異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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ガンガルシア王国編

215話 主人公、異世界最強を知るー1

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「ミライはどう思う?紋章システムは無くなったら困るよね?」

「あい!もちろんだよ!碧とも話せなくなるし、それはイヤ。」

 ミライは実体があるから、紋章システムが無くなっても僕と話すことが出来るが、他の人達はパートナー精霊と話すことが出来なくなる。アリシアやシグルトには、暴走を止める存在が必要だ。紋章システムが無くなったら、彼らを止める存在が居なくなってしまう。

「紋章システムが使えなくなったら、衣食住を平等に受けとることができなくて、また貧富の差ができてしまう。この世界が平和なのは、人々が物質的にも精神的にも満たされてるからだ。」

「あい!そうだよ。紋章システムはね。究極の道具なの。」

「ミライ、僕に紋章システムの仕組みを詳しく説明してほしい。」

 仕組みを知れば、解決のヒントが掴めるかもしれない。

「あい!紋章システムには、パートナー精霊が絶対必要なんだよ。例えば、使用者が何か出して欲しいものがあるとする。その場合、パートナーが最初に、本当に欲しいものなのかを判断してるんだ。パートナーと使用者は繋がっているから、すぐに分かるよ。」

「それなんだけど、繋がってるって具体的にどういうこと?」

「パートナー精霊には、使用者の感情の起伏を感じるセンサーがある。使用者の喜怒哀楽を感じ取って、常に良い状態を保つようにするのが、パートナーの役目なんだよ。だから、本当に欲しいと思って願っているのか、そうではないのかをまずパートナーが判断して、その後、紋章システムにアクセスして、物を出す。そんなに欲しくないなぁと感じているものや過度な要求は、パートナーが拒否するよ。拒否した方が最終的には使用者の為になるなら、そうするのがパートナーなんだ。」

「なんでも言うことを聞く存在じゃないってことだね。」

「あい!ヒトって、曖昧なことを言う時もあるでしょ?『何か良いことないかなぁ』とか『何か美味しいもの食べたい』とか。」

「確かに!そういうことある!」

「そんな時でも、これはどう?って提案する存在がパートナーだよ。だって、紋章システムに、何か美味しいもの出してってアクセスしても、出てこないからね。紋章システムには、具体的かつ的確な指示が必要なんだから。」

 なるほどな。よくできた道具だ。スマホで何か調べものをするときに、上手く言葉を選ぶことが出来なくて、調べたい事が検索できないことがある。そういうことも助けてくれるのが、パートナー精霊という存在だ。
 曖昧な情報を修正して、補正してくれる存在。
 常に最新の情報を提供してくれる存在。

「タイジュは、紋章システムの動力は精霊だと言っていたけど。それと精霊王の城と姫さまはどう関係してるの?」

「今から話すことはタイジュに会ったことがある人にしか教えられないことだからね。他の人に言っちゃダメだよ。」

 ミライが念を押してくる。そんなに重要な情報なのだろうか。僕が頷いたのを確認したミライは話を続ける。

「タイジュから、話しても良いって許可が出たから、説明するね。紋章システムの動力は精霊。それは間違いない。この世界にいる精霊にお願いして働いてもらってるっていうのが、紋章システムの秘密なんだ。そして、そのお願いをしている存在が精霊王の城と姫。城と姫には、精霊王の強いチカラが宿っている。精霊王には、精霊を操るチカラがあった。操ると言っても無理矢理じゃないよ。アースにもいるでしょ?命令されたわけじゃないけど、何かしてあげたくなる人。」

「あぁ、たまにいるね。精霊王ってそういう存在なんだ?」

「あい!この世界のすべての精霊にお願いができる存在が精霊王なんだよ。」

 精霊王が特別なのか…。
 それともエンシャントエルフとは、そういう種族なのだろうか…。

「精霊を操る精霊王のチカラを利用しているのが、紋章システムなんだ。だから、精霊王の城と姫っていう核がないと、精霊達は何をしたらいいのかが分からなくなって、紋章システムは稼働できない。」

 紋章システムは、精霊達の働きで成り立っていたんだ。そして、その精霊達に指示をする存在が精霊王の城と姫。
 精霊王と姫のためなら何でもします!って感じなのかな?

「ミライ。その紋章システムが継続できないのは、どんな理由なの?」

「簡単に言うと、チカラの使いすぎ。元々あの城と姫に施した術は、異世界の穴を閉じるためのものだ。紋章システムを稼働するためのものじゃない。それに、あの城にいる姫は抜け殻だ。エンシャントエルフやドラゴンは、魂の強さが身体に影響を及ぼして強くなる。だから魂の無い姫の身体には、もって生まれたチカラしかない。そのチカラが、これ以上は耐えられなくなってるってことなんだよ。」

「そうか…。だからセシルさまは、身体と魂をひとつにしようとしてるんだね…。」

 でもその行為は、いまのセシルの消滅を意味する。まだ10歳なのに…。

「紋章システムを動かすには、ドラゴンでも可能かもってタイジュは言ってたけど、それはどういう意味なのかな?」

「ドラゴンには精霊が寄ってくるでしょ?それって、好きだから寄っていくというより、なんだか分からないけど勝手に寄っていってしまう状態なんだよ。ドラゴンには強いチカラがある。ソラは魂のチカラって呼んでたね。精霊達は、そのチカラに寄ってくるんだ。強いものに惹かれるって感覚に近いのかもしれない。」

 そうか。ソラがいろいろなことができるのは、精霊に命令してるからなんだ。精霊はドラゴンには逆らえない。なんだかわからないけど、言うことを聞いてしまう状態になるってことだな。

 異世界最強って、そういう意味なんだ!

「つまり、精霊王の場合はお願いして聞いてもらう、ドラゴンの場合は精霊に命令してる、ってことだね?」

「うん。だから、ドラゴンでも代わりにはなるけど、紋章システムの術式を変更しないと動かないと思う。『お願いすること』と『命令すること』は、似てるけど違うものだからね。ドラゴンを核としたシステムを開発するには、時間が必要だよ。」

 紋章システムを動かしている精霊達に指示するには、精霊王やドラゴンのような強いカリスマを持った存在が必要ってことか!

「そうなんだ…。じつは、僕が代わりになるなら、それもいいかなって少し思ってたんだよ。ほら、僕は長命になるってソラに言われたからさ。」

「えっ?姫の代わりに精霊王の城で眠るつもりなの?」

 ミライが悲しそうな表情を浮かべる。

「でも開発に時間が必要なんだよね…。それより…。んっ?」

 話を続けようとした僕は、強い違和感を感じる。
 何かの気配がする…。
 僕の隣はタムの部屋だ。そっちの方から感じる。

 ミライも異変を感じたようだ。僕達は急いでタムの部屋へと向かう。
 扉を開けると、タムが横になっている寝台の横に誰かがいるのが見えた。
 ほのかに光ってる?何をしてるんだ?

 不審者には違いないが、邪悪な雰囲気は感じない。それどころか、神聖な雰囲気さえある。

 その人物は慈しむようにタムの手を握っていた。

 あれは…?
 ソラ!
 どうしてソラがここに?


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