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第四章 悪魔召喚編

38、神殿にGO!

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その神殿の内部は天井がとても高く、一面真っ白な壁だった。
そのせいで俺はここに来てから、ずっと目がチカチカしている。

そして今いる部屋は、まるで川のように水が流れており、それは隣の部屋へと続いていた。
その水を逆に辿っていくとそこには美しい女神像が佇んでいる。

俺はその女神像がもつ大きな瓶を、先程から不思議そうに見つめていた。
だってその瓶の先は何も繋がっていないのに、何故かそこから水が溢れ出ているのだ。
そしてこれには『女神の涙が溢れる瓶』という説明文が貼ってある。

つまりこの部屋に流れている水は全て『女神の涙』ということになる。
持ち出し禁止になっているけど、それで大丈夫なのか……?
それとこの水が流れ出る隣の部屋は『女神の涙』の製造場なのだろう。

何度見ても不思議なそれに、首を傾げつつ隣にいる男に問いかけた。

「ダン、これはどういう仕組みなんだと思う?」

神殿に一緒に来てくれたダンは、そもそも興味が無かったのかその問いに苦笑いすると、俺の頭をポンポン叩く。
何故かそれだけなのに、俺の顔は赤くなる。
なんで……いや、俺は本当にどうしたのだろうか。

「女神とやらがいるんだったら、そういう物を作り出せた変なやつがいたんだろうよ。それとあの瓶をよく見てみろ」

赤い顔をダンに見られないようにするため、俺はすぐさま女神像のもつ大きな瓶を見た。
目を凝らすと、そこには魔法陣がビッシリと書き込まれているのがわかる。

「おぉ、これは凄い。これを作った女神様は、そうとう研究好きな人だったんだろう」
「あー、こういうのを見ると嫌になるぜ。これだから進化したやつらは変なのしかいねぇんだよ……」

そう言ってため息をつくダンは、思い出したく無いのか顔をしかめていた。
だから少し気になった俺は、つい聞いてしまった。

「もしかして、ダンはそういう人物に何人か会ったことがあるのか?」
「あー、まぁな。でもろくなことしねぇ奴らばかりだったから、すげぇ迷惑かけられたんだぜ?本当に思い出したくねぇし、もう会いたくもねぇ……」

そう言われて、俺もウルを思い出してしまった。
確かに一度会えば、なるべくもう会いたくない存在なのは間違いない。
他の人もそうなら、女神様に直接会いに行くことがなくて良かったかもしれない。

そう考えて、俺たちはため息をついていた。
だからその話はすぐに切り上げて、もう少し神殿内の散策をする事にしたのだった。


そして歩き続けて、何度も思った事があった。

「ここに来たときからずっと変だと思っていたんだけど、なぜ神殿がこんな観光地になってるんだ?」
「さあ、俺は知らねぇなぁ?」

周りを見回すと、この部屋には沢山の観光客がいた。
何故わかるのかといえば、どう見ても王都に住んでいる格好ではない人々が物珍しそうに、この部屋を見ているからである。

「それは私がお教えしましょう」
「うわっ!」

いきなり後ろから現れた男に、俺は驚きの声を上げてしまった。
振り向いてよく見ると、どう見ても神父様の格好をしている。

「失礼しました。私はここの管理を任されている者です。ですので説明はお任せください」
「い、いや俺たちは観光に来たわけじゃ……」
「そう仰らず!!」

グイグイくる神父様に俺は少し引いていた。
そんな俺を見かねたのか、ダンが俺を引き寄せて神父との間に割って入ってきた。
それだけなのに、俺の心臓はトクンと跳ねる。
なんで少しキュンとしてんだよ!?と、頭の中は大混乱である。

「すまねぇが、俺たちは女神の涙を買いにここまで来ただけなんでな。売ってる場所を教えてもらってもいいか?」
「おお、そうでしたか!それは失礼しました。あれはうちの看板商品ですからね、是非ご覧ください。それから販売所はそこを真っ直ぐ行って右でございます」
「そうか、ありがとな」

ダンの鮮やかな流しで、俺はなんとか神父様から抜け出せたようだ。
そして今の俺は、鼓動も元通りになりホッとしていた。
そして別れ際に神父様は祈りながらこう言ったのだった。

「お二人にはとても強い加護を感じます。どうかあなた方にこれからも竜の御加護がありますように」

その言葉に俺は首を傾げてしまう。
俺にはたしかに竜の加護がついているが、ダンにも何か竜の加護がついているのだろうか?

疑問に思ったが、それよりも『女神の涙』を手に入れることの方が大事だと頭を切り替える。
そしてその後、俺はついに『女神の涙』を買うことができたのだ。

これでようやく全ての素材が集まったことになる。
その歓喜する気持ちを抑えて、俺達はとりあえず神殿を後にしたのだった。
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