カエルのマユちゃん。

SB亭孟谷

文字の大きさ
41 / 59
シーズン3

ブラウン捜査官、あらわる。

しおりを挟む

 靖子と犬が去った後、
 たぬきのデカ長は、事態の重さを認めた。
 とても、自分達の手に余る事件である。

 そして
電信柱の下から黒電話で警視庁に連絡をし、応援を呼んだ。




 きっかり3分後に、応援はやってきた。



 それは4本足で、白と黒の毛がフサフサの動物である。
 だが、それが果たして『何である』のかは判りようがなかった。なぜなら……

 上半身と呼ぶべき部分なのであろうか、頭と、前足にあたる部分を、すっぽりズボンが覆い隠し、
逆に露出された下半身、その後ろ足にサスペンダーがかかっている。

『彼』が前進している姿は、4つ足の動物が『後歩き』しているようであった。


「待たせたね」

 動物の、尻尾とお尻が、二人のたぬきに話しかけた。

 たぬき達は敬礼をする。

「FBIからきた、ブラウン(ぷぅ)……失礼。
 ブラウン捜査官だ。(ぷ)……失礼。よろしく」

 ブラウン捜査官は、デカ長に後ろ足で握手を求めてきた。
 若干戸惑いながらも、たぬきのデカ長は握手に応じると……

「(ぷぷぷ……ぷぅ)……失礼」

 たぬきの巡査の方は、鼻を摘んだ。
 その仕草を見て、デカ長は巡査の頭を叩いた。

「バカもん! 失礼だろう!」

「すいません」

「いいんだ。気にしないで(ぷぅぅ)……失礼。気にしないでくれたまえ」

 たぬきの刑事達は応援で送られてきた刑事に戸惑っていた。
 FBIという聞いたこともない肩書きもさることながら、やはりどう考えてもズボンを履いている位置がおかしい。
 これでは後まえ……否。上下……が逆さまだ。お尻が喋っている事になる。

 戸惑っている二人の空気を感じ取ったのか、ブラウン捜査官は、

「どうか気楽に(ぷぅ!)……失礼。気楽に構えてくれたまえ。
 これから我々は一つの(ぷぷ……プリ)失礼。
 一つのチームになるわけなのだからな(ぷー)失礼」

 巡査のたぬきは鼻を摘んだ。

「では早速仕事にとりかか(ブ!)……取りかかるとしよう(ぷーー)
 話は警視庁で聞いてきた。つまりは……君たちの(ぶり)……失礼。
 君たちの上司にね。(ぷぷぷーー)
 それで私は確信した。これは(ぷぅ)……私が追っている犯人に違いない」

「あの……」

「何かね」

「さしでがましいようですが、お手洗いなら……そこの家の鈴木さんのお庭を使わせていただくことになっておりますので。
 よろしければ御用を済ませてから……」

 デカ長がそこまで言うと、

「ハハハ!(ぷう)
 わかった。後でそうさせてもら(ぷ)よ。教えてくれてありが(ぷう)
 しかし、今は1秒でも惜しいのでね」

 ……そうは言われても一向に話が頭に入ってこないのだ……デカ長は困ってしまった。

「(ぷ!!)……失礼。話を続けよう。
 この事件はね……大変な(ぷーーー)……失礼。大変な事件だよ。
 何せ、相手は悪い犯人だ」

「この、『特徴のないパンダ』がですか……」

「そう!(ぷ!!)
 ……言い換えれば、『パンダ特徴が無い』だ。(ぷ!!)
 私はかれこれ……10年やつを追ってい(ぷう!!)……追っている」

「そんなに悪いパンダなんですか?」

「悪くないパンダはただのパンダだ!(ぷう)……失礼」

 たぬきの巡査は、事務机の引き出しからガスマスクを取り出して装着した。
 それを見たデカ長は、

「あ! ずるいぞお前だけ!!」

 巡査のガスマスクを引っぺがそうとしたが、

「何を遊んでいるのかね!!(ぷう)」
 
 と、ブラウン捜査官に叱られ、しゅん としてしまった。

「それで、そのパンダはどんな犯罪を……?」

「うむ。(ぷぅ)……失礼。
 そのパンダはな。凶悪な『放屁犯』だ」

「ほうひはん?」

「そうだ(ぶり) 時折、公然猥褻物陳列罪も併せて犯すことがある。
 日本ではまだこのような犯罪を取り扱った事がないようだが(ぷ!!)……失礼。
 私の国では禁錮30年はする大罪だ」

 デカ長と巡査は、長いこと顔をあわせて、黙り込んでしまった。

「どうしたのかね(ぷ)」

「いえ……なんでしょうな。色々と理解が追いつきませんで」

「無理もない(ぷり)。日本の犯罪に対する価値観はだいぶ遅れている(ぶ!!)……からな。
 しかし、我々がこうしている間にも(ぷす)奴は(ぷす)街の空気を汚しているのだ!!(ぷす)
 自覚があるのか無いのか知らんがな!」

 たぬきのデカ長は、シワの酔った眉間に手を当てた。

「それを、ブラウンさんが追っている……わけですか?」

「そうだ!(ぷ!)」

 デカ長が巡査の方を見ると、
巡査はガスマスクに顔が隠れていることをいいことに声を殺し、腹を抱えて笑っているようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...