異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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フラルアルド王国編

60話 主人公、試作機を見る

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「ドグー、あの試作機ってどこにある?かなり昔だったから、忘れてしまったな。」
 ジルの言葉に、左手が光る。すると、机の上に、鎖がついた懐中時計ような物体が現れた。

「おぅ、俺専用保管庫に保管しておいたのを、忘れてたな。」

「紋章システムの中に、個人の収納スペースがあるんだよ。紋章システム内の物は、普通は共有物なんだけどね。」と、リオンが教えてくれる。

「共有物?」

「紋章システムを利用している人で共有してるってこと。例えば、さっきのログハウスを出した時に使った木材は、誰でも出せる。でも、この試作機みたいに公開されてないモノは、ジルだけのものだ。だから、ジルが望まない限り出てこない。それが、専用保管庫だよ。」

「ドラ◯エとかの道具袋って言った方が、わかるんじゃない?」と、シオンが補足してくれる。

 なるほど!そっちの方がわかりやすいね!

「「で、このペンダントみたいなのが、試作機?」」
 リオンとシオンが、触りまくっている。

 ジルが「中の構造はこうだ!」と言うと、空中に図面が出現する。

 紋章システムって、こんな事もできるんだ?

「この真ん中にあるのが、竜岩石。試作機の使用方法だが。まず、使用者の周りに密着するように結界を張る。そして、精霊が集まってくる石の性質を利用して、その結界の中の精霊濃度を一定に保つ。だから紋章システムも使えるっていう仕組みだったんだがな。この石は、力が足りなくてな。精霊が少ない所だと、一定の濃度まで集めることができなかったんだ。」

「あっ、でも。これなら暗黒大陸以外では使えるんじゃない?」というリオンの意見に、ジルは首を振る。

「一度、冒険者に試してもらったんだがな。使えたり、使えなかったりで、不安定なんだよ。不安定な紋章システムは、逆に危険だからな。この試作機は、お蔵入りになったって訳だ。」

 ジルは悔しそうな顔で、話を続ける。

「それに、この石の性質を再現しようと、いろいろ試したんだが、それも無理でな。」

「紋章システムで、解析できなかったってこと?そんなに珍しい石なの?」

「石自体は珍しいものじゃないんだ。どこにでもある水晶だよ。だが、その水晶に何らかの力が加わって、その石ができたって、俺は考えている。で、その力とは、ドラゴンの未知の力じゃないかって。

 だからタクミのことを知った時に、この石のことを思い出した。この石をタクミに見てもらえば、何か分かるんじゃないかってな。
 タクミ、ドラゴンの瞳で、一度見てくれないか?」

 なるほどね。確かに、いま目の前にある試作機から、気になる波動が出てる気がする。

 僕は集中する。すると、すぐに瞳が金色に輝く。やっぱりアースより、早いな。
 その瞳で、試作機を見ると、竜岩石が不思議な輝きを放っている。

「その石を直接触ってみたいんだけど、いいかな?」
 僕はジルに確認すると、石に直接触れる。

 バシッ!
 感電したような衝撃を受けると同時に、不思議な映像が見える。

『この神殿はさ。古代文明の遺跡なんだぞ!あの扉の奥にはとっておきの秘密を隠したんだ!同じドラゴンにしか開くことができない仕掛けだ!同じような仕掛けを、いろんな神殿にしてやったぜ!誰か見つけてくれると思う?なぁ?セシル!』

 誰かに向かって笑顔で話す小さな男の子。
 セシルって?
 しかも、同じドラゴンってことは?
 この男の子はドラゴンなのか?

 あっ?男の子の手首にある飾り!
 この石だ!この石は、この子の持ち物だったんだ。

 映像は一瞬だった。

「それは、誰かの装飾物だったみたいですよ。たぶん、ドラゴンです。長く身に付けていた物で、何かの拍子に落ちてバラバラになった。その中のひとつがこれ。」

 僕は今見た映像を、みんなに説明する。

「そんな事も分かるのか?ドラゴンの瞳ってのは、どんな仕組みだ?」

「持ち主がドラゴンだったので、理解できたって感じです。確かに、その石にはドラゴンの力が宿っている。長く身に付けていると、力が移るんじゃないかな?」

 それに、あの男の子。なんだか懐かしい感じがした。一度も会ったことはないはずなのに。

「そうか!やはり、ドラゴンの力が!身に付けていると移る…。ということは。」

 ジルはそうつぶやくと、弟子達を見る。

「「親方!アレが使えるかも!」」
 サクラとモミジが、同時に叫ぶ。

「おぅ!あの失敗作だな!」

 失敗作って!
 どれだけ失敗作があるんだよ!

「何かを開発する時は、ほとんどが失敗作なんだよ。成功するのは、ほんのわずかだ。だが、その失敗作が、思わぬモノの開発に役立つ時がある。だから、失敗作ばかり公開してるヤツもいるぞ。そういうヤツらは、未完成家って呼ばれてる。」

 アースでは、考えられないような仕事だね!

「でも、その未完成のモノから、アッと驚くものができる事もあるんだな。未完成ってことは、あと一歩ってことだ。そして、コレもそうだ。」と言って、ジルが出したものは、リブロスのようなビー玉だった。だが、七色に輝いている。

「これは、サクラとモミジがいま挑戦してる、リブロスの製作過程で生まれた失敗作だ。リブロスとしては、使えない。だが、コレには不思議な性質があった。リブロスは情報を記録する道具だが、これは情報じゃなくて、力を記録することができるんだ。」

「スゴイじゃないですか!」

「「全然すごくないよ!」」
 サクラとモミジが、またまた同時に叫ぶ。

「例えば、炎の力を覚えさせる。すると、ほら!」

 サクラが七色の玉を触ると、火が出る。が、それを見た僕は、キョトンとなる。
 んっ?ライター?

「威力がね。あまり出ないんだよ。炎との相性が悪いだけかもしれないんだけど。」と、サクラが言う。

「ウチもいろいろ試してみたけど、他に使い道が思い浮かばなくて。」と、モミジも悔しそうに言う。

「物は試しだ!タクミ!これをしばらく持っていてくれないか?もしかしたら、何か変化があるかもしれないしな。普通の鉱物よりは、力を吸収してくれると思うんだが。」

 僕はジルの提案に、「いいですよ!」と快諾する。

 竜岩石と同じようなものが出来たら、ジルの試作機も成功するかもしれないし。
 ジルには世話になるからね。出来ることは何でも協力するぞ!と思う僕だった。

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