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一章 本命じゃないくせに嫉妬はやめて!
35、1人でできる!
しおりを挟む森の中を歩く俺は、久しぶりの戦いに猛り狂っていた。
そんな俺の周りには、沢山のホーンラビットが赤い瞳をこちらに向けて、鋭い角でこちらを一突きにする機会を伺っているようだった。
先に動き出した一体のホーンラビットが俺の前に飛び出してきたため、俺は叫びながら真っ二つに両断する。
「はっ!!!!」
そして仲間を切られた他のホーンラビットは怒りとともに、一斉に飛びかかって来たのだ。
しかし俺は冷静に剣を振り回し、そいつら全員を横薙ぎに斬り伏せる。
切られたホーンラビット達は、地面にドサドサと倒れ息絶えたようだった。
「おぉ!さすが、デオは強いね~」
声のする方を見ると、俺の戦っている様子を手を出さずに見てくれていたウルが、楽しそうに拍手していた。
そのことに俺は怒りを覚えてしまう。
「俺を馬鹿にしてるようにしか聞こえないからその言い方はやめろ。それにこんな雑魚をいくら倒してもウルには到底届かないのに、そんな事言われても嬉しくない!」
「ごめんごめん!でもデオは、戦闘に入るとなんか性格が変わるよね~。怒りっぽくなって常に興奮してる?」
「うるさい!俺はただの戦闘狂なだけだ……」
「わおっ!自分で言えるぐらい戦闘が好きなんて、俺と一緒だね!」
「…………」
ウルの相手をしてるのが面倒くさくなった俺は、息絶えたホーンラビットの処理をすることにした。
後ろでウルが「え?無視!?」と騒いでいたが気にしないでおこう。
確か依頼書には、ホーンラビットを討伐した証として角を持って帰れば良いと書いてあった。
そのため俺は一体ずつツノを切り落としていく。
そして全てのツノを袋に仕舞い終わった頃、戦闘への興奮も少しずつ冷めてきていた。
そうなると、先程ウルに強気な態度で接してしまったことに少し不安になった俺は、ウルの表情を伺いながら近づいてみることにした。
「ウル、終わったんだが……待たせてすまない」
「大丈夫だよ?この調子ならデオの冒険者業も順調そうでよかった!」
そう言うウルは別に気分を悪くしてる感じはしない。
でも何がウルの怒りを買う引き金なのかわからないため、俺は先程の事も一応謝っておく事にした。
「あと、先程は言い過ぎたかもしれない……戦いに身を任せると上手く感情を抑えられなくなってしまうんだ」
「そう見たいだね~、だけどその姿……俺はとても興奮したよ?」
「は?」
何処に興奮要素が有ったのか全くわからないが、ウルは何故か俺の方に近づいてくる。
「正直言うと興奮が抑えられないから、少しお尻触らせてよ?」
「何故そうなるんだ!?」
もう目前に迫るウルを避けることなんて出来ず、抱き締められるように伸ばしたその手を受け入れるしかなかった。
そしてお尻を鷲掴みにされた俺は、ウルを睨みつける。
「そんな可愛い顔してもダメだよ?余計に興奮するだけだからね~」
「まだ依頼の途中なんだぞ!俺の邪魔をするな」
「大丈夫、揉むだけにするからさ~」
「なら、股間のソレはどう言い訳するつもりだ?」
腰をぐいぐい押し当ててくるウルの股間には、すでに膨らんだソレが俺に対して激しく主張をしてきていた。
これでやらないからと言われても全く信用ならない。
「俺が我慢できないとでも?」
「出来るようには見えない……それに俺は、ちゃんと話し合いをするまでそう言うことはしないからな」
「ふーん、そらならデオが耐えられなくなるまでズブズブに気持ちよくしてあげようか?」
「……何でそうなるんだ」
俺は真面目に考えているのに、いまだに楽しそうにお尻を揉んでいるウルに、激しく怒りを感じてしまう。
「いいか、俺は今日は初めての依頼なんだから、真面目にやってるんだ!だからウルは邪魔しないでくれ!!」
「ああ、そうだったね。ごめんよ、デオの色んな姿を見て俺が抑えられなくなっちゃったんだ」
少しおちゃらけながら手を離したウルを見て少しほっとした俺は、依頼をこなしながら思っていた事を言うことにした。
「なら、ここからは俺一人でやる。それに明日からウルはいないんだから、一人でやれるようにならないといけないだろ?」
「確かにそうだけど~、本当に一人で大丈夫?」
「これぐらいの依頼、一人でもできるからウルは絶対についてくるなよ!!」
俺はそう言うとすぐにその場から駆け出した。
走ったところでウルにはすぐに追いつかれるだろうけど、少しでも距離を離したかった。
ひたすら走った結果、俺は少し森の奥に入ってしまっていた。
でもここまでこれば一人でのんびり散策も出来るはずだ。
そう思った俺は、今度こそ採取と討伐を頑張ろうとゆっくりと歩き始めたのだった。
そして時間はだいぶ経ち、もう充分な程素材を集めて討伐数も充分だろうと思った頃、俺は少し休憩するために大きな木に寄りかかって座っていた。
流石に朝からずっと歩き詰めで、俺は疲れてしまったのだ。
そろそろお昼だろうかと、持ってきた水を飲む。
水袋を口から離すと、その飲み口には何故か血がついていた。
どうやら、唇が乾燥して切れたようだ。
「そういえばウルに唇の保湿クリームを貰ってたような?」
つい独り言を零してしまった俺は、この国に初めて来た日にウルが俺のために買ってくれた物があった事を思い出す。
そういえばまだ使った事がなかったので、せっかくだからと俺はそのクリームを唇に塗ってみる事にした。
そしてそのケースを見ながら、こんなふうにウルにも少しは優しいところがあるんだよなと思い出し、何故か俺は胸がキュッとなってしまう。
そうだよな……優しい所も、意地悪な所も、変態な所も全てウルなんだ。
そして俺は今までの甘い言葉を思い出し、ウルの事を考えれば考えるほど胸がドキドキしてしまう。
気がつけば俺は、何故かセックスしているときの色気が漏れているウルを思い出してしまい、つい唇を軽く舐めてしまったのだ。
先ほどクリームを塗ったばかりなのに、と考える暇もなく突然ドクンと鼓動が速くなったのがわかった。
あ、あれ?
俺……ウルの事を考えただけなのに、なんでこんなに興奮して……。
それに胸についているスライムが、いつもよりもチリチリと胸を刺激してくるのがわかる。
また感度があがったのか?と俺は疑問に思ってしまう。
実は最近、つけているだけでモゾモゾとくすぐったくなっており、常に俺の乳首は立っていた。
だけど防具で胸を押さえていたりして、そこはずっと誤魔化していたのだ。
それなのに、今の俺はすぐにでもその乳首を触りたくなってしまい、体を少し左右に捩る。
しかしモゾモゾと動いても俺の得たい快感を得る事は出来なかった。
そんな興奮状態の俺は乳首を直接触りたくて触りたくてもう耐えられなくなってしまっていた。
だから触る前に一度周りを見渡し、突然襲われないようにと音玉をばら撒く。
これで魔物がそれを踏めば音で知らせてくれるはずだ。
準備はできたと、もう冷静ではない俺は胸の防具を外し、服の上からでもわかるほど尖った乳首を触るため、抑えられない衝動のまま手を伸ばしてしまったのだった。
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