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第三章 調合編
23、無理をしたツケ?(後編)
しおりを挟むライムを止めるため、魔術を発動した俺は一瞬光り輝いていた。
驚いたライムは信じられないと目を見開く。そしてその唇は僅かに震えているのがわかった。
きっと俺の魔素を、これ以上吸収できないこに気がついたのだろう。
そしてライムの唇はゆっくりと離れていき、その口から悲しそうに言葉がこぼれていた。
「イルレイン様……なぜ……?」
「申し訳ないが俺自身に結界を張らせてもらった。これでライムは、俺の魔素を吸収できないはずだからな」
結界に魔力が通過できず弾かれるように、魔素も結界を通過できなくなる筈だと、一か八かで試してみたが上手くいったようだ。
そんな俺を見て、ライムは苦しそうに声をだした。
「やはり……私では、ちから……ぶ、そく……」
「ライム!!!」
そのままライムは俺の上に倒れ込み、意識を手放してしまった。
急いで俺はライムのステータスを確認する。
何故かライムの体力減少が治っていない!
俺の魔素を吸収するのをやめても、体内に残った魔素を魔力に変換するのが追いついていないのか!?
どうしたらライムを助けられるのかと俺は頭を悩ませたが、解決方法が思いつくことなく時間がだけが過ぎていく。
俺はライムに手を伸ばそうとして、突然ピョンと飛び出してきたマニを見た。
そうだ!
この部屋にはライムの生み出したスライムが、何十匹と存在しているはず。
この沢山いるスライム達に少しずつ魔素を吸収してもらえれば、ライムは助かるかもしれない。
そう思った俺は、何処にいるか分からないスライム達に声をかける。
「スライム達、頼む!どうかライムを助けてくれ!!!」
そう叫んだ瞬間、何処からともなく大量のスライムが次から次へと姿を見せる。
来てくれたことにホッとした俺だったが、その数は倍々に増えていき、気がついたときには部屋中溢れかえっていた。
それはもう、スライム達が飛び跳ねる隙間も無いほどに……。
そんな波に俺も自然と呑まれていった。
「うべぇっ!!スライムがこんなに!!?」
その数はどう見ても百匹を優に超えている。
まだまだ増え続けるスライムを見て、もしかするとスライム牧場のスライム達もここに集まっているのか?と思ってしまった。
そしてスライム達はライムに群がると、一斉に光りだし、俺はその眩しさに目を瞑ってしまったのだった。
暫くして徐々に光が弱くなり、俺はゆっくりと目を開ける。
そこには見た目がスライムのままなのに、明らかにサイズや形に影響がでているものがいた。
どうやらこの部屋のスライム達は、何匹か進化したようだ。
「もしかして、お前らライムを救うために……」
スライムの進化には、それなりの魔素を使う。
だからこそスライム達はライムから魔素を吸収し、魔素によって爆発する前に進化をし始めたのだろう。
しかしライムだけは、もうすでに進化を2回もしているため、進化ができないようだ。
だからこそあんな無茶をしたのだろう。
そのことに悲しみと少しの怒りをかんじてしまう。
そして進化したスライムたちの殆どが、上位スライムへと進化を遂げているようだった。
少しスライム以外が居たら、どうしようかとドキドキしてしまった。
なによりこのスライム達は、元々ライムが生み出しそれが繁殖したスライムだ。
だから親みたいなライムを、どうしても助けたかったのかもしれない。
そしてようやく光が完全に消えた頃、スライム達はゆっくりとライムから離れだした。
俺は慌ててライムのステータスを確認する。
まだ完全に回復してないけど、生命力の減少は止まっている。
このまま朝まで寝続ければ自然と良くなるだろう。
俺はホッと息をつくと、スライムに手伝って貰いライムを俺の横に寝かせる。
今日は俺のために頑張ってくれたのだ、一緒に寝たっていいよな。
そしてスライム達は、何故かまだここにいる。
だから俺は今のうちに感謝の言葉を述べることにした。
「スライム達には感謝してもしきれないよ。ありがとう。でもどうして君たちは、まだここにいるのかな?」
もう用はすんだはずなのに……そう思っていると、何故かスライム達が今度は俺の方へとジリジリと近づいてきた。
何で今度はこっちにくるのでしょうか?
「ちょっ、ちょまー!!!!」
その叫び声と共に、スライム達は俺めがけて飛び込んで来る。
すでに結界を解いていた俺は油断していたのだ。
まさか俺もターゲティングされているとは思っていなかった。
そんなスライム達は、俺の魔素も吸いとりはじめると、光りだしたのだった。
また結界を張ろうと思ったのに、大量のスライムにギュウギュウ挟まれて、思ったように魔術を使う事すらできなかった。
何というか苦しいけど、ぷにぷにで気持ちいい……。
とか一瞬呑気に思った俺だったが、その後スライムが何匹か弾け飛んでしまったのを目の前で見てしまい、さらにはその液体が体にかかったりして、とても落ち込んでしまうことになる。
そして、そのせいで全く眠れなくなるのだった。
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