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監禁十四日目

監禁十四日目① 動揺

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 起きると、そこに莉乃の姿はなかった。
 そして拘束は解かれ、ベッドに寝かされていた。それに気づかぬほど深く眠っていたのか。足にはまた鎖で繋がれた鎖が嵌められていた。起き上がり拘束されて凝り固まった身体を動かしてほぐしていく。昨晩は何も食べなかったので、空腹だった。

 和奏は、解放されたのだろうか。莉乃をここに連れ去ることで、和奏は記憶を消して解放されるはずであった。そもそもそんな技術があるのだろうか。何より、安全なのだろうか。どう考えてもそう思えない。
 一人の部屋は余計なまでに考え事をしてしまう。それでも解決できることなど、何一つありはしない。

「おはよう」
 しばらくして、紫音が現れた。心なしかいつもの飄々とした姿よりは疲れて見えた。
「和奏は、どうした」
 単刀直入に紫音へ言葉を投げた。
「ここでの記憶を消したところだ。だけど、しばらく安静にしなければ、いけないからまだ眠ってるよ。起きたら解放しよう」
 そもそも家はどうなっているのだろうか。二人の子どもがいなくなって、両親は店を開けるどころではないだろう。今頃、警察が捜索していたっておかしくない。だが、今は考えても仕方ない、紫音の言葉を信じて、せめて和奏が無事に解放されてくれれば……

「莉乃はどうした?」
「別の部屋にいるよ。彼女とは、色々あるからね」


 様子を見に来ただけなのか、紫音はそれだけ言うと食事を置いてすぐに去っていった。

 莉乃への気持ちの再燃。莉乃から別れを告げられたのは、本当の気持ちではなかった。それは優夜を想ってのことだった。しかし、結果的に裏目に出てしまった。

 なんとか、なんとか莉乃を連れ出してしてここから脱出しよう。そのためには、どうすれば。

 そこに葉子が現れた。
「妹から、莉乃から色々と訊いたでしょ」
「ああ。お前の母親のことも」
「母は愚かだった。御子神家に仕えず、逃げる道を選んだ」
「それでも、お前の母親はお前を心配していたようだぞ」
「結果的に母は死んだ。逆らえぬものに、逆らった報いで」
「本当にそう思ってるのか、本当は救えたはずなのに」
 その言葉に葉子は初めて動揺を見せた。どれだけ御子神に尽くしたとしても、心のどこかで無意識でも母親のことを気に掛けてしまっていたのだろうか。
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