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気まぐれな小説③
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二人の男が、いつもの珈琲店で雑談をしている。
長居可能なこの店には、こういう人が、よく来るのだ。
「俺、やっと元カノのこと吹っ切れそうだ。」
「やっとかよ。」
「だぁっっってぇぇぇぇぇ! ホントめちゃくちゃ好きだったんだよぉぉぉ!」
「はいはい。っていうか、元カノさんってどんな人だったんだ? 全然教えてくれなかったし感情移入もなんもねぇんだよ。」
「良い奴だよ……今もそう思う──」
──彼女との出会いは、中学だ。
その頃、女子に人気のゲームの新シリーズが発売された。そのゲームが好きだった俺は、誰にも言わずに買いに行った。
その時、運悪く彼女に見つかってしまった。
しかし彼女は、「えっ、○○さんもソレ好き!? 私も好きなんだよね! あっフレンドになってくんない!?」と目を輝かせた。
それから、俺たちは仲良くなった。
元からクラス全体の仲は良かったが、俺たちは特に仲良くなった。
彼女は、よくゲームに誘ってくれた。
勝っても負けても楽しそうで、俺も彼女と遊ぶと楽しい。
俺たちやクラスの人、その他、困っている人が居たら、必ず助けた。
俺と目が合うと、すぐニコッと笑う。
クラスが別れても俺たちは仲良しだった。
彼女は、お笑いやバラエティがよく好きだった。
誰かが失敗したとき、一番に励ましてくれる。
いつも本心を喋る。というより嘘をつくのが下手だった。でも、彼女の褒め言葉は、絶対に本心だからとても嬉しかった。
自分のことをよく話す。
自分のことが大好き。
行事などを全力で楽しむ。
一度、俺は無意識に彼女を傷つけてしまったことがある。そのとき、彼女は、自分の気持ちを正直に話してくれた。
……それから、もっと仲良くなった。
親の期待に応えるために、俺がしんどくなるほど勉強を頑張っていたとき、彼女は「○○くん、最近しんどそう」と俺を心配してくれた。
俺と彼女の志望高校は別だった。元々、中学を卒業したら、もう会わないのかなと思っていた。
卒業式の日、彼女は俺を呼びかけると、「好き」と言った。
そこで、彼女をちゃんと女性として見たとき、俺は、今まで喋った、彼女のそういうところが好きなんだと気づいた。
「あ……俺も……好きだわ……。」
「……!? え……!? えっ!?」
お互い、まさか付き合うことになるとは思っていなかったが、こうして付き合うことになった。
彼女と付き合うと、彼女の好きなところが、どんどん増えた。
俺がデートをドタキャンしてしまったとき、彼女は怒るどころか、体調を心配してくれた。
俺が、学校の、ある大役をなんとか成功させたとき、自分のことのように喜んでくれた。
俺の誘った飲食店が休業だったとき、「まっ、そんなこともあるよね~笑」と言って違う飲食店を探してくれた。
大学生になってからも、彼女は良い人だった。
断れない飲み会に誘われたとき、「へぇ~、楽しんできてね」とあっさり言ってくれた。俺が、気にならないのか聞いてみると、「えっ気になるに決まってんじゃん」と言ってきた。ちゃんとヤキモチ妬くのが可愛かった。
彼女に尽くされているのがわかる。
「俺で良かったの?」と聞いたとき、「私の選択がミスってる訳ないじゃん」と自信満々に答えてくれた。
俺たちは気持ちを言葉で表すようにした。
彼女は、俺に寄り添ってくれた。
彼女は、「ごめんね」を言った。
彼女は、「ありがとう」を言った。
彼女は、「どういたしまして」を言った。
俺が彼女を大好きなように、彼女は俺が大好きだと信じられた。
「──そんな、最高な奴だよ。」
「へぇ。そんな最高な彼女さんだったのに、なんで元カノになっちゃったんだ?」
「んー……。まぁ、仕方なかったんだよ。」
その日は、急な大雨が降ってきて、夕方でも辺りは薄暗くなっていたんだ。
おまけに、滑りやすくなっていてね。
彼女は、家に帰るのを急いでたんだ。
歩道橋の階段を下りてるとき、つい足を滑らせてしまって……。
世界は、灰色に染まったんだ。
長居可能なこの店には、こういう人が、よく来るのだ。
「俺、やっと元カノのこと吹っ切れそうだ。」
「やっとかよ。」
「だぁっっってぇぇぇぇぇ! ホントめちゃくちゃ好きだったんだよぉぉぉ!」
「はいはい。っていうか、元カノさんってどんな人だったんだ? 全然教えてくれなかったし感情移入もなんもねぇんだよ。」
「良い奴だよ……今もそう思う──」
──彼女との出会いは、中学だ。
その頃、女子に人気のゲームの新シリーズが発売された。そのゲームが好きだった俺は、誰にも言わずに買いに行った。
その時、運悪く彼女に見つかってしまった。
しかし彼女は、「えっ、○○さんもソレ好き!? 私も好きなんだよね! あっフレンドになってくんない!?」と目を輝かせた。
それから、俺たちは仲良くなった。
元からクラス全体の仲は良かったが、俺たちは特に仲良くなった。
彼女は、よくゲームに誘ってくれた。
勝っても負けても楽しそうで、俺も彼女と遊ぶと楽しい。
俺たちやクラスの人、その他、困っている人が居たら、必ず助けた。
俺と目が合うと、すぐニコッと笑う。
クラスが別れても俺たちは仲良しだった。
彼女は、お笑いやバラエティがよく好きだった。
誰かが失敗したとき、一番に励ましてくれる。
いつも本心を喋る。というより嘘をつくのが下手だった。でも、彼女の褒め言葉は、絶対に本心だからとても嬉しかった。
自分のことをよく話す。
自分のことが大好き。
行事などを全力で楽しむ。
一度、俺は無意識に彼女を傷つけてしまったことがある。そのとき、彼女は、自分の気持ちを正直に話してくれた。
……それから、もっと仲良くなった。
親の期待に応えるために、俺がしんどくなるほど勉強を頑張っていたとき、彼女は「○○くん、最近しんどそう」と俺を心配してくれた。
俺と彼女の志望高校は別だった。元々、中学を卒業したら、もう会わないのかなと思っていた。
卒業式の日、彼女は俺を呼びかけると、「好き」と言った。
そこで、彼女をちゃんと女性として見たとき、俺は、今まで喋った、彼女のそういうところが好きなんだと気づいた。
「あ……俺も……好きだわ……。」
「……!? え……!? えっ!?」
お互い、まさか付き合うことになるとは思っていなかったが、こうして付き合うことになった。
彼女と付き合うと、彼女の好きなところが、どんどん増えた。
俺がデートをドタキャンしてしまったとき、彼女は怒るどころか、体調を心配してくれた。
俺が、学校の、ある大役をなんとか成功させたとき、自分のことのように喜んでくれた。
俺の誘った飲食店が休業だったとき、「まっ、そんなこともあるよね~笑」と言って違う飲食店を探してくれた。
大学生になってからも、彼女は良い人だった。
断れない飲み会に誘われたとき、「へぇ~、楽しんできてね」とあっさり言ってくれた。俺が、気にならないのか聞いてみると、「えっ気になるに決まってんじゃん」と言ってきた。ちゃんとヤキモチ妬くのが可愛かった。
彼女に尽くされているのがわかる。
「俺で良かったの?」と聞いたとき、「私の選択がミスってる訳ないじゃん」と自信満々に答えてくれた。
俺たちは気持ちを言葉で表すようにした。
彼女は、俺に寄り添ってくれた。
彼女は、「ごめんね」を言った。
彼女は、「ありがとう」を言った。
彼女は、「どういたしまして」を言った。
俺が彼女を大好きなように、彼女は俺が大好きだと信じられた。
「──そんな、最高な奴だよ。」
「へぇ。そんな最高な彼女さんだったのに、なんで元カノになっちゃったんだ?」
「んー……。まぁ、仕方なかったんだよ。」
その日は、急な大雨が降ってきて、夕方でも辺りは薄暗くなっていたんだ。
おまけに、滑りやすくなっていてね。
彼女は、家に帰るのを急いでたんだ。
歩道橋の階段を下りてるとき、つい足を滑らせてしまって……。
世界は、灰色に染まったんだ。
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