異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!

心太黒蜜きな粉味

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マルクトール王国編

135話 主人公、結論を出すー3

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「リオン、シオン!」
 僕は大きな声で2人を呼ぶ。

「「なに?結論は出た?」」
 近寄ってくる2人に「教えてほしいことがあるんだ」と切り出す。

「音都羽って知り合いかな?」

「オトハ?ガンガルシアの?もちろん、知ってるよ。それがどうかしたの?」

「音都羽って、テングの血を引いてるのかな?」

「おっ、良く分かったね!そうだよ!」

 やっぱり!ってことは?

「僕達はテングの血を引いてる人にヤスナの後任の神官になってもらうのはどうだろうって話をしているんだよ。フロムが見つけたテング同好会のリーダーは、古代建築研究家なんだ。誰かに似てるなと気になって、思いついたのがオトハだよ。」

「まぁ、たしかに。オトハはテングの血を引いていて、木造建築が大好きだ。もしかしたら、その人を知っているかもね。」
 リオンが可能性を示唆してくれる。

「その人じゃなくても、同じような条件の人を知っていたら、紹介してくれないかと思って。」

「そうか。オトハに紹介を頼むってことだね?」

「うん。監督官は手助けしてはいけないことは知っているけど、ヤスナには時間がないんだよ。だから、リオンとシオンからオトハに連絡してくれないかな?オトハはまだ例の場所だよね?僕からは連絡できないから。」

 使えるものは何でも使うよ!
 僕はアースでは成人だったからね。
 ここでは、まだ大人として認めてもらってないけど…。

「仕方ないなぁ。でも、内容を詳しく説明してくれる?全員賛成の解決策なんでしょ?」

 すると、アランが詳しい内容をリオンとシオンに説明する。
 さすがはアラン。無駄のない説明だ。

 ヤスナの心の負担を軽くするため、テングの血を引く人に神官を引き継いでもらうこと。
 街を存続するために、職人の街や学問都市として再出発する案があるが、最終的には神官を引き受けてくれる人と話し合いで決めること。
 この神殿の神官になる人は、神殿の建築方法も受け継いでもらうこと。

「なるほどね。だから、テングの血を引いていて、古代建築研究をしている人が適任だと思った訳だ。」

「その人がいいと思った理由はもう一つあるの。その人ね。いつか自分の手で古代の木造構造物を再建してみたいって思ってるようなの。」
 フロムが新たな情報を補足する。

「ふぅん。そういうことか。なら、仕方ないね。オトハに連絡してあげるよ。オトハがその人を知っていたら、話は早いしね。」

 シオンが言い終わるより早く、ウサ吉が現れ、報告する。
「オトハから伝言です。『その人、アズサのことなら良く知ってる。連絡しておく。いつか神殿みたいなでっかいもの建ててみたいって言ってたから、すぐ返事があると思う』とのことです。」

 さすがウサ吉!仕事が早いね。

「じゃ、後は連絡待ちだ。連絡が来るまで、解散にしようか。」
 シオンがそう言い終わる前に、返事が来たとウサ吉が報告する。

「ちょっ、どういうこと?返事が早すぎなんだけど。」
 僕はあまりの急展開に思わずつぶやく。
「あい!この世界では、アースみたいに仕事で連絡が受け取れないなんてことは滅多にないから!連絡はすぐ本人が確認する。そして、興味があることなら、すぐに動くよ。もしかしたら、もうこっちに向かってるかも!」
 ミライの説明に、驚く。
「いや、いくらなんでも、話も聞かずにこっちに来るなんてことは無いと思うよ。」
 僕とミライはヒソヒソと話す。

「あっ、返事来た。とりあえず、こっちに来るって。実際に見てから決めるってさ。」

「ほら!やっぱり、あってた!」
 ミライの言葉に僕は頭が痛くなる。

 アースの常識は通用しないんだった。それにしても、なんて素早い対応。転移扉があるから、すぐに動けるのはわかるけど。仕事はいいのか?あっ、仕事も自分の都合でどうにでもなるんだったな。
 この世界の仕事は、究極の自営業だな。

「あと、1時間くらいで着くらしいから。それまで休憩。」

「リオン、シオン。ボクがアズサを近くの転移扉まで迎えに行くよ。ここに着くまでの間に説明した方が分かってもらえると思うから。」

 おぉ!さすがアラン。無駄がない。



 そこからは、まさに急展開の連続だった。
 この神殿を見たアズサはとても感激して、神殿の建て替えが出来るなら、神官になってもいいと言い出す。
 さらに都合の良いことに、テング同好会のメンバーで一緒に暮らす計画をしていたというのだ。場所を探していたから、この街に住むことはメンバーも賛成すると思う、とアズサは言う。

 神殿の建築に関しても、古代建築の研究っていう名目のためなら、精霊球は使用できるし、木材の調達も問題ないらしい。

 ただし、もう宗教都市と名乗ることはできない。アズサはあくまでも神官の役割を引き継ぐのであって、このザーラ神を信仰しているわけではないのだから。

 それでもいいとチカゲは言う。そして、アズサも、もしザーラ神を信仰したいという人がいるのなら、その人に神官の座を譲ると言う。ただし、神殿の建築は自分がするけどね、と付け加える。

 チカゲはそれは問題ないし、むしろ、そうして欲しいと言う。信仰は本人の自由、強要されるものではないので、と。

 アズサは早速ここに住むと言い出す。もともと古い木造建築物を実際に見るため、各地を転々としているから、住む場所が決まっていないのだと言う。

 この世界では決まった仕事場があるわけじゃないから、アズサのように定住しない人も多いのだとミライが教えてくれる。

 そうか。だから、行動が早かったんだ。
 仕事に縛られずにどこにでも行けるって良いね。

「これでエスティオは終了だよ。後はアズサとチカゲに任せよう。君達とパートナー精霊との関係も正常になったようだし、再受講の必要なしとしておくよ。」
「エスティオで学んだことを、これからの人生に活かしてね。今回はこのような結果になったけど、メンバーが違えば違う結果になったことを忘れてはいけないよ。じゃ、解散!」


 リオンとシオンのこの言葉で、エスティオは終了した。

 僕達は、また会おうねと約束して別れる。アランはきっとまたここに来る気だろう。この街が人でいっぱいになるまでは心配だって顔をしているからね。

 僕もこのエスティオでは、いろいろなことを学んだな。そう思いながら、僕達はマルクトールの王宮図書館に戻ったのだった。
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