異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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フラルアルド王国編

77話 セシル、思案する

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 タクミが、パートナーであるドラゴンの幼体の相手をしている頃、セシルはアースの拠点である所有マンションでゴロゴロしていた。

 今日も学校は自主欠席である。
 いつものソファーでぐうたらしていると、エルが報告に来る。

「マスター。リオンとシオンから、連絡がきています。古代神殿でソラというドラゴンと会ったと。」

 ソラ!その名前を聞くのは、何百年ぶりだろう?
 古代神殿で会ったじゃと?

 あっ!たしか、いろいろな神殿に仕掛けをしたと、昔、自慢していたのぅ。
 でもドラゴンにしか分からない仕掛けだったはずじゃ。
 そうか、タクミがそれを見つけたということか。ソラに会ったと言っておるが、本体はこの世界には居ないからのぅ。たぶん分身体の方じゃな。

「それで、何と言っておるのじゃ?」

「侵入者撃退アトラクションという名のダンジョンをガンガルシア王国に移設したいと、ソラが希望しているようです。」

「なんじゃと!まったく、ソラには困ったものじゃのぅ。いつも自分が楽しむことを一番に優先するのじゃからなぁ。」

「どうしますか?」

「断るわけにもいかぬじゃろう?ガルシアにはわれから話しておこう。」

「分かりました。それと、ジルから紋章システムに関する申請がきています。タクミ専用の紋章システムを作ったので、認証してほしいとのことです。」

 エルはそう話すと、空中にデータを表示する。

「ふむふむ。なるほどのぅ。ジルはまた面白いことを思いついたな。このチームの参加者の発想も良いな。タクミ専用というより、ドラゴン専用の仕組みじゃな。これなら、問題ない。許可しておいてくれ。システムの変更は可能じゃろう?」

「はい、問題ありません。ジルのことですから、細かな調整も済んでいると思います。そして、もうひとつ報告が。タクミの協力で、国外活動装置の開発に成功したとのことです。」

「国外活動装置?」

「これです。」と言いながら、エルは空中にまた別のデータを表示する。

「ほほぅ、ドラゴンの力を込めた球を利用した装置。国外の精霊が少ない場所での活動が可能になるもの、ね。」

「マスター、この装置は私の方で独占指定をしました。暗黒大陸での活動も問題なくできる装置だと推察します。ですが、暗黒大陸への進出は時期尚早かと。」

「独占指定か。時期尚早。我もそう思うが…。」

「何か気になることが?」

「うむ。ドラゴンの先祖返りであるタクミや純血のシルフにも劣らない能力を持つ陽子と月子の出現。ソラとタクミの出会い。何かが動き初めているのかもしれないのぅ。」

 空中のデータを見ながら思案していると、エルが話を続ける。

「マスター。その神殿でリオンとシオンが、ソラから古文書をもらったと。いまライルが解読しています。が、どうやら空白の歴史についての記載があるようです。どうしますか?」

 そうか。アレについて書かれた本があったとはな。よく今まで見つからなかったものじゃのぅ。
 ソラが意図的に隠していた?
 いや、ソラにはそんな意図はまったくないじゃろう。珍しい本があったから、ダンジョン攻略の褒美にしようと思って持っていた、というのが正解かのぅ。

「そのままで良い。」

 やはり何かが動き始めたのかもしれぬのぅ。

「わかりました。では最後に、これはタクミとソラの個人的な約束みたいですが。各国の最古の遺跡に仕掛けをしたから会いに来るようにと、ソラから言われたようです。攻略するごとにドラゴンの事を教えると。」

 そうか。やはり、タクミの出現が何かのキッカケになるかもしれないな。

「タクミからマスターに伝言です。『ソラはセシルさまの友達なんですよね?セシリア王国にある最古の遺跡に一緒に行きませんか?分身体だけど、ソラに会いたくないですか?』と。」

 友達ねぇ。アレを友達と言うのかのぅ?
 まぁでも。昔なじみじゃからな。

「そうだな。会いに行くことにしようかのぅ。が、最古の遺跡とは?ヒントはそれだけなのか?あいかわらずソラは大雑把じゃのぅ。」

「私の方で調査しておきます。ただ、ライルが同行したいと言い出すかと思いますが。」

「構わないぞ。では、判明次第、行くとするかのぅ。」

「ですが、マスター。お身体のことを考えると、しばらくはスカラに滞在してください。」

 スカラか。

「約束の日まで、残された時間はあとどれくらいじゃったかのぅ?」

「残りは6年です。」

「そうか。残りは少ないな。だからスカラは無しじゃよ。」

「マスター。いまスカラの特別チームが、治療方法を必死で探しています。お願いですから、一度スカラに滞在を!」

 珍しくエルが必死に頼んでくる。

「我はここで良い。もしダメなら、これも天命じゃよ。スカラに滞在する時間が惜しいからのぅ。」

「マスター……。」
 エルが哀しそうな目で、セシルを見る。

 その目を見たセシルは、エルを見つめてこう返事をする。
「エル、私で最後にしたいの。だから、お願い。ワガママでごめんね。」
 はるか昔の記憶を鮮明に思い出し、セシルはエルにそう懇願したのだった。

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