龍が噛みついて浸食してくる

夏緒

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後編

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 龍之介くんがまた肩のところに噛みついてくる。
 龍之介くんは、まず狙ったところを一回べろって舐めてくる。それからその後に、ゆっくりと歯を食い込ませてくる。瞬間的な激痛とかじゃなくて、じんわり、じんわり、でも確実に噛み千切られそうなほど抉ってくる。
 しかもいつも挿入して揺さぶられながらだから、いつか本当に勢いに任せて噛み千切られそう。
 でもそうされると僕はいつもなんだか補食されてるみたいな気分になって、龍とか名前についてるけど、これじゃどっちかっていうと躾のなってない大型犬……いや、ここまできたらもう猛獣……あ、じゃあ龍で合ってんのか、ん、あれ、龍って猛獣……? みたいな、どうでもいいことをとりとめもなく考えたりする。

「あっ、いだい、龍……」

 ぐぐぐぐぐ、っと歯が食い込んできて、そこからまるで体内に毒でも注入されたみたいに、じんわり、じんわりと激痛が広がっていく。
 その状態で尻の中も動かし続けるもんだから、僕はいつからかパブロフの犬にでもなったみたいな妄想にも取りつかれるようになってしまった。
 噛まれる、痛い。
 セックスをする、気持ちいい。
 噛まれる、セックスをする。
 痛い、気持ちいい。
 噛まれる、気持ちいい、みたいな、身体が、そうやって覚え込まされているみたいな感覚に襲われて、噛まれると尻の中が疼き出すような気がしてきてしまう。

「気持ちいい?」
「ん、あっ、きもちい、けど、いたぃぃ」
「もう噛んでないよ」
「あっ、ちが、なか、が」
「中? ケツが痛い?」
「ちがっ、」

 尻は痛くない。
 いやまあいつも酷いって言いたいくらい動きが激しいから痛いっちゃ痛いんだけど、噛みつかれたとこのが数倍痛いから気にならない。
 そうじゃなくて、そうじゃなくて、僕は気づいてしまったんだ、この、噛まれたときのじんわりくる激痛と、尻の中の良いところを擦り続けられたときのじんわりした気持ちいい刺激が、なんだかよく似ている、ということに。

「あっ、あっ、龍之介  くん」
「なに、今度こそイく?」
「イく……いく、いく、」

 噛みつかれたところから、なんだか毒みたいなものが入り込んできて、その清涼感すら感じそうなほどの気持ちいい黒っぽい液体みたいななんかよく分かんないものが、身体の中と、頭の中を浸食していく。
 それは血液みたいに身体中を余すところなく巡り巡って、最後にはいつも龍之介くんに強く掴まれている膝の裏と、遠慮とか一切なしに酷いことをされている限界間近の尻の中に収束していく。
 痛い。
 気持ちいい。
 痛い。
 気持ちいい。
 気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。

「あ、で  る  っ」

 ああー、やっばい。
 多分もう、普通には、気持ちよくなれない気がする。 
 噛まれたところが、尻の中と同じみたいに疼く。
 全身を痛みが柔らかく浸食していく。

「気持ち良かった?」
「……風呂がさあ、痛いんだよなあ」
「ごめんね、優しく洗ってあげようね」
「いやいやそうじゃなくてさ、噛むのをやめてよ」
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