204 / 247
ベアルダウン王国編
188話 主人公、精霊王の秘密を知るー6
しおりを挟む「お目覚めになってすぐに申し訳ありませんが、避難している国民の代表者から話がありました。自分たちも外に出て、龍王様たちを手伝いたいと。」
「でも、外は危険よ。異世界への穴が開いているし。私にはまだ穴を塞ぐチカラは無い…。」
「えぇ。危険なことは説明しました。ですが、今まで精霊王様の加護で幸せに暮らしていた。その恩返しがしたいと言うのです。精霊の声が聞こえる精霊種達は、精霊王様と王妃様に何が起こったか分かっています。ヒト種が精霊王の呪いだと言いふらしていることも。」
「そうよ。ヒト種が父さまを殺したから世界はこうなってしまったのに、ヒト種はこれを精霊王の呪いだと言っている。すべてはヒト種のせいなのに。ヒト種がこんな事をしなければ、あの呪いも発動することは無かったのに…。」
「彼らは、このままでは妖精種や獣人種とヒト種で争いになると心配しています。」
「妖精種や獣人種は、父さまがこの世界を守っていたことを知っているから…。」
「国民達は、関係のないヒト種と争いが起こることは、精霊王様も王妃様も望んではいない。自分たちが外に出て、争いが起こるのを少しでも止めたいと言っています。」
「全てのヒト種が悪いワケじゃない。犯人が悪い…。そうよね。その通りね。みんな…。ありがとう…。」
姫は涙ぐみながら、決断する。
「この城には父さまの強固な結界が張ってある。一度外に出たら、戻ってこれないわ。それでもいいのね?」
「はい。私から皆に説明しました。それでも行くと。ただし、わたしの独断でひとつの術を行使しました。外に出る皆に、知り得た情報をこちらに送ってもらおうと思います。」
「情報?」
「はい。精霊王様は言っていました。異世界の穴が開くことで、大切な技術や文化が失われると。それに、どんな事が起こるのか分からないと。ですから、外に出る皆には、大切な技術や文化、異変について見たり聞いたりしたことを、こちらに送ってもらいます。そして、この城で保管します。それらがいつか役に立つでしょう。」
「ありがとう、トゥーラ。」
「身体の弱いものやまだ小さい者数名を残して、皆を各地へ転移させます。目印はこの紋様。」
「それは…。父さまの、精霊王の紋様?いえ、少し違うわね。」
「はい。これは私達、精霊王の民の紋様です。精霊王様のことを忘れないように。いつか外の世界で出会った時に、お互いが精霊王の民だと分かるように。」
「わかったわ。私が皆を転移させます。出来るだけ被害が少ない土地へ。」
「はい。では、姫さま。よろしくお願いします。」
こうして、精霊王の民はエレメンテ各地へ転移していった。
(この精霊王の民が、流浪の民のはじまりなんだ!だから、世界各地で紋様の付いた物が発見されたんだ!)
「ヒト種の姫はどうしているの?」
精霊王の民を転移させた姫が聞く。
「従者の方たちと部屋で過ごしてもらっています。でも、あの方達の様子が少し…。」
「やはり変化が起きてしまったのね…。私が説明するわ。トゥーラもついてきて。」
姫は、ヒト種の姫の部屋を訪ねる。
「△△△、体調はどう?」
「◯◯◯様、お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です。あっ、あの。お話というのは…。」
「あなた達に起こっている変化について話そうと思って。あなた達は、母さまの、王妃の血に触れたわね?」
「はい…。ここにいる者達が、私の手や服に付いていた血を拭ってくれました。」
「王妃の血には、父さまの、精霊王のチカラが含まれていた。それをあなた達は浴びてしまった。強過ぎるチカラであなた達の身体は変化してしまったのよ。」
「それは…、どういうことですか?」
「普通のヒト種ではなくなってしまった。あなた達は普通のヒト種より、長命になるでしょう。そして、△△△。直接血を浴びた貴女は簡単には死ねない身体になってしまった。」
「そう、だったのですね…。きっと、それが私への罰。長く生きて罪を償えということなのでしょう。」
「ごめんなさい。私にはどうすることもできない。私には父さまのようなチカラが無いから…。」
「いえ、いいのです。私はこのまま生きていきます。そして、◯◯◯様を手伝わせてください。私が犯人を見つけます。犯人は王宮にいるのでしょう?」
「犯人には、父さまが印を付けたわ。精霊王の紋様が犯人の身体のどこかに必ず現れる。魂に刻まれているから、憑依したとしても隠すことはできない。」
「分かりました。必ず見つけます。」
こうして、ヒト種の姫達は自分の国に帰っていった。
「父さまが居なくなったこの世界を守るのは、私の役目…。父さまと母さまがあんな事になったのは、私があの事を話してしまったからよ。だから、私が。私がこの世界を守るのよ。」
ここで映像は終了した。
目を覚ますと、トゥーラが僕達を見つめていた。
「いま見たものが真実です。そこからどう判断されるかは、あなた達次第です。」
トゥーラの言葉に、僕達は黙る。
いろいろな情報が一気に入ってきたため、処理できない。
「とっ、とにかく。情報を整理しましょう。」
いち早く発言したのは、ライルだ。
「この建物は精霊王を祀る神殿ではなく、精霊王の居城だった。精霊王はエンシャントエルフで、妃はヒト種。その肖像画の姫は、エンシャントエルフとヒトの間の子供。精霊王は何者かに操られたヒトの姫に殺された。精霊王はヒトを呪って死んだのではなかった。呪いは、呪いを抑え込んでいた精霊王が死んだから発動した。
そして、流浪の民とは精霊王の民のことだった。」
「ヒト種を呪いながら死んだというのはウソだったんだね。精霊王の指示でそう書いていたんだ。」
「ソラが言っていたね。『書いてあることが全て真実とは限らない』って。あれは、この事だったんだ…。」
リオンとシオンが、そうつぶやく。
「精霊王自身が精霊王の呪いとするようにと指示したことで、全ての異変は精霊王の所為になった。その後、人々は呪いを恐れて精霊王のことを記録から消した。だから、精霊王に関する書物が残ってないのですね。」
ヒト種を呪いながら死んだっていうのは真実では無かったけど、実際に呪いが発動したし、異世界の穴からは怪物が大量に出現した。その時代の人々は、精霊王を恐れたんだ。
「では皆様には、その後の話をしたいと思います。こちらについてきてください。」
いつまでも茫然としている僕達を見かねたトゥーラが、僕達に指示をする。
その後の話って?
0
あなたにおすすめの小説
最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~
渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。
彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。
剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。
アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。
転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった!
剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる