あの空に届くまで

ねこ

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交錯する兄弟~後編~

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大地は通路を進んだ。
快晴は大丈夫だろうか。そんなことを考えながら暗い通路を進んでいく。
すると、開けた場所に出た。庭のような空間でどうやらここは外のようだ。やけに寒い。
「きたか...」
銀髪の青年が木の上に立っていた。
「てめぇ!誰だ?」
「俺は、冬狩大河。転聖の仲間だ。お前達を排除しに来た。それだけだ。」
どうやらあの青年は転聖と言われているらしい。
「快晴に何するつもりだ」
「俺は、知らないな。だがあの快晴とか言う奴は転聖となにか深い関わりがあるのは確かだな」
「らちがあかねぇな」
寒さはよりいっそう増してくる。
「カリバー!」
大地は『飛翔剣』で大河に切りかかる。
「......ゲルドレイス」
大河の前に雪の壁ができた。大地の剣を容易く弾き、崩れた。
「なんだ、これ。」
「ゲルドレイスの能力『寿命儚き細雪(スノーバイス)』だ。」
大地は体勢を整えてもう一度切り込む。

「無駄だ」
カキン!
剣はまたしても弾かれる。
「俺は攻撃こそ出来ないが鉄壁の守りはある。お前が凍え死ぬのも時間の問題だろ」
「くそっ」
大地の体には雪が降り、体温を奪っていく。
「それなら『粉砕剣(ゼクスフェリス)!』
巨大な大剣に変えて、叩きつけた。しかし、またしても雪壁に弾かれる。
「堅ぇな」
息をきらしながら、立っている。
「俺は少しずつ弱らせて殺すのが好きでな。」
そう言うと、氷柱を数本折り投げつけた。
ブスッ!大地の肩に刺さる。
「くっ!なんとか......この状況を.変えないと」
その時一つの案が浮かんだ。大地はニヤリと笑みを浮かべた。
「残念だったな。お前はここで俺に斬られる」
「負け惜しみは痛いぞ。
お前がここで死ぬ。それは確定だ。遺言くらいなら伝えておいてやる」
「遺言か。ならお前のボスに伝えておいてやるよ」
『粉砕剣(ゼクスフェリス)』を持ち、壁に打ちつけ始めた。すると、徐々に赤くなり始めた。
「何をする気だ。」
大河が巨大な氷柱を投げつけたが外れた。極限まで赤くなった剣は発火した。
「燃えたくらいで俺の壁が破れるかよ。遺言はいらねぇな!!『デットリースノーマン』」
大河は巨大な雪だるまを作り出し投げつけた。
「その言葉そっくり返すぜ!『炎砕剣(ゼクスフレイム)』
大地は前方へ飛び出し、雪だるまを溶かして大河の前に立った。

大河は雪壁を何重に重ねた。
「うぉぉぉぉぉ!!」
雪壁ごと大河を叩きつけた。大河は宙を舞い倒れた。
「くっ」
大地はその場にひざをついた。
 

亜瑠香は、迷っていた。
複雑過ぎる通路を進んでたまに落ちる雨漏りが恐怖を膨らませた。
「ねぇ?あなた?私と遊ばなぁい?」
「ひっ!?」
亜瑠香は背後から聞こえたその声の方へ振り向いたが何もない。
「こっちよ。キシシ」
「だ、誰なのよ?」
怖がりながら声の方へ歩いて行くと、研究所のような所へ出た。研究所というより、天体の観測室のようだが。
「さぁ!姿を現しなさいよ!」
特段大きな声で叫んだ。
「もぉっと驚くかと思ったのにざぁんねん♪」
すると階段の上から藤色の美少女が降りてきた。
色白でスタイルが良くて巨乳の......。
ヒュン!亜瑠香は間髪入れず矢を放った。
「なっ、何よ!?あっぶないわね!」
「ホルスタインハマッサツスル」
亜瑠香の嫉妬モードがフルになった。顔が一気に狂気的になる。
「あ、あたしは藤崎弥生よ♪

平静を保とうとして明るく振る舞う。
「ワタシハマッサツノシト。ホルスタインヲマッサツスル」
弥生は挑発的に茶化した。
「あなたとあたしじゃ釣り合わないわよ?実力も体も.....ね♪」
そうして弥生は胸を寄せる。
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ。玉梓殺れ!」
嫉妬の権化は硝子の蜻蛉百本あまりを弥生に放った。
「ちょちょ!何よ!いきなり。少しからかっただけじゃないの。インキュバス!」
そう言って紫色に染まった腕から光の矢を打ち、トンボに当たった瞬間に爆発した。
「ふふっ!どう?」
「羽黒蜻蛉!」
黒い蜻蛉が向かってきた。
「無駄よ♪」
また、光の矢を打つ。
蜻蛉は爆発し、辺りは黒い靄に包まれた。
「な、なによ!?これ」
周囲は一気に暗くなった。 
「あの子、ホントにやばい奴じゃない!」
ヒュン!矢が飛んできた。
「これじゃぁ、不利になる一方ね。ふふ。そろそろ本気出しちゃおうかな」
 弥生は宙に飛び上がり回転し、光の矢を乱射した。
「きゃっ!」
「当たったわねぇ♪」
弥生は舌なめずりをすると石のように停止した亜溜香がいた。
「さぁてと、たっぷりかわいがってあげるわね♪」
そう言うと、取り出したナイフで亜瑠香の服を切り出した。最初は上着、
次にズボンを切り裂いた。そんな調子で五分間一方的な辱めが続いた。
そして五分が経ったが
「えっ!?きゃぁ、何これ!」
亜瑠香は顔を紅潮させしゃがみ込んだ。ほとんど、下着しか残っておらず。服はぼろぼろだった。
「そのぉ、貧相な体には丁度良いわよ?色気もないあなたにはね♪」
「この、女!絶対許さない」
半泣きの亜瑠香。
「私も奥の手をだすんだから!」
そう言うと、亜瑠香は黒色の蝶を構えた。
「またぁ、煙幕?もうきかないって言ったでしょ?」
「貴女はわたしに負ける!」
「威勢はいいのね♪ならこっちも『淫夢の矢(ハニートラップ)』」
巨大な藤色の閃光が亜溜香へ向かう。 
「燃え尽きなさい!」
「行け。夜光蝶!」
黒い蝶が閃光を包み込み、かき消した
「嘘でしょ!」
弥生は腰がすくみ、後ろへ逃げ出した。
蝶は弥生にぶつかり、鱗粉とともに消え去った。
「なによ!おどかすんじゃな....いわ」
しゃべり終わる前に弥生は眠った。
「女は胸じゃないのよ!」
亜瑠香はそう言い残し、弥生の服を奪い、通路に戻った。
 
 
「おいおい!また、にげんじゃねぇだろうな!」
転聖は火球を投げつけてくる。カーテンが燃え、火に囲まれた。
「これで、にげらんねぇけどな!」
「くっ、詩音。どこか隠れてて。」
詩音は安全地帯へ避難する。
「受けて立つ!」
「そうじゃねぇとな!」
転聖の目つきがかわった。
「ラギア!」
風が吹き荒れて、ダンスホールを吹き飛ばした。
天井が剥がれ、外の風が入ってきた。
「いくぞぉ!」
「こい!」
2人の剣と硬化した腕がぶつかった。お互い距離をとった。転聖が、燃えた剣を思い切り振ると周囲の建物が切れた。
「くっ、めちゃくちゃだ」
快晴は腕を槍状に変えて転聖の腕を突いた。しかし転聖も快晴の腕を切りつける。2人の肩から血が噴き出した。
「くっ、はぁはぁ」
「はぁ、覚えてねぇんだろ?どうせ。」
「なんのことだ?」
転聖は黒炎を纏った腕で快晴を殴った。
「ぐぅぁぁぁ」
快晴はのたうち回ってる。
「消えねぇだろ?それが、俺の憎しみだ」
黒炎は消えない。
その時詩音が飛び出し、緑の光で快晴を癒す。
敵にたじろがない心。それが特訓で得たものだった。
「どけよ。お前」
「どきません。」
「どけぇ!」
転聖が拳を振り上げたその時、目の前に日向が現れた。
「大丈夫?」
「日向ちゃん!」
「安心して、この人の記憶を三分間消したから」
転聖は拳を振り上げたまま動かない。
「快晴君、快晴君!」
「うっ、はっ!」
快晴を覆っていた炎が消えている。
日向が快晴の頭に手を当てる。
「あなた快晴って言うの?あなたからは悲しい記憶を感じる。」
「えっ?」
快晴は詩音に抱きかかえられながら声をもらした。
「今から記憶を呼び覚ますから」
そう言うと快晴の額に手を当て、そこから白い光を発する。
「日向ちゃんはなんで、ここまでしてくれるの?」
「ここに来る人はこの町じゃなくてこの町の力を目当てに来る。悪用しようとして、街を荒らしていくの。どんなにその人の記憶を消したところで次の人が来るから。
でも、あなたは違ったの。あなたからは懐かしい記憶を感じ取れた。
快晴の為じゃなくてあなたのために」
その時、詩音は思い出した。幼い頃、よく遊びに来た少女のことを。
そして、目の前の日向に酷似していることも。
「私、何回かあなたに会いに行ったことがあるの。もちろん、島からは離れられないから記憶を飛ばして。そこであなたに会って、こんな人もいるんだって思えた。」
「あなた、あの時の」
日向は詩音を見るとにこっと笑った。
「うっ!」
「どうしたの!快晴君」
「思い出した。僕には弟がいた」
その時、転聖が動き出した。
「はぁはぁ....。さぁ、続きだ。」
「2人とも逃げろ!」
快晴は2人を押しやり、反対方向へ逃げた。
「また、逃げんのかよ!
『真黒の炎(インフェルノ)』
巨大な剣から黒炎が出て、快晴に迫る。
「くっ、。『風来守鎧(ストームリフレクター』」
かろうじて炎を吹き飛ばし、転聖へ突っ込んだ。
ふたりは一進一退の攻防?いや攻撃のみと言って良いかも知れない。
あたりの建物を壊し、ボロボロになった。
「なめんなよ。おめぇがかぁさんをころしたんだろ?あぁ?」
なにやら、誤解をしているようだ。
「僕が母さんを殺した?そんなわけないだろ!」
「とぼけんな!偽善者がぁ!」
転聖は激昂し、快晴の肩を切りつけた。
「喰らえ!『血の契約(ブラッディペイ)』
転聖は快晴の血を舐めた。すると、快晴は肩が動かなくなった。
「なんだ。これ」
「相手の血を舐めると、出血したその箇所が動かなくなる。さぁ、終わりだ」
快晴は肩を抑え、必死に逃げる。血に餓えた獣は巨大な剣を持って追う。
快晴は腹をくくり、戦う決心をした。
「もう、片一方は使える。これで、終わりだ兄弟。」
そう言うと、縮小した竜巻を掌で回した。
「ほざけ。終わりなのはてめぇだよ!クソ兄貴。」
転聖は頭上に赤血球の模様が入った巨大な火球を浮かべた。
「『迸る嵐(サイフーン)』!!!!」
「『王の終炎(キングダムインフェルノ)』」

「うおおぉぉぉぉ!!!!!!」
2人は鬼のような形相で目の前の兄弟に全力をぶつけた。

どごぉぉ!
 
周囲の建物は吹っ飛びものすごい風が吹き荒れた。詩音は飛ばされないように日向を抱いて、つかまっていた。

「はぁはぁ」
「はぁ、ぐっぁ」
2人は同時に地面に倒れた。
「快晴君!」
詩音が快晴に駆け寄る。
「し....おね..」
快晴はガッツポーズをして倒れた。

どのくらいの時間がたっだろうか。快晴が目を開けると、大地達がいた。
「お前が1番無理してんじゃねぇか」
大地はそう言うとへへっと笑った。快晴もつられて笑った。
「はっ!転聖は?」
転聖は向こうで倒れていて彼の仲間も彼を囲んでいたが様子が変だ。
「思ったり、早く『憎しみの種』がきれたわね期待外れ」
「お前ら....どういうことだ」
「簡単だ。ある人に頼まれ、お前にこの種を仕込めと言われただけだ。」
「はぁ?なんだよ..それ」
「お前は騙されてたんだよ。俺らはお前の仲間でもなんでもないってことだ。」
「ふざけんなよてめぇら」
どうやら、裏切りが向こうであったらしい。
快晴は重い体を持ち上げふらつきながら転聖の元へ行った。
「終わりよ。転聖」
そう言うと弥生と大河が拳銃を取り出した。
「くそっ、くそっ、」
転聖は地面を叩いて歯を食いしばっている。
「俺の人生、裏切られてばっかじゃねぇかよ!!」
青年は宙に向かって叫んだ。2人が引き金を引き、転聖に銃口を向けたその時...バキッ!
鈍い音が響き2人は倒れた。
「大丈夫か?転聖」
快晴は手を差し伸べたが転聖は気を失った。

 
全てが終わり、4人はポータルキーの前に来た。
「じゃあね。日向ちゃん。」
「うん。またね」
「また、会いに行くよ。今度は私が」
「待ってるよ。」
詩音と日向は抱擁して、4人はポータルキーへ乗って帰って行った。
手を振る日向が小さくなっていく。さぁ、もうすぐ着くな。


 

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