のんびりしたくて

はりゅう

文字の大きさ
23 / 31
つづき

荷馬車の旅

しおりを挟む
 荷馬車というけど荷は載ってない。
 この荷馬車は町の行商に使っていた物だったけど、ここ数年は男達によって管理されていた為、整備があまり良くなかった。
 リースが私のスペースだけは良くなるように少し弄っていたみたいだけど、見ただけじゃよくわからない。
 御者寄りにあるスペースに私が収まるようになっているらしい。

 リースとは会話したりしなかったり、ゆっくりのんびりした。
 特に問題も起こらず、進んでいる。

 リースが用意してくれたクッションはすごくいい物だ。
 大きくて柔らかくて肌触りはよくて、弾力もあって馬車の揺れがいい感じになった。
 景色を楽しめたら良かったんだけど、あまり代わり映えがなくて飽きてきてしまう。
 そうすると眠くなる。
 クッションの揺れが眠りを促してくる。

 ああ~、これは、だめだぁ。
 …ねむ。




 ………。
 眠ってしまわれた?
 ………。
 ふふ、ふふふふふふふふふ…。
 っかわいいいいいいいい。

 ああ、可愛いマスター。
 今日も可愛い。
 
 マスターとの旅はわたくしへのご褒美なのかしら!
 こんな可愛いマスターを独り占め!
 キョロキョロする動き!
 キラキラした目!
 不安で離そうとしない手!

 か わ い い !!!!!

 ハッ!
 いけないいけない…。
 
 マスターはあまり言葉を喋らない。
 わたくしが考えを読むのを知ってからどちらでもいいと思ったのか、声に出したりでさなかったり。
 本来は嫌がるもののはず。
 けれどマスターは“楽”と思ったよう。

 マスターは考えも可愛い。
 わたくしにも優しい。
 
 わたくしは知っているのですよ。
 マスターがあまり服に興味が無いのを。
 でも、可愛いのは好き。
 だから困っているけど嫌では無い。

 ふふ。
 マスターは服を着ると不思議そうに自身を見る。
 自分の容姿がわかっていないようで似合うのかどうかは気にしない。
 着た後、手や足を動かして服の動きを確認する。
 それが、可愛い。
 クルクル回ったり、わたくしは動じないようにするのが辛かった。

 あああああ!!
 ギューってしたい!!



「リース…?」

 ああ!起こしてしまった!?

「……おなか、すいたぁ…」

 違かった!
 危ない!
 わたくしの心、読めなくてよかった。
 ……前マスターは読めたのですよ。

「マスター、少々お待ちください。すぐ、準備いたします」

「ん………」

 マスターはまだ少し眠そうでぼんやりしている。
 なんて可愛さ。

 わたくしはこの旅が楽しくてしょうがない!

 
 



 次の町までの荷馬車の旅。
 私はちょっと退屈だった。

 リースとの会話は楽しい。
 でも身体が動かせなくてもやもやした。
 動かないのと、動かせないは全然違う。
 

 早く着いて~!
 

 そんな願いは10日目に叶う事になる。
 ただ、その前に困った事になったけどね。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...