カエルのマユちゃん。

SB亭孟谷

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左向きのシャチ 中

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「ではー♪ お前達にーアパヂャイ革命戦士になるためのー♪ 教えを施すアルよー♪」

 鈴木家の庭の外周を、ぐるぐるとシャチが泳いでいる。

「まずはー♪ 兎にも角にもー♪ 挨拶からアルなー♪」

「挨拶?」


 シャチの描く円の中で、麻由がシャチに訪ねた。


「そうアルよー♪ シャッチーに挨拶するアル」

「こんにちは!鈴木麻由です!!」

 宏明も驚くほど、元気な挨拶を麻由は返した。

 シャチは、麻由の側まで地中を泳ぎ、地中に出ると、ヒレで麻由の頭をポンポンと叩いた。

「いい子ー♪」

 シャチに撫でられて麻由は大喜びである。

 そして隣にいる犬も、

「ワン!」

 と吠えた。

 シャチは、犬の側まで地中を泳ぎ、ヒレで今度は犬の頭をポンポン叩いた。

「いい子ー♪」

 シャチは、何も言い返さない宏明に向かって、ヒレを人間の手のように振って見せた。

「シャッチー♪」
 
 宏明が無反応でいると、シャチが宏明の側までやってきて、ヒレでビンタを食らわせた。

「指導ー♪」

 これが相当痛かった。全身の骨に響いたんじゃないかという衝撃だった。

「見たところー♪ 向こうの二人はー♪ すでに立派な革命戦士としての自覚が芽生えているアルなー♪
 お前全然ダメアルよー♪原点2」

 すると今度は、シャチはヒレで宏明の頭を撫でた。

「だけどー♪革命戦士はー♪ 一人の労働者も最後まで見捨てないアルよー♪
 元気出せアル」

 シャチは、また庭の外周をグルグルと泳ぎ始めた。

「なかなかー♪ 指導しがいのある三人アルなー♪ でもー♪油断しちゃダメアルよー♪
 アパヂャイ共和国にこんなことわざがあるアル。
 『御地になりたいなら、まず相手を褒めよ』」

「どういう意味?」

 麻由がシャチに尋ねると、

「シャチアルよー♪  海最強の危険生物アルよー♪ シャチが出てきたらどう思うアルかー♪」

「可愛い!」

 麻由がこたえると、シャチは麻友の側まできて、ほっぺにチューをした。
 麻由はキャッキャと大はしゃぎ。
 宏明は思わず身を乗り出す。

「あ! こら!」

「なかなか優秀な革命戦士アルなー♪ でも油断ダメダメアルよー♪
 アパヂャイにはこんな思想があるアル。
 『可愛いだけが正義じゃない』」

「どういうこと?」

「怖いものをー♪ 見たらー♪ 素直に怖がるアルよー♪」

「怖がればいいの?」

「シャチが地面から出てきて、右ヒレを上げたらこう言うアル。『あ!シャチ怖!』
  ……やってみるアルよー♪」

 するとシャチは、地中に潜水し、庭の端に顔を出して、右ヒレを挙げた」

「あ!シャチ怖!」

「ワン!!」

 シャチは麻由と犬の側まで泳いできて、二人の頭をヒレで撫でた。

「よくできましたアル。
 これでー♪  海でシャチに遭遇しても助かるアルなー♪ 二人にはー♪ アパヂャイ十字勲章を授与するアルよー♪」

 シャチは、どこから取り出したのか、飴を二人に手渡した。

「麻由! 捨てなさい! 汚い!」

シャチは今度は宏明の方を見て、

「シャッチー♪」

 右のヒレをふった。

「なんですか」

 するとシャチは宏明の側まできて、

「無知の知ー♪」

 バシン!と豪快な平手打ちである。

 全長4mものシャチの平手打ちである。宏明は軽く吹っ飛んだ。
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