異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

文字の大きさ
202 / 247
ベアルダウン王国編

186話 主人公、精霊王の秘密を知るー4

しおりを挟む
 

「はぁ、はぁ。もう無理だな。これ以上は抑えられない。」
 国中の民を城に転移させた精霊王は、苦しそうに悶える。

『※※※※、何が起こった?精霊達が震えておるぞ。』

 何者かの声だけが聞こえた。

「アズマか?王妃の核が砕かれた。ボクも長くは保たない。国民をできるだけ城に避難させた。ボクの国を襲ったヒト種までは救えないけど。」

『なんだと?お前の秘密を知る者がいたのか?』

「どうやって知ったのかは分からないけど、あのヒト種の姫に憑いていたよ。姫を操って、王妃の核を…。」

『!!!』

「アズマ。ボクが居なくなったこの世界に何が起こるか、ボクにも分からない。だから君は、自分の国に強固な結界を張るんだ。そして、世界を救ってほしい。」

『いや!私が行く。何か手があるかもしれない。』

「核が砕かれたって意味、君なら分かるだろう?それに、君のチカラはもう…。君も最愛の人と…。だから頼む。世界を…。」

『そうだ、ソラ!ソラはどうした?』

「ソラはたぶん、また異世界に行ってると思うよ。ソラは自分の好奇心が優先だから。何か面白いものを見つけたんだよ。」

『あいつは!肝心な時に!』

「アズマ。ボクがこの世界から消えたら、異世界への穴が開く。そこから、様々なモノがやって来るだろう。そして、ボクが今まで抑えていた呪いが発動する。あの時、ソラに警告されていたのに…。最後のチカラで、この呪いを最小限にまで抑え込む。だから、頼んだよ。アズマ。」

『おいっ!※※※※、思念通話を閉じるな!おいっ!』

 アズマとの通話を一方的に終了させた精霊王は、遥か上空に移動する。

「はぁ、はぁ。アズマ、ごめんね。もう時間がないんだよ。でも、この呪いだけは…。」

 精霊王の思念が伝わってくる。

『王妃を受け入れた時に覚悟したんだ。あの世界のヒト種を受け入れるということは、この呪いも受け入れるということ。このままの状態でこれを解き放てば、この世界全員が呪われてしまう。それだけは避けなくては!』

「できるだけ最小に。ボクの最後のチカラで…。」

 精霊王はひどく集中している。最後のチカラを振り絞って、何かを抑えようとしている。

「ダメだ。これ以上は…。ごめんよ。これから生まれる人々の中に、呪いの影響を強く受けた者が生まれるだろう。でも君達のおかげで、この世界は存続できる。」

 精霊王の頭上に大きな黒い穴が開く。

「あぁ、異世界の穴が開いてしまった。もう本当に時間がない。ソラ!◯◯◯のことをお願い。あの子のチカラはボクが今まで封印してきた。ボクが消えた後、あの子にはとてつもないチカラが発現するだろう。でも、それではあの子が破滅する。半分ヒトなのだから。大き過ぎるチカラであの子が破滅しないように、あの子を…。お願い…。頼んだよ、ソラ!」

 この言葉を最後に、精霊王は王妃と同じように、淡く光って霧散した。




 精霊王の居なくなった世界は、暗黒に包まれる。陽の光が当たらなくなり草木は枯れ、世界中が極寒となる。

 異世界の穴からは、不気味な生物が這い出てきて、人々を襲った。

(これが真実…。これが空白の歴史の始まりなのか…)




「トゥーラ、城の外で何が起こっているの?それに…、父さまと母さまは?」

 精霊王の姫が泣きながら、トゥーラに訴える。そんな姫に、意を決して真実を告げる。

「姫さま、王様と王妃様は亡くなりました。この世界から消えてしまったのです。」

「うっ、ウソよ!父さまが死ぬなんて!父さまは偉大な方よ!」

「ヒト種の姫は何者かに操られておりました。そして、王の弱点を知っていた。王は王妃と魂を共有していた。王妃の心臓が止まれば、王も生きていられない。それを知っていたのです。」

「えっ……。それって…。」
 姫の表情が変わる。何かに気付いたようだ。

「まさかと思いますが、姫さまが誰かに話したのですか?」

「△△△に王妃様はいつまでも若いままなんですねって聞かれて…。父さまと母さまはいつまでも一緒だからって答えたわ。」

「そうですか…。あの姫に憑いていた何者かは、そこから推測したのでしょう。いつまでも若い王妃。なぜ若くいられるのか?それは王と命を共有してるからだと。」

「じゃあ、私が父さまと母さまの秘密を話したから…。だから、2人は…。」

「今はそれを悔やんでいる時間はありません。この状況をなんとかしなければ。」

「△△△は?いま何をしているの?」

「操られていたとはいえ、王妃様を刺したのです。従者と共に客室に監禁してあります。ヒト種の姫が犯人だということは、数人しか知りません。」

精霊王の姫は涙を拭うと、立ち上がる。

「私、会いに行くわ。確認したい事があるの。」





 数人の従者と共に一室に入れられたヒト種の姫は、血にまみれた自分の手を凝視していた。

「姫様、その手を洗いましょう。ここに水がありますから。」

「いいの…。何があったのか、いえ。私が何をしてしまったのか…。」

 誰かがドアをノックする。入ってきたのは精霊王の姫だった。

「◯◯◯様!王様と王妃様は?」

「もう居ないわ。この世界から消えてしまった。」

「そんな…。私、私が…。」

「いいえ、あなたは悪くないわ。操られていただけですもの。」

 精霊王の姫は、ヒト種の姫の従者をジッと見る。そして、1人の従者に目を止めると、その従者の腕をとる。手に布を巻いている。

「あなた。その手はどうしたの?ケガしたの?」
「さっき、手の平を切ってしまって…。」
「まぁ、可哀想に。手当てしてあげるわ。見せて?」
「いえ、それは…。」
「どうして?見せられないの?」

 精霊王の姫は、強引に布を取る。

「これは!」
 トゥーラは驚く。その従者の手の平には火傷の痕が。
「精霊王の紋様!」

「姫を操っていたのは、あなたね!」

「クククッ。バレてしまっては仕方ない。」
 従者の様子が豹変した。声がまるで違う。後ろに黒い影が見える。
「だが、この娘もワシの本体ではない。ただの依代のひとつ。」

「そんなこと分かっているわよ。でもいつか必ずあなたを見つけ出す。あなたには父さまが付けた目印があるから。絶対に見つけるわ。だから、今は出て行ってちょうだい!」

 精霊王の姫がそう言うと、強いチカラが姫から放たれる。そのチカラに押されて、黒い影が消える。

 そして姫の姿は変化していた。
「姫さま…。そのお姿は…。」

 今までは、王妃によく似た栗色の髪だったのが、金色の髪、不思議な色の瞳、そして、尖った耳を持つ容姿へと変貌する。

「※※※※様……。」

 その姿は、まるで精霊王のようだった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...