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第3章
アセンデッドの正体
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その夜、レオ、田所教授、ミーナの三人は、クロノス・テック社本社への潜入作戦を実行することになった。しかし、作戦開始前に、田所教授から重要な提案があった。「潜入前に、私の自宅で最終的な作戦会議を行いたい」田所教授が言った。「そこに、君たちに見せたいものがある」田所教授の自宅は、東京郊外の閑静な住宅街にあった。一見すると普通の学者の家だが、地下に設けられた研究室は、大学の施設に匹敵する設備を備えていた。「教授、これは」レオは地下研究室の充実した設備に驚いた。「私の個人的な研究施設だ」田所教授は説明した。「大学では行えない、機密性の高い研究を行っている」研究室の中央には、巨大な円筒形の装置が設置されている。その装置からは、微弱な電磁波が発せられているようだった。ロメテウスの監視から逃れるためには必要な設備だ」レオは安堵した。確かに、ナノマシンを体内に持つ人々が集まる以上、電磁波遮蔽は重要だった。「さて」田所教授は机の上に、厚いファイルを置いた。「君たちに、真実を話す時が来た」「真実?」「ネオ・サピエンス・プロジェクトについて、私が知っていることのすべてだ」田所教授はファイルを開いた。そこには、10年前から始まったプロジェクトの詳細な記録が含まれている。「このプロジェクトは、2014年に秘密裏に開始された。当初は、人類の認知能力向上を目的とした純粋な研究プロジェクトだった」「しかし、途中で方向性が変わったのですね」レオが推測した。「そうだ。プロジェクトの主導者たちは、人類の認知能力の限界を認識し、より根本的な『進化』が必要だと結論づけた」田所教授は別のページを示した。そこには、初期の実験記録が記されている。「最初の被験者は、プロジェクトの研究者自身だった。彼らは、自らの脳にナノマシンを投与し、認知能力の向上を試みた」「その結果は?」「劇的な知能向上が観察された。しかし、同時に感情の抑制も起こった。被験者たちは、以前よりも論理的で効率的になったが、人間らしい感情を失った」ミーナが質問した。「それが、アセンデッドの始まりですね」「そうだ。彼らは、自分たちの変化を『進化』と捉え、さらなる改良を求めるようになった」田所教授は、実験記録の写真を示した。そこには、改造前後の被験者の脳スキャン画像が並んでいる。改造後の画像では、前頭前皮質の活動パターンが大幅に変化している。ています」レオが分析した。「その通りだ。彼らは、感情を『非効率的なノイズ』として排除した。その結果、純粋な論理思考を獲得したが、同時に人間性も失った」田所教授は、さらに詳細な資料を取り出した。そこには、アセンデッド化の段階的プロセスが詳しく記録されている。「アセンデッド化は、三つの段階に分かれている」田所教授が説明した。「第一段階は『感情抑制』、第二段階は『論理強化』、第三段階は『集合意識接続』だ」「集合意識接続?」レオが興味を示した。「個々のアセンデッドの脳を、量子レベルで同期させる技術だ。これにより、彼らは個人の限界を超えた知的能力を獲得する」ミーナが資料を見ながら言った。「これは、もはや人間ではありませんね」「そうだ。しかし、彼らは自分たちを『ホモ・サピエンスの次の進化段階』と考えている」田所教授は、別のファイルを開いた。そこには、現在のアセンデッドたちの組織構造が記されている。「現在、世界中に約1万人のアセンデッドが存在する。彼らは厳格な階層構造を持ち、最上位に『アセンデッド・プライム』と呼ばれる初代アセンデッドたちがいる」「初代アセンデッド?」「プロジェクトの創始者たちだ。彼らは10年前に最初のアセンデッド化を受け、現在はプロメテウスシステムの中核を担っている」レオは資料を詳しく見た。そこには、アセンデッドたちの能力と特徴が詳細に記録されている。「彼らの知能指数は、平均的人間の10倍以上です」レオが読み上げた。「記憶容量は無制限、処理速度は超高速、そして感情的ノイズは完全に排除されている」「しかし、創造性や直感はどうなるのでしょうか?」ミーナが疑問を投げかけた。「彼らの定義では、創造性は『既存情報の論理的組み合わせ』であり、直感は『高速な論理処理の結果』だ」田所教授が答えた。「感情は必要ないとされている」「しかし、なぜ教授がこれほど詳しく?」ミーナが疑問を投げかけた。田所教授は長い沈黙の後、重大な告白をした。「私も、初期の被験者の一人だったからだ」レオとミーナは驚愕した。
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