猿の惑星プロジェクト

九条秋来

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猿の惑星プロジェクト その1 退屈な日常

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イーエフ氏は退屈な日常にあきあきしていた。

ある日、通勤の空中電車の中で、こんな広告動画を見た。

『あなたは退屈な日常から脱け出して、宇宙船で猿の惑星に行ってみませんか、ベータ社の【猿の惑星プロジェクト】なら、簡単にあの映画の猿の惑星のラストシーンを体験出来ます。安心安全な宇宙旅行体験です』

この広告に興味を持ったイーエフ氏はさっそくベータ社に出向いて内容をきいた。
その内容はあのチャールトン・ヘストンが主演した映画『猿の惑星』のラストシーンを体験出来るというものだった。
そして最後に海辺に発見した自由の女神像を見て「なんてこった、ここは地球だったのか・・・」とか叫んで旅行は終わるというものだった。
あの映画にあるような、野蛮な猿文明と出会って散々苦労するといった内容はすべて体験ドームの中で3D映画の体験的映像として見るだけだ
これなら、日常の仕事に差し支えることはない。
貯めてある長期休暇をとれば簡単に体験出来る。

イーエフ氏はすぐにこのプロジェクトに申し込んだ。
そして宇宙旅行にともなう危険に対する保険契約をすませた。
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