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冒険者ラーニィ

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「ひいぃっ!?ま、魔力が尽きて…。」
ダンジョンの奥で、私はゴブリン達に追い詰められていた。
どうして!?
いつもは数匹倒せば、我先にと逃げて行くのに!
死を恐れず、倒しても倒しても、襲ってきた。
魔法を乱発した結果、魔力が残ってない。
こうなってしまったら、男性よりも弱い。
「「「「ギャギャギャ」」」」
ゴブリン達が笑みを浮かべながら、包囲を狭めてくる。
攻撃できない事を悟られている。
ゴブリンは雄だけの魔物。
雌はおらず、他の種族を犯して、子を作る。
捕まったら私も…。
「やだやだやだ!来ないで!」
必死に杖を振るって、接近を拒む。
ああああっ!
こんな事なら、武器の使い方も習っておくべきだった。
姉の言葉を思い出す。
『魔法だけに頼っていたら、いつか痛い目に遭うよ。』
その通りだった。
「「「「ギャウラーッ!」」」」
「きゃあああああっ!」
ゴブリン達に押し倒された。
杖を奪われ、ローブと服を剥ぎ取られていく。
「や、やめて!誰か、誰かーーーっ!」
必死に叫んだ。
ゴブリンに犯されるなんて嫌!
魔物の子供を孕みたくない!
「姉さん!助けて!」
ついに下着だけになった。
もがくけど、四肢を掴まれて、逃げれない。
心が絶望に染まる。
ダンジョンの奥で、助けなんて来るはずがない。
馬鹿だな私。
早く一人前になりたくて、無茶をした。
こうなったのは自業自得だ。
涙を流し、目を瞑った。
悪夢が早く終わる事を祈って…。
「ギャギャ。」
「ゴギャギャ。」
「ギャウギャウ。」
「バギャギャ。」
おかしい。
いつまで経っても、下着を剝ぎ取られない?
恐る恐る目を開けると…。
ゴブリン達は、私に全身マッサージをしていた。
えっ?
ええええええええっ!?
なんで、ゴブリンがマッサージを!?
「んんっ、はうっ!」
しかも、上手い。
痛くなく、気持ちいい。
思わず、声が出てしまう程に。
ど、どうしよう?
暴れて事態が悪化するより、大人しくしていた方がいい?
じっと休んでいれば、魔力も回復するし。
そうすれば、反撃のチャンスが巡ってくる。
うん!
マッサージされていよう!
「ギャギャ。」
「あっ、そこ…いぃ。」
凝っている部分を、的確にほぐされていく。
「ゴギャギャ。」
「はぁはぁはぁ…熱い。」
血行が良くなり、身体がポカポカしてきた。
汗も、じわりじわりと出てくる。
「ギャウギャウ。」
「やん、優しく…しないで…。」
力加減が絶妙な指さばき。
私の肌を傷つけないように、細心の注意を払っている。
全身から力が抜ける。
「バギャギャ。」
「ま、待って、それ以上されたら…。」
口で抵抗するけど、手遅れだと分かっていた。
魔力は、もう回復している。
いつでも反撃できるのに、マッサージが気持ち良すぎて、動きたくない。
もっとして欲しい。
姉さん、ごめんなさい。
ゴブリンに、マッサージに負けちゃった…。
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