悪役令嬢が婚約破棄される瞬間に転生したらしいヒロインは、フラグをへし折りつつ男達の性根を叩き直す!

伊倉栞

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一章

ミレイという人物2

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「ふっ!バレたからには仕方ないわね!

洗いざらい貴女が知ってる事を吐いてもらうわよ!」

「え。洗いざらい吐くの、私なの?逆じゃない?」


エリサが戸惑っている。


「だって!

オリジナルミレイが何をしでかしてどういう状況なのか、私ちっとも分からないんだもん!!

これからどうして良いかも、分かんないの!!

だからミレイについ知ってる事を洗いざらい吐けー!

吐いてください!お願いします、エリサ様!!」

そう叫ぶと、私はエリサの足元で華麗に決めた。

渾身の土下座を。

「ちょっ…床に這いつくばるとかやめてよ!居心地悪い!!

わかった!話す!話すから!!

でもまず、貴女が何者なのかを話してよ」

「ありがとう、エリサぁー!」

「さっきまで床についてた手で抱きつかないでよ!」


こうして私はまず自分のことを話した。

と言っても、他の世界から来たと言われても理解してもらえない可能性が高いから、

先ほどのパーティーの婚約破棄騒ぎ以前の記憶がなく、
ミレイというのが自分のこととは思えないこと、

貴族の礼儀や、この国の一般常識も分からないこと、

これからどうしたら良いか分からず、途方にくれていること、

を説明した。


「記憶喪失か。通りで貴女のいうオリジナルミレイとは全然違うわけだ」

「あの顔だけカルテットを侍らせてたオリジナルミレイちゃんが全然理解できないんだよね…」

「顔だけカルテットって、貴女それ不敬よ?」

と言いつつエリサの顔は面白がっている。
この子、仲良くなれそうかも。

「さて、オリジナルミレイのことが知りたいんだったわね。

何から話したら良いかしら。

名前はミレイ。

平民だから苗字はないわ」

お。やはり平民あがりのヒロインちゃん。

「魔力が強いからこの学園に特待生で入学したのよ」

「魔力…魔法とかあるの?」

「あるわよ。平民でも少し水を出したり、そよ風を吹かせたり、種火をつくったりだったらできる人は多い。

貴族は魔力が高くて、攻撃魔法が使えるわ。
戦争や魔物の襲来の時に、国を守るのが貴族の使命よ。

ただ、たまに貴女のように魔力が強い平民が見つかるの。
そういう人はこの学園に入学して魔法の腕を磨く。

卒業までにはどこぞの貴族の養子になるわね。
たいていスカウトされるわ」

魔物とかいるんだ。恐いな。
でも、もしかして私強いのかな。

「じゃあ、私も攻撃魔法が使えるってこと?

私が今も平民なのはまだ卒業の歳じゃないから?

それから、」

「ストップ。一度にたくさん訊かないで。
答えきれないわ。

まず、貴女は、少なくともオリジナルミレイは、攻撃魔法が使えるわ。
魔力量でゴリ押しした強力な攻撃魔法が得意よ。
細かな調節は苦手みたい」

わぁ。
オリジナルミレイちゃんたら、華奢なくせに物騒。

「でもって、貴女の卒業は一年後。
今日卒業した人は、貴女が話した面々の中だと…いないわね」

「え?いない??」

「ええ。アルベルト様以外は皆、私たちと同じ学年。アルベルト様は一学年下ね」

「アルベルト様ってあの無口な人だよね。あの人、歳下なんだ…。

え、てことは、あの年齢不詳ショタって同い年なの!?」

「ショタってのが何か分からないけど…ショウルフ様のこと?そうよ。あの見た目で同い年。
男性としてというよりは可愛がる対象として人気があるわ。
特に一部のコアな層からの支持は熱いわね。」

ショタコンさん達かな。

でも、誰も卒業生じゃなかったってことは、だ…

「…あの人たち、先輩が主役の卒業パーティーで、婚約破棄騒ぎを起こしていたの?」

「そうよ」

これは思った以上にイケメン達の脳みそが残念だ。
そもそも婚約破棄なんて卒業パーティーでやることではないけど、自分たちの卒業パーティーですらなかったとは。
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