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第六章 解呪編
54、ネックレスと魔力
しおりを挟む弾け飛んだネックレスは、もう一欠片も残っていなかった。
そして気がつけば、俺の手の甲が光っていた。
「今度はなんだ?」
「これは、ルーディアの……」
それはルーディアが俺のために描いてくれた魔法陣だった。
確か魔法陣が使えるようなにったとき、ネックレスが教えてくれると言っていた。
だからといって弾け飛ばなくてもいいのに……。
そう思っている間に魔法陣の光は収束され、そこにとある人物が浮かびあがったのだった。
「ルーディア!?」
『ようやく魔方陣が使えるようになりましたか!イル無事ですか?空にドラゴンの大群が現れた瞬間に封印が解かれたことは察しましたが、イルの呪いは解けたのですか?』
「っち、邪魔が入ったようだな……」
ルーディアが映し出された画面を見たダランティリアは、鬱陶しそうに眉を寄せた。
『そこにいるのは、まさか……ダンですか?』
「お初お目にかかるな。俺の名前はダランティリア、そしてブルーパールドラゴンの成れの果てだ」
『ブルーパールドラゴンですって!?どういう……いえそうか、そういう事だったのですね……』
何故今ので把握できたのかわからないが、ルーディアは全てを理解したようだった。
そして、ルーディアは急ぐように叫んだ。
『イル、時間がありません!すぐにでもあなたの元へと送り届けたい人物がいます。今の私ではなにもできないのですが、この人ならばイルの役に立ってくれるはずです』
そう言うと、ルーディアは一旦姿を消した。
そして代わりに現れたのは───。
「……ライム?なんでそこに??」
何故か修行の旅に出て戻ってくることのなかったライムの姿がそこにあった。
いや、まじでなんで?ルーディアとライムは接点が全く無かったはずである。
『お久しぶりですね、主。まずは主の疑問にお答えしておきましょう。以前この錬金術師が主の部屋を訪れたときですが、私は忠告をするために密かに挨拶と言う名の牽制をさせて頂きました』
「なんだって!?」
もしかして、あの日ルーディアが深刻だったのは、ライムのせいなのもあるんじゃないのか?
『そしてあなたのそばにマニがいないため、連絡手段を知っていそうなこの男の元へと向かったのです。あの魔法陣が連絡を取るための物ということは知っておりましたので……それにしても、主を最後まで苦しめていたのが、あのくそ男だったのは驚きですね。やはり私の目に狂いはありませんでした』
「おう言ってくれるじゃねぇか。だがなライムでも俺の邪魔はできねぇよ。それと、この通信は閉じさせて貰うからな!」
右手をあげるダランティリアに連動して、ライムの姿にノイズが走った。
しかしライムはめげずに俺に向けて叫んでいた。
『主!私はあなたの従魔です!!それはつまり、あなたがどこにいても私を呼び出すことが出来ると言う事です。今までは主に魔力がなかったために出来ませんでしたが、今のあなたなら……ゆ、びわ……ッ!!!』
最後の言葉まで聞くことが出来ず、その姿とともに声もかき消えてしまった。
「回線ギリギリまで粘られちまったな。希望を持ったとこで悪いが、この空間は俺が支配しているんだ。そんな簡単に召喚できるわけがないだろう?さあ、今度こそ二人きりだ。イルの答えを聞かせてくれないか?」
そう言うとダランティリアは俺を抱きしめた。
それなのに前みたいにドキドキしない。
心がこれはダンじゃないと思っているからだろうか……?
「……お前はダンじゃない。お前には全くなにも思わない」
「いや、俺はダンだぜ?忘れちまったのか……?」
そう言うと、ダランティリアは俺の唇をゆっくりと撫でる。
その妖しげな雰囲気に、俺は何故かトキメキかけてハッと我に帰る。
「だ、ダンはそんな事しない!」
「本当にそうだと思うか?だって俺は心の奥ではいつだって、セイにいやらしいことをしたいと思っていたんだぜ?」
「俺の知ってるダンはそんなこと思わないぞ!」
「そう思っていたのはイルだけだ。そのことをわからせてやるぜ……」
そう言いながら俺の頬を両手で挟んだダランティリアは、俺に顔を近づけてくる。
その力はやはりダンのままなので、俺ではピクリとも動かすことができない。
「や、やめろ!!」
「これでイルは俺のもの……」
そんな俺の叫びは虚しく響く。
そして唇が重なるかと思ったその瞬間、思い出したかのように警戒音が鳴り響いたのだった。
ビーーーーーーーーーーー!!!!
その音を俺は聞いたことがある。
俺は音の発信源に目を向ける。
そこには、ライムから貰った指輪が光り輝いていた。
「あー、忘れてたぜ虫除けの存在を……これ壊しちまうかな?」
「これに触れるな!」
指輪に触ろうとするダランティリアから距離をとると、俺はライムが最後に言った言葉を思い出していた。
ライムは間違いなく最後に『今のあなたなら指輪を……』と言ったはずだ。
それはつまり、ライムを召喚するためにこの指輪を使えと言うことだろう。
「イル、何をしようとしている?」
何かをしようと考えていることに気がついたダランティリアは、俺にまた近づこうとした。
だから俺は一か八か叫んだ。
「使い方なんてわからないが、頼む!」
俺はその指輪にキスを落とし、今ここに現れて欲しい相手の顔を浮かべ、その名を呼んだのだった。
「出て来い!!ライム!!!」
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