすふれはひだまりが指さした皿を見ながら言う。
「2枚くらい買っておこうかな」とひだまり。
「予備?」とすふれ。
「先週別のお皿割っちゃったからね」とひだまり。
「またー? お皿以外も割りすぎないようにね」すふれはあきれ気味に言う。
「あ、そうだ。小瓶と小鉢ももう少し多めにしておかないと……」ひだまりは小瓶などを買い物かごに入れていった。
そのあと、ひだまりとすふれは春祭りのイベントコーナーへ向かう。
●場所:ぶどうジュースコーナー
「すごーい、いろんな種類のぶどうジュースがあるー」とひだまり。
ひだまりとすふれが、イベントコーナーでぶどうジュースとワインの売り場を見ていると、れあとタフィーが声をかけてきた。
「あら、ひだまりとすふれじゃない……ってなにその量の瓶」れあはひだまりの買い物かごにある瓶の量に驚く。
「予備だよー」ひだまりは答える。
「予備……?」目が点になるれあだった。
「ひだまり殿はよく壊すでござるからな」とタフィー。
「ああ、そうね。そうだったわね」とれあ。
「落としたり割ったり爆発したりで色々壊すわね」すふれが言うと、「いつも爆発するのね」とれあ。「わりと」とすふれ。
「それで瓶とお皿を買いに来たってわけ?」とれあ。
「ううん本当はぶどうジュースの試し飲みに来たんだけど、ひまちゃんが瓶とかが足りないのに気付いてついでに買い物をしてるの」とすふれ。
「なるほどね」とれあ。
4人は設置されてあった試し飲みコーナーで、ぶどうジュースの試し飲みをしたのだった。
●場所:ぶどうジュースコーナー
「じゃあ一本買ってこうかなー」とひだまり。
「そうねー試し飲みしちゃったし」とすふれ。
「れあちゃんたちは?」ひだまりが聞くと「もう買い終わった後」と、れあは答えた。
ひだまりはカゴに入れたぶどうジュースを見て、「1本3ユーロって結構するよね」
「普段買うときは紙パックだものね」とすふれ。
「お金持ってたら、れあちゃんみたいに瓶のぶどうジュースいつも飲めるのかな?」とひだまりが言うと「紙パックだけど」とれあが答える。「っていうかひだまりのほうが小遣いもらってるじゃない」と言い返すと「ぶどうジュース代は入ってないよ」とひだまり。「なにそのぶどうジュース代って」とれあ。
「ぶどうジュースのために予算組むのおかしいでござるよ」とタフィーが言う。
「そうよー、そんなことするの国会議員くらいよ」とすふれ。
「それはぶどうジュース目当てじゃないと思うけど」とれあ。
●場所:街の道路
ひだまりとすふれが、ぶどうジュースや小瓶や小鉢などを買ったあと、4人は家具店から出る。
商店街を歩いているときに、町のどこかで音楽が演奏されていることに気づく。
「あれ? なんか音楽が聞こえるけど」とひだまりが言うと、
「パレードね。春にやる馬の神輿パレード。春を祝う祭りでやってるのよ」とすふれ。
「へー、どんなのだろう」とひだまりが言うと、すふれはひだまりに馬の神輿パレードのパンフレットを渡した。「はい、さっきお店でパレードのパンフレットがあったからとってきたの」とすふれ。
ひだまりはすふれからパンフレットを受け取り、読み始める。
「おおー、ちょっと見てみたいかも」とひだまり。
「それじゃみんなで行ってみる?」とれあがたずねる。
「行く行くー!」とひだまり。
みんなで馬の神輿パレードがやっている場所へ、演奏中の音楽を頼りに向かった。
●場所:街の道路
そうして、馬の神輿パレードがやっている場所へやってきたのだが……。
「へー、これが馬の神輿パレード……」ひだまりはつぶやく。
「そうよー」と、すふれ。
ひだまりはパンフレットに乗っている馬の神輿パレードと、今実際にやっている馬の神輿パレードを交互に見比べている。
「ねぇ、パンフレットに書かれているのと神輿に乗っているものが違うんだけど」とひだまり。
「毎年変わるのよ」とすふれ。
「だって甲冑じゃなくてパワードスーツだよー!?」ひだまりは言う。
「しかもこれアメリカのキャラでござるな」とタフィー。
「軍馬とサイキッカーとエルフに、ランプの魔人とスーパーハッカー、パワードスーツと忍者の神輿……」とひだまり。
「サバンナの戦士と中国拳法師範代もいるわよ、ほらライオンも」すふれは神輿に乗っているキャラを指さす。
「あの……ヨーロッパの要素はどこに」とひだまりに「欧州旗よ」とすふれ。
「そっか、じゃあヨーロッパかな」ひだまり。
「かろうじてヨーロッパね」とれあ。
「大胆な間違い探しでござるなー」とタフィーは感心したように言う。「間違ってないところがほとんどないわよ」とれあ。
そのあと、ひだまりたちは3月限定チェリーマフィンを買いに行くことにした。
チェリーマフィンを売っている店の場所はすふれが知っていて道案内をした。
道中、「すごいねーすふれちゃん。この町のお菓子屋さんの場所たくさん知ってるんだ」とひだまりが言う。
「全部じゃないけど大体の場所はわかるわよー」とすふれは自信満々に答える。
「あ、じゃあ。最近開店したチュロス屋は……」ひだまりがたずねると、「駅から西口のでしょ? バナナサイダーがある……」すふれが答えた。
「えー! 本当に知ってるんだー」驚くひだまり。
「まさか全部食べ歩いたわけ?」と、れあ。
「ま、まままぁそうね。で、でもカロリーコントロールはしているわけだし、そう簡単に太らないようにはしてるの。休肝日だって設けてるし」と顔をそらしながらすふれは言った。
「砂糖で休肝日とか初めて聞いたわ……」と、れあ。
そう話しながら、ひだまりたちは限定チェリーマフィンが売っている店にたどり着いた。
●場所:チェリーマフィン店近く
「あ、ショコラちゃーん」とひだまりがチェリーマフィンを食べているショコラに呼びかけた。
「お前ら……なんでここに!」とショコラがチェリーマフィンを食べるのをいきなり中断して慌てて言う。
「あれ? 普段と服違うね」とひだまり。
ショコラは普段かぶっている帽子を被っておらず、流行りの春服のファッションになっている。
「なんだっていいだろ」とショコラ。
「へー外ではそんな服着てたんだー」すふれがそういうと「いやお前は知ってるだろ」とショコラは言う。
「そんなにひだまり殿と外で会うのが嫌でござるか」とタフィー。
「うるさくて敵わないからな」とショコラ。
「えーショコラちゃん酷いよー!」とひだまりがショコラの手をブンブンと振る。
「あーもーうっとうしい!」とショコラ。
「チェリーマフィンってこれなんだねー」とひだまり。
「そっか、みんなもこれ買いに来たのか」とショコラ。
「一つちょうだい」とひだまりが言うと「そこで売ってるから買ってくればいいだろ」とショコラはチェリーマフィンを売っている店を指さす。
ショコラが指さした店で、ひだまりたちは限定チェリーマフィンを買ってきたのだった。
「わー桜の花びらで飾ってるんだー」ひだまりは紙袋から限定チェリーマフィンをひとつ取り出して感想を言う。
「春だからねー」とすふれ。
「味はサクランボ味だけどね」とれあ。
「季節限定だからこその良さもあるでござるな」タフィーはチェリーマフィンを食べながら言う。
「もう食べてんの」とれあ。
「うまいでござるよ」タフィーがそう言うと、「そうね、あなたはいつもそうなるわね」とれあ。
「戻ってから食べよっと。そういえばみんな毎年限定マフィン買ってるの?」とひだまり。
「そうねー、だいたい毎年買いに来てるわね」とれあ。
「じゃあいつもおなじみって感じかな」とひだまり。
「たまーに違うのがあるわ」とれあ。
「3年前はラムレーズンに代わっていたわよー」とすふれ。
「よく覚えてるわね」とれあ。
ショコラはひだまりを見て「そっか、ここで買うのひだまりは初めてだったか。……あれ? やけに紙袋大きくないか? どんだけ買ったんだよ」
「師匠の分も買っておいたんだ」とひだまり。
「へーそっか」とショコラは言う。「……っておいちょっと待て! わたしも買ってるんだけど!?」ショコラはそばに置いておいたチェリーマフィンの紙袋を見た。
「余ったら一つ欲しいな~」すふれが言うと「ひだまりから貰え」とショコラが返した。
●場所:薬品店
買い物の後、タフィーとれあと別れてひだまりとすふれとショコラは薬品店に帰ってきた。
「師匠―ただいま戻りましたー」ひだまりはそう言いながら、入り口のドアを閉める。
「おーお帰り」休憩室にいたこむぎが返事をする。
「はい、これ師匠のぶんのチェリーマフィン」ひだまりは限定チェリーマフィンの紙袋をこむぎに渡す。
「え? おいちょっと待て!」とショコラが小声でつぶやく。
「え? ……あぁ、春にやってるあれか」とこむぎ。
「多めに買ったので、欲しい分どうぞ」とひだまり。
「だから甘いもの苦手だって」こむぎはそう言いながら紙袋からチェリーマフィンを取り出す。
「あ、三つ取った」とすふれ。
「ショコラちゃんも買ってきたみたいです」とひだまり。
「えぇっ!?」とこむぎは困惑した声を出す。
「わたしが先に買ってたんだよ」と小声でひだまりに文句を言うショコラ。
テーブルにひだまりとショコラが買ってきた限定チェリーマフィンの紙袋を並べる。
「すごい量だな……」腕を組みながら量に圧倒されるこむぎ。
「じゃあひとつ……」とすふれが言い切る前に「ダメ」とショコラは即答した。
「ケチ」とすふれが言っても「ダメ」と言い切った。
街に植えられた街路樹のサクラの木は、春になったから桜の花を咲かせ、町を明るく彩り始める。
ひだまりと、すふれは学校から帰っている途中だ。
「桜を見ながら帰れるのも今のうちだねー」と、ひだまりは桜並木とレンガ造りの街並みと、街に走る小川を見ながら言う。
「そうねー、でも子供の時から毎年見ているとさすがに感動薄れちゃうわ」すふれは苦笑いしながら答えた。
「実家の駅前に市長の銅像があるんだけど、それに似た感じなのかな」ひだまりが言うと「市長さん……」とすふれはなんとも言えないリアクションを取った。
「“街に緑を”って言うけど、雑草ボーボーなのは違うと思うんだよねー」と、ひだまり。
「ここも意外と雑草は放置よー」と、すふれ。
「雑草って街に必要だったんだね」そう、ひだまりが言うと「必要って言うのとはちょっと違うと思うけど……」とすふれ。
すふれはなにかを思い出したようだ。「そうだ、三月は商店街でお祭りがあるのよー。桜にちなんだお祭りがあるの」
「へー、どんなのがあるの?」ひだまりが尋ねると「それなりに」とすふれは答える。
「それなりなんだ」とひだまり。「一応お神輿があるのよー」というすふれに「定番だよねー」ひだまりはうなずいた。「あとはチェリーマフィンねー」「それはいいね!」「食べ物には反応いいわねひまちゃん」「じゃあすふれちゃんのおすすめは?」「チェリーマフィン」
商店街で祭りがあるというので、せっかくだからとひだまりとすふれは商店街に寄って行った。商店街を歩いていると、店の入り口を草花で装飾した店を発見する。
●場所:商店街 家具店の入り口
「あ、家具店の入り口がお花でいっぱい」とひだまりが言うと「アイビーね」と答えるすふれ。
「いろんな色の花があるけど、これ全部アイビーってやつ?」
「そうそう、全部アイビーなの」
「へーすごいねー」
「公園にあったお花畑あるでしょ? あれもアイビーの花畑なの」
「この町の特産品なのかな?」ひだまりが聞いた。
「ではないわね」すふれは即答した。
「じゃあなんでこんなに」
「アイビーを売るためだと思うわね」
「うーん、なんだか夢もかけらもないね」
「夢じゃ補助金は生まれないものね。公園にお花畑を作っても、公務員はお花畑じゃいけないものね」
「そうだね町はお花畑だけど」ひだまりは言う。
「お花で飾ってるの間違いよー」とすふれ。
家具店の入り口に立てかけられた看板に「ワイン試し飲みコーナー設置中」と書かれた紙が貼られてあった。
ひだまりは看板に貼られた紙を見て「春限定のワインかー」と言う。
「まだ飲んじゃだめでしょー」とすふれ。
貼られた紙を見ながらすふれは「春限定のぶどうジュースもあるのよー」と言う。
「ぶどうジュースなら飲めるね」とひだまり。
「試し飲みもあるから入る?」とすふれ。
「そうだねなんの味がするんだろう」とひだまり。
「ぶどうよ」とすふれ。
二人は家具店に入った。
●場所:家具店
「いやー、普段あまり家具なんて見ないからちょっと新鮮だった」とひだまり。
「わたしもー」とすふれ。二人は食器売り場に行く。
ひだまりとすふれは食器売り場で食器を見て回っている。
「あ、このお皿いいねー」とひだまり。
「へーいいじゃない。プリントじゃないんだ」とすふれはひだまりが指さした皿を見ながら言う。
「2枚くらい買っておこうかな」とひだまり。
「予備?」とすふれ。
「先週別のお皿割っちゃったからね」とひだまり。
「またー? お皿以外も割りすぎないようにね」すふれはあきれ気味に言う。
「あ、そうだ。小瓶と小鉢ももう少し多めにしておかないと……」ひだまりは小瓶などを買い物かごに入れていった。
そのあと、ひだまりとすふれは春祭りのイベントコーナーへ向かう。
●場所:ぶどうジュースコーナー
「すごーい、いろんな種類のぶどうジュースがあるー」とひだまり。
ひだまりとすふれが、イベントコーナーでぶどうジュースとワインの売り場を見ていると、れあとタフィーが声をかけてきた。
「あら、ひだまりとすふれじゃない……ってなにその量の瓶」れあはひだまりの買い物かごにある瓶の量に驚く。
「予備だよー」ひだまりは答える。
「予備……?」目が点になるれあだった。
「ひだまり殿はよく壊すでござるからな」とタフィー。
「ああ、そうね。そうだったわね」とれあ。
「落としたり割ったり爆発したりで色々壊すわね」すふれが言うと、「いつも爆発するのね」とれあ。「わりと」とすふれ。
「それで瓶とお皿を買いに来たってわけ?」とれあ。
「ううん本当はぶどうジュースの試し飲みに来たんだけど、ひまちゃんが瓶とかが足りないのに気付いてついでに買い物をしてるの」とすふれ。
「なるほどね」とれあ。
4人は設置されてあった試し飲みコーナーで、ぶどうジュースの試し飲みをしたのだった。
●場所:ぶどうジュースコーナー
「じゃあ一本買ってこうかなー」とひだまり。
「そうねー試し飲みしちゃったし」とすふれ。
「れあちゃんたちは?」ひだまりが聞くと「もう買い終わった後」と、れあは答えた。
ひだまりはカゴに入れたぶどうジュースを見て、「1本3ユーロって結構するよね」
「普段買うときは紙パックだものね」とすふれ。
「お金持ってたら、れあちゃんみたいに瓶のぶどうジュースいつも飲めるのかな?」とひだまりが言うと「紙パックだけど」とれあが答える。「っていうかひだまりのほうが小遣いもらってるじゃない」と言い返すと「ぶどうジュース代は入ってないよ」とひだまり。「なにそのぶどうジュース代って」とれあ。
「ぶどうジュースのために予算組むのおかしいでござるよ」とタフィーが言う。
「そうよー、そんなことするの国会議員くらいよ」とすふれ。
「それはぶどうジュース目当てじゃないと思うけど」とれあ。
●場所:街の道路
ひだまりとすふれが、ぶどうジュースや小瓶や小鉢などを買ったあと、4人は家具店から出る。
商店街を歩いているときに、町のどこかで音楽が演奏されていることに気づく。
「あれ? なんか音楽が聞こえるけど」とひだまりが言うと、
「パレードね。春にやる馬の神輿パレード。春を祝う祭りでやってるのよ」とすふれ。
「へー、どんなのだろう」とひだまりが言うと、すふれはひだまりに馬の神輿パレードのパンフレットを渡した。「はい、さっきお店でパレードのパンフレットがあったからとってきたの」とすふれ。
ひだまりはすふれからパンフレットを受け取り、読み始める。
「おおー、ちょっと見てみたいかも」とひだまり。
「それじゃみんなで行ってみる?」とれあがたずねる。
「行く行くー!」とひだまり。
みんなで馬の神輿パレードがやっている場所へ、演奏中の音楽を頼りに向かった。
●場所:街の道路
そうして、馬の神輿パレードがやっている場所へやってきたのだが……。
「へー、これが馬の神輿パレード……」ひだまりはつぶやく。
「そうよー」と、すふれ。
ひだまりはパンフレットに乗っている馬の神輿パレードと、今実際にやっている馬の神輿パレードを交互に見比べている。
「ねぇ、パンフレットに書かれているのと神輿に乗っているものが違うんだけど」とひだまり。
「毎年変わるのよ」とすふれ。
「だって甲冑じゃなくてパワードスーツだよー!?」ひだまりは言う。
「しかもこれアメリカのキャラでござるな」とタフィー。
「軍馬とサイキッカーとエルフに、ランプの魔人とスーパーハッカー、パワードスーツと忍者の神輿……」とひだまり。
「サバンナの戦士と中国拳法師範代もいるわよ、ほらライオンも」すふれは神輿に乗っているキャラを指さす。
「あの……ヨーロッパの要素はどこに」とひだまりに「欧州旗よ」とすふれ。
「そっか、じゃあヨーロッパかな」ひだまり。
「かろうじてヨーロッパね」とれあ。
「大胆な間違い探しでござるなー」とタフィーは感心したように言う。「間違ってないところがほとんどないわよ」とれあ。
そのあと、ひだまりたちは3月限定チェリーマフィンを買いに行くことにした。
チェリーマフィンを売っている店の場所はすふれが知っていて道案内をした。
道中、「すごいねーすふれちゃん。この町のお菓子屋さんの場所たくさん知ってるんだ」とひだまりが言う。
「全部じゃないけど大体の場所はわかるわよー」とすふれは自信満々に答える。
「あ、じゃあ。最近開店したチュロス屋は……」ひだまりがたずねると、「駅から西口のでしょ? バナナサイダーがある……」すふれが答えた。
「えー! 本当に知ってるんだー」驚くひだまり。
「まさか全部食べ歩いたわけ?」と、れあ。
「ま、まままぁそうね。で、でもカロリーコントロールはしているわけだし、そう簡単に太らないようにはしてるの。休肝日だって設けてるし」と顔をそらしながらすふれは言った。
「砂糖で休肝日とか初めて聞いたわ……」と、れあ。
そう話しながら、ひだまりたちは限定チェリーマフィンが売っている店にたどり着いた。
●場所:チェリーマフィン店近く
「あ、ショコラちゃーん」とひだまりがチェリーマフィンを食べているショコラに呼びかけた。
「お前ら……なんでここに!」とショコラがチェリーマフィンを食べるのをいきなり中断して慌てて言う。
「あれ? 普段と服違うね」とひだまり。
ショコラは普段かぶっている帽子を被っておらず、流行りの春服のファッションになっている。
「なんだっていいだろ」とショコラ。
「へー外ではそんな服着てたんだー」すふれがそういうと「いやお前は知ってるだろ」とショコラは言う。
「そんなにひだまり殿と外で会うのが嫌でござるか」とタフィー。
「うるさくて敵わないからな」とショコラ。
「えーショコラちゃん酷いよー!」とひだまりがショコラの手をブンブンと振る。
「あーもーうっとうしい!」とショコラ。
「チェリーマフィンってこれなんだねー」とひだまり。
「そっか、みんなもこれ買いに来たのか」とショコラ。
「一つちょうだい」とひだまりが言うと「そこで売ってるから買ってくればいいだろ」とショコラはチェリーマフィンを売っている店を指さす。
ショコラが指さした店で、ひだまりたちは限定チェリーマフィンを買ってきたのだった。
「わー桜の花びらで飾ってるんだー」ひだまりは紙袋から限定チェリーマフィンをひとつ取り出して感想を言う。
「春だからねー」とすふれ。
「味はサクランボ味だけどね」とれあ。
「季節限定だからこその良さもあるでござるな」タフィーはチェリーマフィンを食べながら言う。
「もう食べてんの」とれあ。
「うまいでござるよ」タフィーがそう言うと、「そうね、あなたはいつもそうなるわね」とれあ。
「戻ってから食べよっと。そういえばみんな毎年限定マフィン買ってるの?」とひだまり。
「そうねー、だいたい毎年買いに来てるわね」とれあ。
「じゃあいつもおなじみって感じかな」とひだまり。
「たまーに違うのがあるわ」とれあ。
「3年前はラムレーズンに代わっていたわよー」とすふれ。
「よく覚えてるわね」とれあ。
ショコラはひだまりを見て「そっか、ここで買うのひだまりは初めてだったか。……あれ? やけに紙袋大きくないか? どんだけ買ったんだよ」
「師匠の分も買っておいたんだ」とひだまり。
「へーそっか」とショコラは言う。「……っておいちょっと待て! わたしも買ってるんだけど!?」ショコラはそばに置いておいたチェリーマフィンの紙袋を見た。
「余ったら一つ欲しいな~」すふれが言うと「ひだまりから貰え」とショコラが返した。
●場所:薬品店
買い物の後、タフィーとれあと別れてひだまりとすふれとショコラは薬品店に帰ってきた。
「師匠―ただいま戻りましたー」ひだまりはそう言いながら、入り口のドアを閉める。
「おーお帰り」休憩室にいたこむぎが返事をする。
「はい、これ師匠のぶんのチェリーマフィン」ひだまりは限定チェリーマフィンの紙袋をこむぎに渡す。
「え? おいちょっと待て!」とショコラが小声でつぶやく。
「え? ……あぁ、春にやってるあれか」とこむぎ。
「多めに買ったので、欲しい分どうぞ」とひだまり。
「だから甘いもの苦手だって」こむぎはそう言いながら紙袋からチェリーマフィンを取り出す。
「あ、三つ取った」とすふれ。
「ショコラちゃんも買ってきたみたいです」とひだまり。
「えぇっ!?」とこむぎは困惑した声を出す。
「わたしが先に買ってたんだよ」と小声でひだまりに文句を言うショコラ。
テーブルにひだまりとショコラが買ってきた限定チェリーマフィンの紙袋を並べる。
「すごい量だな……」腕を組みながら量に圧倒されるこむぎ。
「じゃあひとつ……」とすふれが言い切る前に「ダメ」とショコラは即答した。
「ケチ」とすふれが言っても「ダメ」と言い切った。
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