悪役令嬢が婚約破棄される瞬間に転生したらしいヒロインは、フラグをへし折りつつ男達の性根を叩き直す!

伊倉栞

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一章

どうやら逆ハーレムエンド

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ローゼ様が私の方に歩いてくる。

ああ、やっぱりなんて美しい方だろう。
ついつい見惚れてしまう。

殿下、この女神のような人との婚約破棄するとか、正気なのかな。
殿下自身が美しいから、婚約者には美を求めないのかしら。

そういえば、私の容姿ってどんな感じなんだろう。
髪はピンク。
身体つきは華奢ね。残念ながら胸は控えめ。
顔は確認のしようがないから、後で鏡を探しましょう。

「ミレイ様」

ああ、やはり声まで美しいのね。

「ミレイ嬢に近寄るな。再調査をするとは言ったが、ローゼ嬢の疑いが晴れたわけではない」

殿下が遮った。

「ミレイ様とお話しをさせて頂けないでしょうか?」

「ダメだ」

殿下、私の意向はきかないんですかね?

うーん。
ローゼ様と話したいってお願いする?
ただ、これまでの記憶が綺麗にない私がローゼ様とお話しした場合に、ボロが出る可能性が高い。
そして、殿下達と違ってまともそうだから、誤魔化せない恐れがある。

ローゼ様とのお話は、もう少しヒロインちゃんのこれまでについての情報を集めてからにしたいかも。

「ローゼ様、折角なのですが、私、少し疲れてしまったようなんです。申し訳ないのですが、お話はまたの機会にさせて頂けないでしょうか?」

テンプレ通りならローゼ様が公爵令嬢でヒロインちゃんが男爵令嬢または平民娘とかだろうから、
またの機会に、とかこちらから言うのももしかしたら良くないのかもしれない。

が、背に腹は変えられない。

「わかりましたわ」

ローゼ様が言うか言わぬかのうちにイケメンズが騒ぎ出す。

「なに、ミレイ!具合が悪いのか?」

いや、疲れたって言っただけで、具合が悪いとまでは…

「ミレイ嬢、医務室に参りましょう」

具合悪いわけではないってば!


「ミレイ、大丈夫?」

お、嬢どこいった?
この年齢不詳ショタも実はミレイ呼びしてんな?

「……」

って、イキナリお姫様抱っこすなぁ!!
何こいつ!まだ一言も喋ってないくせに1番無茶苦茶してきた!!


「あの、自分で歩けます!

それに疲れはしましたが、医務室に行くような具合の悪さでは御座いません。

早めに休めれば、と」

必死に訴える。
お願いだから早くこのパーティーから離脱させて欲しい。
あと今すぐ姫抱っこやめい。

「アル、いきなり抱きかかえたらミレイが驚くだろう。
あと、ミレイを運ぶのは(恋人の)私の役目だ」

ちょっと待って、殿下。
今一瞬、無音で口だけで不穏なキーワードを挟まなかった?
や、まあ、肩抱いていたし、流れ的にもしかしてそうかなぁ、と思ったけど。

あー、マジかぁ。
婚約破棄イベント後にくっつくパターンなら回避できるかと思ったのに、もう恋人なの?
てか、婚約破棄前に他の女と恋人になってたら、殿下が完全に悪いじゃん!!

「殿下、お立場を考えてください。ここは(恋人の)私がミレイ嬢をお連れしましょう」

え?
似非インテリメガネ、お前もなの?
おかしくない?
2人とも恋人なの?
ヒロインちゃん、尻軽なの?
それとも一妻多夫制アリなお国柄なの??

「僕、こう見えても力持ちですよ!(恋人の)僕がミレイ嬢を抱っこしようか?」

ショタよお前もか。
や、合法(たぶん)でもショタはちょっと…。

「……」

無音口パク合戦にお前まで参戦したらどうしようかと思ったけど、そこはキャラぶれしないのね!よし!
でも、なんかさっきより腕にギュって力入れたよね?
気のせいじゃないよね?
譲らねーよ?みたいな感じだよね?


や、誰が姫抱っこするかじゃなくて、降ろして欲しい!!

歩けると再三主張した結果、なんとか降ろしてもらった。

これは、もしかして、あれなの?
逆ハーレムエンド一歩手前みたいなところなの??
今日の断罪で逆ハーレムエンドを迎える予定だったとか?

すごい。
すごいよヒロインちゃん。
難ありとは言え、4人のイケメン手玉にとるとか。

すごいけど、
なんてことしてくれたんだ。
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