異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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ベアルダウン王国編

168話 主人公、スローライフを満喫するー4

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「オラのタブルーたちはみんな元気そうだ。病気もしてないようだし。やっぱり、直接見ることは重要だべな。あとは精霊球に任せるだよ。」

 監視用と撃退用の精霊球がいるなら、後は放っておいても大丈夫だ。だからタム一人でも、こんなに広い牧場を管理できているんだな。

 タムの自宅へ戻る準備をしていると、「連絡だよ~」と碧が言う。

「タム~。隣のジャスミンがこっちに向かってるから、帰るのは少し待って~。」

「ジャスミンが?カイとダイも一緒だか?」

「ううん。ジャスミンだけ~。タムが戻ってきてるって知って、元気になった顔が見たいんだって~。」

「そうだっただか。落ち着いたら、あいさつに行こうと思ってただが。ジャスミンから来てくれるとは、悪いことをしたべ。」

 ジャスミンって、タムの家から数十キロ離れたお隣さん?婿さんが2人いて、一妻多夫で暮らしてるって言ってたな。

「タームー!!!」
 遠くから声がすると思ったら、真上からだった。かなり高度を上げたホバーから、元気に手を振っている女性がいる。

「ジャスミン!」

 ホバーから降りて来たのは、とても小柄な可愛らしい女性だった。

「タム!元気になったのね!良かったわぁ。心配してたのよ!」

「んだ。わざわざ会いに来てくれただか?」

「西の牧場に来るって碧が教えてくれたから、会いに来たのよ。ここなら、私の家から近いから。良かったわ。顔色がいいし、お友達もできたのね?」

「んだよ。タクミとソラだべ。」

 僕とソラは、ジャスミンにあいさつをする。

「友達まで連れて来るなんて!」

「ところで、わざわざジャスミンが来るってことは、他にも用事があるはず。何かあっただか?」

「さすがタムね。あいかわらず鋭いんだから。じつはね。このあたりに異常種が発生したみたいで。撃退用の精霊球がフル稼動してるの。」

「この辺りには、獰猛だども、賢いケモノしかいない。撃退用の精霊球に攻撃されたら、2度と近付かなくなる個体ばかりだったはずだべ?」

「そうよ。だから、異常種だと思うのだけど、精霊球の映像のケモノは見たことない姿形なの。ヤークイに似てる気はするんだけど、アレは温和な草食動物だし。」

 見たことない姿形?

 異常種とは、通常では考えられないような行動をとるようになってしまったケモノのことだ。以前、遭遇した異常種は、原因らしきものが見つかって、捕獲したのだけど。

「ミライ、以前捕獲したカルミナベアはどうなった?」
「あい!あの後、双子の知り合いの研究者が引き取って、落ち着いたようだよ。やっぱり、あのオダリ草が原因だったみたい。他のエサを与えたら、凶暴性はなくなったって。」

「タクミは何か知ってるだべ?」

「以前マルクトール王国で、同じような異常種を捕獲したんだよ。その時も通常では考えられない姿形に変化していた。僕が見たカルミナベアは、通常より大きくて素早く動いて、とても凶暴だった。」

「えっ?カルミナベアは、ゆっくりとしか動かない動物よ。ヤークイと一緒で温和なはずだし。ってことは、今ここに出没してる異常種はヤークイの変異種かもしれないってこと?」

「んだな。その可能性はあるな。ジャスミン、その映像を碧に送ってほしいだ。オラの牧場でも気をつけるべ。」

「もちろんよ。見つけたら、できる限り捕獲してちょうだい。あなたなら、できるでしょう?」

「ジャスミンはいつもオラに無茶を言うだよ。もし本当にヤークイの変異種なら、原因を調べたいって思ってるだな?仕事熱心もいいけど、危なくなったら逃げるだよ。」

「仕事?ジャスミンは動物関係の仕事なの?」

「んだ。ジャスミンの仕事は草食動物研究家、オラのタブルーたちもジャスミンの研究対象だべ。」

「そうなの。元々、ガッツの伝説のタブルーを研究したくて、この辺りに住み始めたの。その後、他の草食動物も研究するようになって、結局、結婚してここに永住することに。」

「結婚?ジャスミンは結婚してるの?」
 ジャスミンの『結婚して』という言葉にソラが反応した。

「そうよ。だから、安心して。あなたのタムを盗ったりしないから。ソラは本当にタムのことが好きなのねぇ。私がタムと話すたびに不安そうな顔をしてるもの。愛されてるわね、タム!」

「おっ、オラとソラはそういう関係じゃないだよ。」

「えっ?そうなの?でもソラはタムのこと大好きなんでしょ?いいじゃない!愛されるって素晴らしいことよ。ソラのこと、考えてあげなさいよ。」

「ジャスミン、ありがと!」

 思わぬ応援をされたソラは、とても喜んでいる。

「オラとソラは、まだ友達だべ。」

ね。」

 ジャスミンはソラとタムの顔を交互に見ると、「ソラ!頑張ってね!」と言い残し、嬉しそうに帰っていった。

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