やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた

文字の大きさ
54 / 110
第四章 悪魔召喚編

39、告白

しおりを挟む

外にでると、王都が上からよく見えた。
神殿は丘の上にあるため見晴らしがとてもいいのだ。
だからその景色に俺は声を上げた。

「おぉ、ここからみる王都もいいもんだな」

素材を全て集めることができたからだろうか?
嬉しくていつもより景色が綺麗に見えているかもしれない。

「そうか?俺からしたらどこでも一緒に思っちまうんだがな」

そう言うダンを見上げると、全く興味なさげにその景色を見ていた。それだけなのに、俺はダンの顔から目が離せなくなる。
できれば、そのままこっちを見ないでくれと思ったのに、ダンはすぐにこちらを向いてしまった。
そのせいで、黒色の瞳と目が合ってしまう。

「ん?どうした、こっちをじっと見つめて……」
「い、いや何でもない」
「今日はしょっちゅう顔が赤くなるが大丈夫か?熱とかないよな?」

そう言ってダンは俺のオデコに手を当てた。
それにまた俺の顔は熱くなる。
本当に俺はどうしてしまったのだろうか……。
ダンには聞きたいことが沢山あるのに、上手く言葉が出てこない。

「熱はねぇみたいだが、調子が悪いなら少し休憩していくか?」
「そ、そんなこと言ったらダンだって、今日はよくため息をついてるぞ。疲れてるんじゃないのか?」

今日は無意識にずっとダンを見ていたが、いつもよりため息をついていた気がするのだ。
でも俺は、その姿さえもカッコよく思えてしまったので、そのことを余計に覚えていた。

「……確かにそうかもな。じゃあ、それならあそこのカフェに行くか」

そう言って手を離したダンは、神殿のすぐそばにあるカフェテラスを指差した。


そこで休憩をとることにした俺たちは、丘からの景色がよく見える席に座っていた。
そしてコーヒを飲んでいるだけなのに、ダンがいつもよりも2倍ぐらいカッコ良く見えてしまう。

このままではいけないと首を振り、俺はウルから聞いた話をとりあえず確認するため、口を開こうとした。
しかしそれよりも早くダンが話しはじめたのだった。

「セイ、お前に言いたいことがあるんだ……」

その言葉に俺はドキリと心臓を跳ねさせ、話したい内容を全て忘れてしまった。

なんなんだ俺の心臓!ドキドキしてなに少し期待してるんだ……まず、期待ってなんだよ……。
ダンは俺のことを子どもとしか思ってないんだぞ。だからどうせたいした内容じゃないに決まってる。

そんな事を考えている間も、ダンは続きを言う事なく景色を見ていた。
そしてなかなか話し始めないことに痺れを切らした俺は、先に口を開いてしまう。

「言いたいことってなんだ?途中でやめられると気になるんだが……」
「そうだな。お前も今まで頑張ってきたんだから……俺もちゃんと言わねぇとな」

そしてダンの黒い瞳が俺を見る。
光の加減のせいか、その瞳の色はどこか青くなっているように見えた。

「……最後に、セイとこうしてゆっくり話す事ができて良かった」

ようやく口を開いたダンの言葉に俺は目を見開く。
最後?その言葉を理解できなくて、俺は一瞬思考が止まりかけた。
でもすぐにダンを睨むと怒りの声を上げる。

「……は?最後って一体何を言ってるんだ!何が最後だって言うんだ?俺と会うのが最後ってわけじゃないんだろ……?」
「いや、その言葉の通りだな」
「そんなので納得いくわけがないだろ!!」

余りにも混乱している俺は、力任せに机を叩いてしまった。
それなのにダンはいつも通りの優しい顔を俺に向けてくる。

「おいおい、そんなに強く叩いたら手を痛めちまうぜ……」
「さ、さわんな!」

手を痛めたと思ったのか、俺に触れようとしたダンの手を、つい振り払ってしまう。
しまったと、思ったときにはダンは困った顔をして頭をかいていた。
だから俺は慌てて言い訳をしようとした。

「い、いや今のは動揺してて、悪かった……」
「セイは悪くねぇよ。俺だってどうにもできなくて……でも仕方がねぇんだ、お前が全てのアイテムを揃えた時点で、俺はここにいられねぇ存在だからな」

全てのアイテム……ってもしかして呪いを解くための素材のことじゃないよな?
まてまて、まずダンにそのことを詳しく話したことは無いはずだ。

でも俺には、それ以外のものが何も思いつかないのだ。
それはつまり、その考えが当たっていることを意味していた。

なら何故ダンはそれを知っているんだ?
まるで全てのアイテムを揃えたら何かがあるような口ぶりだった。
ということは、もしかするとダンは全てを知っている……!?

そう思った瞬間、俺から血の気が引くのがわかった。
色々おかしいことや、聞きたい事があったはずなのに上手く口から出てきてくれない。
それなのにダンは聞きたくない台詞を、俺の目を見て言うのだ。

「だから、お前と会うのはこれで最後だ」
「……そ、そんな」
「俺のわがままだけどよ、最後にずっと言いたかった事を言わせてくれ。これはな、今の俺だけが持っている心から出た、本当に大事な想いなんだ……」

そう言いながら、ダンは立ち上がり俺の前に跪いた。
何がおきているのか理解できない俺は、ただその様子を見てうろたえることしかできない。
そんな俺の手をそっと取ると、ダンは俺の瞳を見つめて微笑んだ。


「セイ。俺はずっと、ずっと昔からお前の事を愛していた。でもこれ以上は俺ではダメなんだ……だから、お別れだ」


手を離したダンは、名残惜しそうに右耳のピアスに軽く触れると、今度こそゆっくり離れていく。
俺は咄嗟に手を掴もうとしたのに、それはスルリと簡単に離れてしまう。

「ま、待て!!待ってくれよ!!!」

そう叫んだときには、ダンの姿はもう目の前から消え去っていた。
わからない事だらけで、俺の頭は混乱し続け……その瞳からは涙が溢れていた。

今の俺は今度こそ認めるしかなかった。
俺は本当にダンのことを───。

好きになっていたと言う事に。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

あと一度だけでもいいから君に会いたい

藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。 いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。 もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。 ※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい

御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。 生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。 地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。 転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。 ※含まれる要素 異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛 ※小説家になろうに重複投稿しています

処理中です...