異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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セシリア王国編

49話 主人公、紋章の仕組みを知るー1

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 声をかけてきたのは、アルド王と同じくらい高齢の男性だった。背はあまり高くないが、ガッシリとした体格だ。

「ジルか。元気にしておったか?」
 セシルが懐かしそうな目をして、話す。

「何年ぶりだろうな。しかし、今回のセシルさまは、えらく可愛くなっちまって。前のジジイより、こっちの方がいいな。」

「そうじゃろう、そうじゃろう!我は可愛いからな。」

「自分で可愛いって言うなよ。気持ち悪いぞ。」

 2人の会話を聞いて、仲が良さそうなのは分かったけど、誰?
 僕の表情に気付いたセシルが、紹介してくれる。

「こやつはジルじゃ。以前、セシリア王国で我の弟子をしておった。今は、この国の王宮に仕えておる。アルドのヤツがどうしてもと言うのでな。ジルはこの国に仕えることになったのじゃ。」

「アルド様は、《強欲》だったからな。欲しいと思ったヤツは、必ず手に入れるんだよ。強引なくせに、嫌味がないからな。この王宮にいるのは、みんなそうやってアルド様に誘われたヤツばかりだ。だから、アルド様がいなくなった今、王宮を去るヤツが多い。思い出が多過ぎて、ツライからな。」

 アルド様は、本当にいい王様だったんだな。

「ところで、田中を預かりたいとは、どういうことじゃ?」

「その小僧は、紋章が授かれなかったんだってな。俺はファラのことも知っている。俺に任せるのが一番だと思うが、どうだ?」

 ファラのこと?アルド様の妻だった人?

「75年前、紋章を授かれなかった人物。それが、ファラなのじゃよ。ジルはのぅ。その時、我の国で、紋章システムの第一人者である我の弟子をしておった。我とジルで、ファラが紋章を授かれない原因を探したのじゃ。」

「原因が分かるまでは、長い時間がかかった。ファラが誕生した時から探し始めて、20年かかったな。しかも、原因が分かったのは、本当に偶然だ。」
 ジルは懐かしそうな表情で語る。

「偶然だった、ってどういうことです?」

「紋章の無いファラには、田中にとっての双子のように、ジルが常に側についていた。」

「原因を探るためにも、ファラと一緒にいた方が都合が良かったんだよ。まぁ、ほとんど俺の研究に、ファラをつき合わせてたようなもんだ。だから、ファラは俺の弟子みたいになってな。ファラと2人で、各国を渡り歩いたよ。

 ある時、このフラルアルドに来た俺は、古代の遺跡で小生意気な小僧に会ってな。それが、アルド様だったんだよ。なんだかんだで、アルド様とファラは意気投合してな。お互いに離れられなくなったんだ。紋章がない者という、同じ境遇もあったしな。」

「うむ。ファラはアルドと同じ国に移りたいと言うのでな。セシリアからフラルアルドに移ることになったのじゃ。それで、セシリアでは失敗に終わった紋章の儀をフラルアルドで行うことにした。」

 セシルの言葉に、ジルが続ける。

「その時は、成功するなんて考えもしなかった。国を移る時の儀式だからな。とりあえずやっとくかって感じだったんだが。何故か成功してな。」

「その時じゃったな。ジルもフラルアルドの王宮に貰うからってアルドが言ってきたのは。あやつは言い出すと聞かないからのぅ。ジルが移ると言ったらな!と返事をしたのじゃ。」

「あん時はな。アルド様に、ファラがどうして紋章を授かれたのか調べるのが、お前の仕事だろ!って言われてな。それを言われたら仕方ない、ってことで、フラルアルドに移ることにしたんだよ。」

「結局、どうして紋章を授かることができたのかは、分かったんですか?」

「おう。時間はかかったがな。原因は、ファラの両親にあったんだ。」

「両親?エレメンテでは、母親は分かってるけど、父親がハッキリしてることって珍しいって聞いたけど。」

「おぅ。ファラには、その珍しい親がいたんだ。ファラの両親は、日本の夫婦のような生活をしていた。ファラの両親が暮らしていたのは、そういう男女が多くいる地域だったんだ。」

 どういうこと?

「エレメンテの各国には特色があって、国民は自分で国を選ぶ、というのは聞いたか?」

「リオンとシオンに教えてもらいましたよ。」

「国を選んだら、次は自分が暮らす場所を選ぶのじゃ。各国には、同じような価値観を持った者が集まる。そして、その中でも、さらに同じ様な嗜好の者同士で町を作って、生活しているのじゃよ。その方が争いごとが起こらないからのぅ。」

「ファラの両親が暮らしていたのは、そういう町だった。そして、その町には一つの古代神殿があったんだな。」

「どんな神殿なんです?」

「フラルアルド王国の守護精霊であるフラルアルド火山を祀る神殿だったんだ。両親は、子供が出来たと分かってから、熱心に神殿に通ったんだ。無事に産まれますようにってな。」

「そうじゃ。まさにそれが、セシリア王国で紋章を授かれなかった原因だったんじゃよ。」

 神殿に通うってことは、神様に子供の無事をお願いしてたってことだよね。でも、それが原因だったって?

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