あの空に届くまで

ねこ

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皇道八武天登場~前編~

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   古斗から出された課題は人探しだった。 
皇道八武天をこの町から探して連れてきてほしいとのことだ。
まだ、完治はしていないが4人は快晴の部屋に集合して考えていた。
まず、快晴が口を開く
「この前の戦いでわかったけど今の僕らでは限界がある。あの人のもとで教わらないといつか死ぬ」
皆はうつむいてしまった。
「確かにそうだ。痛感したよ」
大地も苦虫をかみつぶしたように言う。
「まず皇道八武天の人達を探さないといけない!お願いです!力を貸して
ください!皆の為にも」
快晴は頭を下げた。
3人は頷いた。
そして八武天探しが始まった。
「それで、妖しいと想ったところにいくつか丸をしておいたの!」
亜瑠香がそう言うとこの街の地図を取り出した。
そこには乱雑につけられた赤丸が何カ所かあった。図書館、学校、警察署など。
「とりあえず、手分けして探しま うわっ!」
詩音が虫に驚いて快晴の上に飛び乗った。
.......ん?なんだこの柔らかい物は。
みるみる詩音の顔が赤くなっていく。
「えっと、その」
快晴も慌てふためく。
次の瞬間詩音は羞恥心のあまり部屋を出て行った。・・・・
「とりあえず追いかけましょ?」
亜瑠香が何とも言えない表情で呟いた。カラスがないた。
『あるちゃん、女は胸やないよ』
玉梓が慰めた。
 
こうして、詩音探しの八武天探しに出かけた。
人通りのある大通りを快晴はラギアと話しながら歩いている。
『あの、古斗とか言う者荒神の契約者だ。確か.....名前はオオクニとかいったはずだ。』
快晴は聞き返す
「なんだ?知り合いなのかラギア?」
『当たり前だ。1つ樹から生まれたのだからな。知らぬ訳なかろうに。』
ラギアは少し拗ねたらしい。
『むっ?快晴十二時の方向に契約者だ』
はっと我に戻りながら昼下がりの商店街をかけわけていく。邪魔くさい。
必死に走っていると人にぶつかった。
「すみません。」
すぐ立ち去ろうとすると
声をかけられた。
「今後気をつけろ」
マフラーを巻いてコートを着た男だ。もしやと思い聞いてみた。
「すみません。もしかして皇道八武天の方ですか?」
すると首もとを抑えられ地面に叩きつけられた。
「その話を どこで聞いた」
「ヒュドラ!」
敵意むき出しでマフラーが発火した。
殺される!!!
「古斗さんからの  依頼で」
そう言うと男は快晴を離した。
「げほっ...はぁはぁ」
「またあいつの気まぐれか」
快晴は赤みの引いてきた顔で男を見上げた。
「俺は炎 鉄心。皇道八武天で“火焔鬼”で通っている。古斗がすまないことをした。」 
群衆が野次馬で集まってきた。
「工事現場の屋上に見つけたら行くように伝えられました。」
鉄心はしばらく考え込んだ後無表情に
「わかった。」
とだけいい去って行った。快晴は見送ることしか出来なかった。群衆はまた動き出した。
 
「見つかんねぇなぁ」
大地は途方に暮れて公園内を歩いていた。聞こえてくるのは無邪気な子供の笑い声と母親達の世間話だけ。
「ったく亜溜香の間違いじゃねぇのか?こんな所にSランクのエクソシストがいるわけねぇよなー」
ベンチに座り、やけになって叫びだした。
「んんん?誰か俺を呼んだか?この生まれも育ちも夏のこの俺様を?」
見るとこんがり焼けた肌にアロハシャツ、ドレッドヘアにサングラスをかけた男が立っていた。
「あっ、どうも。」
大地は素っ気なく返した。探しているのは皇道八武天であり、Sランクエクソシストではないのだ。
「つれないねぇ?東京ボーイはこんなにもつれないのかい?」
「釣れる釣れないの問題ですか?」
大地が的確なツッコミを入れる。
「はっはっ!これは痛いところつかれたな!」
その男は大声で笑った。
周りの人が公園から出て行った。
「ほらよ!サーターアンダギー」
「サーターアンダギーですね」
暑苦しいとまでの軽さ。
夏の暑さが余計に暑く感じる。 
「俺らが探しているのは皇道八武天」
といおうとした瞬間
「あっ、それ俺のこと」
「えぇ!!」
「そっ。南雲真介。“鋼鉄”でなんか通ってる」
「見てろよ?タイタン」
真介の腕が岩石におおわれた。
「どーーーよぉーー?」
あり得ない。何はともあれよかった古斗のことを話すと逆立ちで去って行った。

「おっかしいわね。学校ならいてもおかしくないんだけど」
亜瑠香はクレープを頬張りながら校内をうろつく。亜瑠香はさっきのことを引きずっていた。
「何よ 、少し胸があるからって」
泣きそうになりながら、校内をうろつく。
「う~さちゃーーん!」
拍子抜けた声が下から聞こえた。驚いたので亜瑠香はクレープがのどにつまり、胸を叩いた。まな板。
「ねぇ、なんの騒ぎ?」
近くの女子に尋ねた。
「えっ?あぁ、生物部の宇佐芽さん。可愛いんだけど変わってて」
女子生徒は呆れていた。どうやらいつものことらしい。 
飼育小屋の方にいってみると兎が仰向けで倒れている。
「うさ...うさちゃ...ひっくっ」
涙でぐしょぐしょだった。
「大丈夫よ。多分食べ過ぎね。」
亜溜香が後ろからそっと話しかける。
「ほんと  ?」
「うん!」
「私、ラビなの。宇佐芽螺美なの」
目尻が兎のように赤く腫れていた。
「私は峰崎亜瑠香よろしくね!」
変わってるけど良い子みたい。
──殺意。
「危ない!」
亜瑠香はラビを押し倒した。歪みが湧き上がっていた。
「玉梓!行くよ!」
「秋茜!」
そう言うと赤色の熱を帯びたトンボを歪みに放った。歪みは炎に包まれもがいている。
「ほぇ~?歪みがなんでここにいるなの~?」
「ラビ、逃げて.....ってえっ?」
ラビは困惑する亜瑠香の横を通り過ぎ
「いくよ♪パーシバル!」
光を纏い杖が現れた。
「浄化の選別(グローリア)なの!!」
次の瞬間莫大な量の光が歪みを焼き消した。ついでに辺り一帯の木々も。
「あなた、まさか」
「そう!皇道八武天“女神の卵”宇佐芽螺美なの~!」
亜瑠香は古斗の伝言を伝えた。
「じゃあ、また後でなの~!」
足下には兎。まな板。・・・

「こんにちは」
詩音はアルバイト先の本屋にいた。ほわっとした詩音は書店では割と人気がある。欅通りの一角に佇む本屋。
「あっ、山田さん」
この人は常連の山田さん。いつも何かと気にかけて貰っている。
「詩音ちゃん、今日も元気だね。今日はプレゼントを持ってきたよ」
山田さんは仏のような笑顔で微笑んだ。
次の瞬間、ちゃき。ナイフを取り出した。
「きゃあああああ」
店員の一人が叫んだ。
「うるさいよ.....ね!?」
「きゃあ」
山田が店員を切りつけた。
「ねぇ、詩音ちゃん?僕は君が欲しくて欲しくてたまらないんだよ。だからさ 死のう?一緒に」
狂気に満ちた男は醜く笑ったりいつもの仏のような笑顔とはほど遠い。
他にお客さんもいない。
「あの~えっーと」
詩音が恐る恐る聞き返す
「なんだぁーーい?詩音ちゃん」
「プレゼントってなんですか?」
詩音はまだ、気付かないようだ。男の持ってるソレがプレゼントだということを。
「だからね?これが」
男は一拍おいた後
「プレゼントだよぉー」
男は醜い体を揺すって走ってくる。
「醜いな」
「あぁん?」
見ると眼鏡をかけた長髪の男が立っていた。
「邪魔しないでくれないかなぁ?」
詩音は負傷した店員を『完全治癒(パーフェクトキュア)』の力で癒している。
「あぁ、見ちゃったか!」 
その男は笑いながら山田を殴り飛ばした。
山田は吹き飛んだ
「醜い豚にはこいつらが丁度良いだろう」
そう言うと男は本を取り出し
「おいで、イザナミ。」
紫色の光を帯びた
「『黄泉神草子 ・冥界の拱き』」
すると地面から無数の手が山田の手を掴んだ。
「ひっ!ゆ、許してください」
「君は許されないことをしたんだ。黄泉の国に落ちて懺悔したまえ」
山田に白い手がまとわりつく。山田は白い泡を吹いて倒れた。
「君も災難ですね。ここの本屋は良い本と出会えるので良く来るんです」
男は微笑んだ。山田の笑顔とは違った。
「あの、もしかして皇道八武天の方ですか」
男は少し驚いたが頷き
「そうですよ。皇道八武天の一人。“叡智”の名前で通っている遷宮時凪。古斗 に頼まれたんですね?」
「あっ、はい。」
「あいつも無茶をさせますね。高校生にこんなことまでさせて」
「いえ!強くなるために。護るために頼み込んだんです!」
凪はさらに驚きの表情を浮かべた。
「そうだったんですか。  
ふふっ。彼の事だから屋上にでもいるんだろう」
詩音は頷いた。
「あ、はい!」
「それじゃあ、また後でお会いしましょう」
本屋の自動ドアを出て行った。警察のサイレンがそとから聞こえてきた。




 



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