やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜

ゆきぶた

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第五章 兄弟編

44、正体(前編)

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「それでは、これよりイルレインを救うための話し合いを行う」

堂々と宣言したギル兄上が俺達を見回す。
そこには、俺とルーディア、ギル兄上とシル兄上の4人が向かい合って椅子に座っていた。

あの後、パーティー会場を抜けて俺達がついて行った先は、何故かギル兄上の執務室だった。
こんなところに一般人を入れても大丈夫なのだろうか……。
そう思っている俺とは違い、ルーディアは別のことを疑問に思ったのか、ギル兄上に質問をしていた。

「あの、話し合うのはいいのですが、この4人だけなのですか?」
「そうだ。この話は王家に関わる話が入っているからな、知る人間は必要最低限のほうがいい」
「王家に関わる?それは一体……」

俺の呪いが王家に関わる話だって?
そんな話聞いたことがない。
気になった俺は、俯くのをやめて少し顔をあげる。

「ここからは、シルの方が詳しいから変わってもらおうか」
「ええ、そうして下さい。何故なら今回のこのパーティーは私がメインで決めたことなんです。実はこう見えて、私は今までイルを救うためにこの命を捧げてきました。そのために、各国へ文献を探し回っていたのです」

俺に命を捧げて???
デオル兄上には、よく国から出ていると聞いてはいたけど、それが俺のためだったなんて初耳である。

「そして、私は一つの文献を手に入れました。他国から見た我が国の成り立ちに関する本です。お二人はブルーパール国が建国した話に、必ず竜の話が入っているのはご存知ですか?」
「ええ、僕は一応錬金術アカデミーに通っているので、歴史についてなら少し聞いたことがあります」
「なら知っていると思いますが、この国の初代国王は竜と共に戦い、この地にいた悪しきものを撃ち倒し、その御礼として竜はこの国の守護龍となった。そしてその上に国を作ったとされています」

それは俺も小さいときに何度も聞いた話だ。
しかしそれが、俺の呪いとなんの関係があるというんだ?

「この話がとある国では、こう伝えられていました。強き竜を打ち倒した勇者はその地に竜を封印し、その竜から力を奪い取った。そしてその上に国を作ると諸外国を侵略し始めた。と、その国は我が国と過去に戦争をしたことがあったため、悪く書いてあっただけなのかもしれません。ですがここまで竜についての話が真逆になるなんて、おかしいと思いませんか?」
「ふん。竜が味方だったのか、敵だったのかが分からないという事だろう?」
「そうです。ですが私はこの国の成り立ちを、誰かがあえて真逆にして伝えたのだと思っています。それは守護竜が他国にとって、恐怖の対象となるようにするためだったのかもしれません」
「そうかもしれないが、本当にそれはイルの病気に関係あることなのか?」

ギル兄上はあまり話を信じていないようで、眉を寄せていた。
しかし、シル兄上には断定する何かがあるのか、ギル兄上を無視して話し続ける。

「そしてここからは私の仮説ですが、本当に始祖がその竜を無理矢理封印して力を得たのなら、我が一族は竜の怒りを受けてしまったのではないか……?私はそう考えているのです」
「竜の怒り、ですか……?」

そこに疑問を持ったのはルーディアだった。

「ええ、そうです。そもそも竜の怒りとは、死ぬ間際の竜が相手を呪い殺すことを言うのです。ですから私は王族自体が、呪われているのではないかと考えています……。そして私がそう思ったのには勿論理由があるのです。過去の文献を色々調べた結果、王族にはそう思えるような死因の者達が沢山存在していました」

守護されている王族自体が、竜に呪われている?
そんなことがあり得るのだろうか……でもそれが真実なら、それは俺の呪いとも関係しているのかもしれない。

そうなると、先程ルーディアが話していた竜の封印を解く魔法陣の話は、本当に俺の呪いも解いてくれるかもしれないのだ。

そして俺の横にいるルーディアは、竜の話を聞いてからずっと考え事をしていたのに、突然ハッと俺を見つめるとそのままブツブツと呟きはじめた。

「そうか、王子の話と竜の封印……そしてあの魔法陣。そう考えれば全ては繋がる。ああ、そうか……そういうことなのですね。僕はなぜ今まで気がつかなかったのでしょうか。ずっと、違和感があると思っていたのに……それをどうしても結びつけたくなかった」
「……ルーディアどうした?」

俺は小声でルーディアに呼びかけたが、その返事は返ってこない。
不思議に思った俺は、ルーディアの顔を覗き込んで驚いてしまう。
こちらをじっと見つめるその目に光はなく、顔は真っ青だったのだ。

「そうですか。僕はついに、真実を掴んでしまったのですね……」

そうポツリと呟いたその瞳を見た瞬間、ルーディアに俺の正体がバレた可能性があることに、俺は気がついてしまったのだった。
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