48 / 247
セシリア王国編
45話 主人公、国の成り立ちを聞くー3
しおりを挟む「王国について話をしておこうか。エレメンテにある王国は、タクミが一般的に想像してるような王国じゃない。」
「王様には家来がいて、王様や家来が下の人にアレコレ指示して、国を治めてるってイメージだろ?」
「違うの?」
「タクミに分かりやすく言うと、今のエレメンテで、一番偉いのは誰か?それは、紋章システムなんだよ。紋章システムが世界を治めているんだ。」
「王様じゃないの?」
「ライルのラートルで聞いたでしょ?誰が治めても、必ず不平等感を持つ人が出て、ダメなんだよ。」
「そう。世界を治めるのは、人では無く、平等なシステム!」
「このエレメンテには、法律も無いからね。」
法律も無いって!犯罪者はどうすんだ?
「別に無くても、困らないよ。エレメンテには、物を盗む人はいない。紋章システムが出してくれるから。人を害する人もいない。精霊が捕縛するから。」
「あと、何か困ることある?」
確かに!困らないね!
「だから、王様は王宮に存在するだけ。呪われた存在は、変なカリスマもあるからね。王様にしておくのが、安全なんだ。どこにいても、結局、目立つことになるんだからね。」
「そうそう。だったら、最初から王様にしておいて、王様って変だから仕方ないよねって思わせておいた方がいいでしょ?」
エレメンテの王様って、そんな感じなんだ!
「紋章システムを開発して、セシリア王国の初代王になったセシルさまが決めたことは、ただひとつ。紋章を授かった人は、必ず仕事をすること!それだけだった。」
「人はね。生きる目的が無いと、生きていけないんだよ。衣食住を保障されても、生きる目的が無い人は、ただ存在するだけの物に成り下がってしまうんだ。」
「何のために生きてるのか?それは、個人がそれぞれで見つけなくてはいけないんだけど、見つけろって言われても無理でしょ?タクミは、アースで生きる目的あった?」
そんな難しいこと、考えたこともなかったな。お金を稼ぐために仕事することが、普通だった。仕事が1日の大半を占めてたから、仕事を辞める勇気が無かったのも、それが一因だ。辞めたら、自分がどう生きていっていいか、わからなかった。特に趣味も無かったし、そもそもアースでは好きなことをするだけで生活できる人は、ほんの一握りだ。
「だから、セシルさまは決めたんだ。絶対に何かの仕事をしなさい!ってね。」
「そして、全ての人が何かの仕事ができるように、教育と国の整備に力を入れた。」
「紋章システム提供時の失敗から、教育の必要性を痛感したセシルさまは、子供達だけを集めて教育することにした。親と一緒だと、親の偏った教育で、その子が歪んでしまう可能性もあるしね。まぁ、親を亡くした子達を集めて教育していた施設が大きくなっただけなんだけどね。」
「そして、生きていく国を選べるように、国を作ったんだよ。」
「国を作ったって、どういうこと?」
「前にセシルさまが、どうしてイジメっていうものがあるのかって話をしたよね。」
「価値観の違いが原因だ、っていうようなことを言ってたと思いますけど。」
「そうだよ。人はね、価値観が似てる人同士で集まった方が、人間関係が上手くいくんだ。」
「例えば、タクミは戦争反対だよね?」
「もちろんです!」
「ってことは、暴力で解決するのは、絶対反対?」
「もちろんです!!」
「でもね。世の中には、そうは思わない人もいるんだよ。力が全てだ!強い者は尊敬されるべきだ!ってね。」
「そんな人が近くにいて、会うたびに手合せをお願いされたら、どう?お前、ドラゴンだろ?ちょっと俺と闘ってくれよって、言われたらどうする?」
「えっ!イヤですよ!!!何で闘うんですか?」
「闘いたいからだよ!っていうよな、あいつなら。」
知り合いに、そういう人がいるのかな?迷惑な人だなぁ!
「困るよね。だから、そういう人は、ガンガルシア王国の国民になります。ガンガルシアでは、力が全て。全国民に戦闘を申し込むことができるからね。」
「そんな感じで、7つの国には、それぞれ特色があるんだよ。16歳で成人すると、生きていく国を自分で選んで、そこの国民になるんだ。自分の価値観に近い国の国民になれば、ストレスが貯まることは少なくなるでしょ?」
「そうだね。でも、7つの国の特色って?」
「ガンガルシア王国は、闘いの国。特徴は、戦闘が許可されてること。どこでも、いつでも戦闘可能だよ。
セシリア王国は、天空の国。特徴は、教育とスカラだよ。」
「スカラ?」
「そうか、スカラに対応する言葉は無かったな。タクミに分かりやすく言うと、病院みたいなもの、かな。いつか連れて行ってあげるよ。」
「マルクトール王国は、学者の国。特徴は、議論好きなヤツらが集まる国ってこと。言葉で攻撃してくるヤツもいるから、反論できない口下手な人は他の国に行くことも多いよ。理屈や理論ばかり話すウザいヤツがいるから、この国にはあまり行きたくないよ。」
「あっ、ちなみにマルクトールは暴力禁止だから、暴力行為は即捕縛されるよ。ガンガルシアは、生命の危険が迫った時だけ精霊の緊急措置が働く。ガンガルシアに行くヤツは、ギリギリの状態まで自分を追い込まないと納得できないヤツばかりだからね。」
「イリステラ王国は、愛の国。特徴は、恋や愛に寛容な国ってこと。とにかく出会いが欲しい男女が行く国だよ。タクミに一番必要な国だよね!」
そうだね!いつか行ってみたいけど。
でも、なんか双子の言い方が、バカにされてるみたいでイヤだー!僕だって、出会いさえあれば、お付き合いできると思うのに!今までは、出会いが無かっただけだ!僕がモテないからでは無い!そう思いたい!
そんな僕の心の叫びを無視して、話は続く。
「残りの国は、まだ全然知らないよね。グランエアド王国は、美の国。特徴は、芸術至上主義者が多いこと。音楽、絵画、文芸、演劇などの創作活動が盛んな国だよ。自分の芸術のことしか頭になくて、意思の疎通が取れないヤツも多いんだ。特に今の王のエア様は、ホント無理!毎回、会話にならないから!」
「ベアルダウン王国は、食の国。特徴は、広大な土地で作物などを育ててる。タクミに分かりやすく言うと、農業国ってこと。紋章システムから提供される食料は、ほとんどがこの国で作られた物だよ。」
「フラルアルド王国は、技術者の国。特徴は、新しい物や技術の開発者が集まる国ってこと。巨大な工場や工房があって、面白い国だよ。」
「エレメンテには、この7つの国があるんだ。」
「すごいね。」
僕は素直に感心していた。これだけ多様な国があれば、自分にあった国が見つかるよな。しかも、アースと違い、ダメだと思ったら、国をすぐに変わることもできるようだし。アースだと、仕事や家族があるから、気軽に転職や引越しも出来ない。エレメンテは、本当に自由な世界なんだな。
「でも、成人の時に選ぶ選択肢の中には、7つの国以外にもう一つ、重要な選択肢があるんだ。」
双子にしては、もったいぶった言い方だ。
「それは、何?」
僕は、興味津々で聞く。
「「どの国も選ばないってこと!!」」
どの国も選ばない?
ってことは?まさか?
「そう、紋章システムを放棄して、自給自足の生活を選ぶ子もいる。そういう子は、7つの国以外の場所で生活することになるんだ。」
紋章システムみたいな便利ものを放棄して、わざわざ自給自足の生活を選ぶ人なんてホントにいるのか?信じられない!
0
あなたにおすすめの小説
最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~
渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。
彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。
剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。
アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。
転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった!
剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる