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≪蒸気船編≫
1.マリン日本に到着
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明治12年、引退した第18代アメリカ大統領が来日。
大統領の親族として一緒に日本へ来ていた姉妹は、横浜の港に到着した……
横浜港は、幕末から外国との窓口として発展をとげ、外国からの船が多く港に停泊していた。
旧式ではあったが、軍艦での来港は注目を集める事になる……
「マリン! マリン! 起きて!」
「う~ん」
マリンは姉のソフィアに起こされ、可愛らしく背伸びをする。
「もうすぐ、日本の港に着くわよ! 早く準備をして!」
「え~、ソフィアねーさん、もっと早く起こしてよ~」
「ごめんね、気持ち良さそうに眠っていたから……」
マリンは慌ただしく準備を始める。
「ミーシャも急いで、寝癖を直さないと」
……
「 やっと着いた~、ここが日本ね、やった~!」
仔猫のミーシャを肩に乗せ、綺麗なブロンドの髪を靡かせ、喜びを隠しきれない感じで、横浜の港に上陸した。
「マリン、嬉しいのは分かりますが、ダメですよ、おしとやかにしなさい」
「ごめんなさい、ママ」
……
明治5年には、横浜~新橋まで日本初の鉄道が開通していた。
一行は東京へ向かうため、特別列車に乗り込む……
車窓からの眺めはとても素敵で、マリンはようやく来れた日本の景色を楽しんでいる。
「綺麗な景色ね……」
品川付近では、海岸線を通る列車から、遠浅の海の景色が素敵に見えた。
……
日本政府は、第18代アメリカ大統領を国賓として盛大に歓迎する。
しかし、マリンは日本に来るまで、幾つかの国を訪れていて、各国での歓迎会にうんざりし始めていた。
……
「ようやく日本に来られたのだから、もっと自由に行動したいな、もう退屈ね……」
右手の人差し指に小さな魔方陣を揺らめかしながら、日本の情報がぎっしり書き込まれた手帳を眺め、ミーシャに話しかけている。
「あ! ミーシャ! 何処へいくの……」
ミーシャが路地裏の方へ走っていってしまい、マリンは追いかける。
「ミーシャ! だめよ、迷子になっちゃうよ~」
……
この時代、突然人がいなくなる、拐かしや、神隠しがまだ起こっていた。
……
マリンは変化のいたずらに騙され、迷子になってしまう。
変化は、マリンが連れてきた仔猫、ミーシャに化けて境界を越え異界に誘い込んだ。
騙されているとも知らず、マリンは異界の奥まで迷い込んでしまう。
……
式典が無事に終わろうとする頃、マリンがいない事に姉のソフィアが気付く。
「ママ! マリンはどこ?」
「ソフィアと一緒にいなかったの?」
「さっきまで、隣でミーシャといっぱいお喋りしてたけど……」
「あなた、マリンの姿が見えないのよ」
「何時からだ?」
「ソフィアが言うには、さっきまで隣にいたらしいわ……」
「わかった、まだ近くに居るだろうから、警備の者に探してもらうように依頼するよ。シャーロット、心配はいらないよ、大丈夫、直ぐに見付かるよ……」
マリンがいなくなり、慌てている母親、父親のレオンから警察に捜索依頼が届く。
しかしスケジュールに余裕はなく、両親は大統領に付き添い、娘の捜索は警察にまかせて、先に日光へ向かってしまう。
……
依頼された警察側も要人の警備が忙しく少女捜索に人手が回せない。困り果てる警視総監だが……
「父上、どうされました。 悩み事ですか?」
「丁度よい所に来た、総一朗! 少女の捜査を頼みたいのだが……」
「父上、私は現在、要人の警備を任されています」
総一朗は敬礼をする。
「申し訳ありませんが、お受けする事は出来ません」
「そうだったな、すまん」
……
警視総監は、黒革の高級感のある椅子に座り、頭を抱える。
「総一朗、誰か手の空いている者はいないのか?」
警視総監は、ほとほと困り果てて、息子の総一朗に相談したのだったが……
「それは困りました、要人の警護で人手が足りません、現在猫の手も借りたい状態ですので……」
総一朗は少し心当りがあるような素振りを見せる。
……
そこに、総一朗の親友である裕翔が、入って来た。
「裕翔、丁度良い所へ来た……お前暇そうだな!」
「おい、おい、 いくら親友だからって、酷いな! こう見えても今は忙しいぞ」
家に居てもやる事が無いので、暇潰しに親友の家に遊びに来ていた裕翔だったが、2人に無理やり、捜索担当に任命されてしまう。
……その頃
「ミーシャじゃないわね! 誰なの?」
異界の奥まで誘い込まれたマリンは、ようやくミーシャでは無い事に気が付く。
不思議な空間の中、何者かの視線を感じて、恐る恐る辺りを見渡すマリン……
「キャー!」
物陰、茂みの中、至るところに、仔ギツネや、仔だぬきが沢山いた。変化の子だとわかっていたが、ふわふわの毛並みにうっとりする。
マリンは、ぬいぐるみの様に可愛い小動物が大好きで頬擦りしてしまう。
「仕方ないわね! 歩き疲れたし、しばらくここで休んで行きましょう」
そう言うと、マリンは『ふわふわ』の『もふもふ』の中に体を埋めると、疲れからかそのまま眠ってしまった。
ミーシャに化けてマリンを異界へ誘い込んだ変化はそっと姿を消した……
……
さて、少女の捜索を依頼された裕翔は……
「どうする? 1人でどうやって探せって言うんだ! 東京は広いしな……」
困り果てる裕翔だったが……
……
《裕翔の心の声》
『情報では、少女は横浜から東京へ来ているので、横浜に戻った可能性もあるが?……いやいや、順を追って考えよう!
まず、少女は大統領の一行と一緒に、横浜港に着いてから新橋までは、鉄道で移動していて、新橋では歓迎式典に出席している。
その式典の最中に突然行方不明になっている。まさか? 先に日光へ行ったのか? いやいや、それは考えにくいし? もしかすると、アメリカへ帰りたくなり、やはり、横浜方面へ戻ったのではないか?
……俺、こういう推理は苦手なんだよな……
う~ん……先ずは情報を集めるとするか……』
……
裕翔は情報を集めるため、横浜へ向かう事にした……
新橋の停車場では、日本橋から新橋までの間で少女を見なかったか、馬車鉄道の運転士にも聞いてみたが、誰も見掛けたと言う者はいなかったし、『外国人の少女が1人で歩いていれば、否応なしに目立つはずだ……
日本橋から川崎まで目撃情報が無いのはおかしいよな?』
などと色々考えながら歩いていると横浜の停車場に着いた。
裕翔が横浜に着いたのは、昼近くになっていた……
「ここが横浜の停車場か、新橋の建物とそっくりなんだな! しかし、ハイカラな建物だな! 帰りは鉄道で帰ろうかな……」
裕翔は少し陸蒸気に興味があるようだ。
「先ずは、聞き込みをするか!」
横浜は、港、鉄道の町として活気に溢れ、異国情緒溢れる街並みが広がっている……
……
どれくらい時間がたったのか? マリンは目を覚ます。
もふもふの感触で癒され、暫く楽しんだマリンは、異界脱出を考える。
とりあえず、入って来た方向へ戻る事にするが……
周囲の様子が薄暗く、不穏な空気に変わり、マリンよりも大きな繭玉がいくつも現れ、その繭の中に人の様な形をした物が見えた……
「凄く怖いわ! 何なのこれ? 道、間違えてるのかな?」
突然! マリンの行く手に妖怪が現れ、襲いかかって来た。
「キャーーー!」
マリンは、攻撃をすかさず避けて、目眩ましの御札を妖怪に投げ付けて、物陰に身を隠す。
近くの空間が切り裂かれ、現世の町並みが見えた。
「なんなのよ! 私を殺す気なのかしら? でも、あの切り裂かれた空間から帰れそうだわ!」
危険な妖怪のテリトリーに迷い込んでしまったらしく見つかれば殺されると思ったマリンは、物陰に隠れてやり過ごすことにしたが
……
「どうしてこんな事になっちゃたのよ? 誰か、助けて! もう、なんなのよここは……」
マリンは、息を殺して見つからないようにしていたが、小枝を踏んでしまって、音を立ててしまう。
『パキ!』
「あ!」
直ぐに見つかってしまった……
「でも! 負けないわよ! 私は忍術が使えるんだからね~!」
……
その頃裕翔は、停車場の2階にあるレストランのウエイトレスに聞込みをしていた。
「子猫を連れた外国の少女を見かけませんでしたか?」
「いいえ、見ませんでしたよ……他の人にも聞いてみますか?」
「お願いします……」
「少しお待ち下さいね……」
「洋食か、美味しそうだな……」
……
「申し訳ございません、見た方はいないみたいです……」
「そうですか、ありがとうございます」
有力な情報が得られなかった裕翔は港へ向かう事にする……
歩きながら渡された捜査資料と似顔絵を確認するが……
「この似顔絵は……総一朗が描いたな……」
似顔絵での捜査は諦める……
……
弁天橋を渡り、馬車道まで来ると、ガス灯が道の両サイドに設置されていてハイカラな通りになっていた。
もう暫く歩くと、横浜本町通りの時計塔が見えて来た。
「もう午後の1時か! 腹減った~、ちょと休憩するかな……」
……
裕翔はスパゲッティーナポリタンを美味しそうに食べている。
「これは美味しい!」
……
隣に座った客の話し声が聞こえてきた……
『知ってるか? 今、東京にアメリカの元大統領が来ているらしいが、一緒に来た孫娘が、これがまた天女かと思うほどのべっぴんさんでな~、噂では行方不明に成ってるらしいんだが、無事だといいんだがな……』
『本当か? あ! その娘を探したらお礼がもらえるんじゃねえ~かな?』
『やめとけ~、懸賞金は掛かっているらしいが、もし妖怪の仕業だったらどうするんだ』
『そうか、妖怪か……止めとくか~……だけど一目見て見て~もんだな~!』
『もう1人の娘は無事らしいから、見に行くか?』
『それを早く言えよ! 直ぐに行こう!』
その話を聞いていた裕翔は話し掛けた……
「懸賞金が出るのか?」
『お! 兄さんも興味があるかい?』
「少しある、横浜でその行方不明の少女を見た人はいるのか?」
『懸賞金目当ての奴等が探しているらしいが、この辺りにはいないらしんだよな……だから、そいつらも妖怪の仕業じゃないかと言っているんだ』
「そうか、妖怪か……厄介だな……」
……
仕方なく、裕翔は奥義を使うため、神社の境内に移動する。
静けさの中、鎮守の力をもらい、奥義、『心眼』を使う。
気を集中し、刀のつかから金属音を発する
……
鳥居が反応して、ネットワークが構成され、各地の鳥居の周囲の情報を探知、裕翔の意識に伝わる。
……
「浅草方向に気配があるが、場所が特定できない? おかしい、何処にいるんだ……」
とりあえず、浅草へ向かう事にする。
途中、路地から出て来た子猫のミーシャに会う。
「お! にゃんこ、お前も迷子なのか? 一緒に来るか?」
『ニャン!』
「お~! お前、人懐っこいな」
子猫は裕翔の肩に乗った。
……
マリンは、数枚の御札をポケットから取り出した。
「私の忍術を見せてあげるわ!」
指先に小さな魔方陣を出して、御札に力を与える。
マリンが考え出した、ハイブリッド忍術だ!
また、妖怪が襲いかかって来る。
「えい!」
すかさず御札を投げつけた。
妖怪もさすがに怯む……
また、 近くの空間が切り裂かれる。
それを再確認したマリンは、その裂け目から帰れると確信した。
「次の攻撃が来たら、全部御札を投げ付けるわ! 来なさい!」
マリンは、攻撃のタイミングを計る……
妖怪の攻撃が来た。
力を与えた御札を全部投げ付ける。
妖怪の攻撃が僅かにずれたが、マリンは、お腹を切られてしまう……
「う! 痛い!」
しかし、同時に切り裂かれた空間にマリンはおもいっきり飛び込んだ。
……
腹部を切られながらも、異界からの脱出に成功するマリン……
しかし、出血が酷く、激痛に意識が薄れていく……
「もうだめ……だれか……たすけて……」
……
文明開化、浅草は日本一の繁華街として賑わっていた。
浅草寺まで来た裕翔だが、まだ少女の足取りは掴めなかった。
……
野生(猫)の感なのかもしれない、ミーシャに誘導されるように、裕翔はマリンが脱出した場所の近くに移動して来ていた。
「なー、にゃんこ、君はなぜこんな場所へ俺を連れて来たんだい?」
『ニヤー』……
一瞬! 嫌な感覚に襲われて、刀に手を掛けて周囲を警戒する。
「なんだ? この尋常ではない妖気は!」
先にミーシャがマリンに気が付き、駆け寄って心配そうに顔を舐める……
裕翔も倒れている少女に気付いて駆け寄る。
「大丈夫か? しっかり!」
「……」
少女のお腹から大量の血が流れ出ているのが見えた……
「これは、酷い……」
裕翔が少女を抱き起こすも、ぐったりとして意識はなく、少女の回りは血で染まる……
……
無常にも時間は過ぎ、切り裂かれた空間はゆっくりと閉じて行った……
大統領の親族として一緒に日本へ来ていた姉妹は、横浜の港に到着した……
横浜港は、幕末から外国との窓口として発展をとげ、外国からの船が多く港に停泊していた。
旧式ではあったが、軍艦での来港は注目を集める事になる……
「マリン! マリン! 起きて!」
「う~ん」
マリンは姉のソフィアに起こされ、可愛らしく背伸びをする。
「もうすぐ、日本の港に着くわよ! 早く準備をして!」
「え~、ソフィアねーさん、もっと早く起こしてよ~」
「ごめんね、気持ち良さそうに眠っていたから……」
マリンは慌ただしく準備を始める。
「ミーシャも急いで、寝癖を直さないと」
……
「 やっと着いた~、ここが日本ね、やった~!」
仔猫のミーシャを肩に乗せ、綺麗なブロンドの髪を靡かせ、喜びを隠しきれない感じで、横浜の港に上陸した。
「マリン、嬉しいのは分かりますが、ダメですよ、おしとやかにしなさい」
「ごめんなさい、ママ」
……
明治5年には、横浜~新橋まで日本初の鉄道が開通していた。
一行は東京へ向かうため、特別列車に乗り込む……
車窓からの眺めはとても素敵で、マリンはようやく来れた日本の景色を楽しんでいる。
「綺麗な景色ね……」
品川付近では、海岸線を通る列車から、遠浅の海の景色が素敵に見えた。
……
日本政府は、第18代アメリカ大統領を国賓として盛大に歓迎する。
しかし、マリンは日本に来るまで、幾つかの国を訪れていて、各国での歓迎会にうんざりし始めていた。
……
「ようやく日本に来られたのだから、もっと自由に行動したいな、もう退屈ね……」
右手の人差し指に小さな魔方陣を揺らめかしながら、日本の情報がぎっしり書き込まれた手帳を眺め、ミーシャに話しかけている。
「あ! ミーシャ! 何処へいくの……」
ミーシャが路地裏の方へ走っていってしまい、マリンは追いかける。
「ミーシャ! だめよ、迷子になっちゃうよ~」
……
この時代、突然人がいなくなる、拐かしや、神隠しがまだ起こっていた。
……
マリンは変化のいたずらに騙され、迷子になってしまう。
変化は、マリンが連れてきた仔猫、ミーシャに化けて境界を越え異界に誘い込んだ。
騙されているとも知らず、マリンは異界の奥まで迷い込んでしまう。
……
式典が無事に終わろうとする頃、マリンがいない事に姉のソフィアが気付く。
「ママ! マリンはどこ?」
「ソフィアと一緒にいなかったの?」
「さっきまで、隣でミーシャといっぱいお喋りしてたけど……」
「あなた、マリンの姿が見えないのよ」
「何時からだ?」
「ソフィアが言うには、さっきまで隣にいたらしいわ……」
「わかった、まだ近くに居るだろうから、警備の者に探してもらうように依頼するよ。シャーロット、心配はいらないよ、大丈夫、直ぐに見付かるよ……」
マリンがいなくなり、慌てている母親、父親のレオンから警察に捜索依頼が届く。
しかしスケジュールに余裕はなく、両親は大統領に付き添い、娘の捜索は警察にまかせて、先に日光へ向かってしまう。
……
依頼された警察側も要人の警備が忙しく少女捜索に人手が回せない。困り果てる警視総監だが……
「父上、どうされました。 悩み事ですか?」
「丁度よい所に来た、総一朗! 少女の捜査を頼みたいのだが……」
「父上、私は現在、要人の警備を任されています」
総一朗は敬礼をする。
「申し訳ありませんが、お受けする事は出来ません」
「そうだったな、すまん」
……
警視総監は、黒革の高級感のある椅子に座り、頭を抱える。
「総一朗、誰か手の空いている者はいないのか?」
警視総監は、ほとほと困り果てて、息子の総一朗に相談したのだったが……
「それは困りました、要人の警護で人手が足りません、現在猫の手も借りたい状態ですので……」
総一朗は少し心当りがあるような素振りを見せる。
……
そこに、総一朗の親友である裕翔が、入って来た。
「裕翔、丁度良い所へ来た……お前暇そうだな!」
「おい、おい、 いくら親友だからって、酷いな! こう見えても今は忙しいぞ」
家に居てもやる事が無いので、暇潰しに親友の家に遊びに来ていた裕翔だったが、2人に無理やり、捜索担当に任命されてしまう。
……その頃
「ミーシャじゃないわね! 誰なの?」
異界の奥まで誘い込まれたマリンは、ようやくミーシャでは無い事に気が付く。
不思議な空間の中、何者かの視線を感じて、恐る恐る辺りを見渡すマリン……
「キャー!」
物陰、茂みの中、至るところに、仔ギツネや、仔だぬきが沢山いた。変化の子だとわかっていたが、ふわふわの毛並みにうっとりする。
マリンは、ぬいぐるみの様に可愛い小動物が大好きで頬擦りしてしまう。
「仕方ないわね! 歩き疲れたし、しばらくここで休んで行きましょう」
そう言うと、マリンは『ふわふわ』の『もふもふ』の中に体を埋めると、疲れからかそのまま眠ってしまった。
ミーシャに化けてマリンを異界へ誘い込んだ変化はそっと姿を消した……
……
さて、少女の捜索を依頼された裕翔は……
「どうする? 1人でどうやって探せって言うんだ! 東京は広いしな……」
困り果てる裕翔だったが……
……
《裕翔の心の声》
『情報では、少女は横浜から東京へ来ているので、横浜に戻った可能性もあるが?……いやいや、順を追って考えよう!
まず、少女は大統領の一行と一緒に、横浜港に着いてから新橋までは、鉄道で移動していて、新橋では歓迎式典に出席している。
その式典の最中に突然行方不明になっている。まさか? 先に日光へ行ったのか? いやいや、それは考えにくいし? もしかすると、アメリカへ帰りたくなり、やはり、横浜方面へ戻ったのではないか?
……俺、こういう推理は苦手なんだよな……
う~ん……先ずは情報を集めるとするか……』
……
裕翔は情報を集めるため、横浜へ向かう事にした……
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日本橋から川崎まで目撃情報が無いのはおかしいよな?』
などと色々考えながら歩いていると横浜の停車場に着いた。
裕翔が横浜に着いたのは、昼近くになっていた……
「ここが横浜の停車場か、新橋の建物とそっくりなんだな! しかし、ハイカラな建物だな! 帰りは鉄道で帰ろうかな……」
裕翔は少し陸蒸気に興味があるようだ。
「先ずは、聞き込みをするか!」
横浜は、港、鉄道の町として活気に溢れ、異国情緒溢れる街並みが広がっている……
……
どれくらい時間がたったのか? マリンは目を覚ます。
もふもふの感触で癒され、暫く楽しんだマリンは、異界脱出を考える。
とりあえず、入って来た方向へ戻る事にするが……
周囲の様子が薄暗く、不穏な空気に変わり、マリンよりも大きな繭玉がいくつも現れ、その繭の中に人の様な形をした物が見えた……
「凄く怖いわ! 何なのこれ? 道、間違えてるのかな?」
突然! マリンの行く手に妖怪が現れ、襲いかかって来た。
「キャーーー!」
マリンは、攻撃をすかさず避けて、目眩ましの御札を妖怪に投げ付けて、物陰に身を隠す。
近くの空間が切り裂かれ、現世の町並みが見えた。
「なんなのよ! 私を殺す気なのかしら? でも、あの切り裂かれた空間から帰れそうだわ!」
危険な妖怪のテリトリーに迷い込んでしまったらしく見つかれば殺されると思ったマリンは、物陰に隠れてやり過ごすことにしたが
……
「どうしてこんな事になっちゃたのよ? 誰か、助けて! もう、なんなのよここは……」
マリンは、息を殺して見つからないようにしていたが、小枝を踏んでしまって、音を立ててしまう。
『パキ!』
「あ!」
直ぐに見つかってしまった……
「でも! 負けないわよ! 私は忍術が使えるんだからね~!」
……
その頃裕翔は、停車場の2階にあるレストランのウエイトレスに聞込みをしていた。
「子猫を連れた外国の少女を見かけませんでしたか?」
「いいえ、見ませんでしたよ……他の人にも聞いてみますか?」
「お願いします……」
「少しお待ち下さいね……」
「洋食か、美味しそうだな……」
……
「申し訳ございません、見た方はいないみたいです……」
「そうですか、ありがとうございます」
有力な情報が得られなかった裕翔は港へ向かう事にする……
歩きながら渡された捜査資料と似顔絵を確認するが……
「この似顔絵は……総一朗が描いたな……」
似顔絵での捜査は諦める……
……
弁天橋を渡り、馬車道まで来ると、ガス灯が道の両サイドに設置されていてハイカラな通りになっていた。
もう暫く歩くと、横浜本町通りの時計塔が見えて来た。
「もう午後の1時か! 腹減った~、ちょと休憩するかな……」
……
裕翔はスパゲッティーナポリタンを美味しそうに食べている。
「これは美味しい!」
……
隣に座った客の話し声が聞こえてきた……
『知ってるか? 今、東京にアメリカの元大統領が来ているらしいが、一緒に来た孫娘が、これがまた天女かと思うほどのべっぴんさんでな~、噂では行方不明に成ってるらしいんだが、無事だといいんだがな……』
『本当か? あ! その娘を探したらお礼がもらえるんじゃねえ~かな?』
『やめとけ~、懸賞金は掛かっているらしいが、もし妖怪の仕業だったらどうするんだ』
『そうか、妖怪か……止めとくか~……だけど一目見て見て~もんだな~!』
『もう1人の娘は無事らしいから、見に行くか?』
『それを早く言えよ! 直ぐに行こう!』
その話を聞いていた裕翔は話し掛けた……
「懸賞金が出るのか?」
『お! 兄さんも興味があるかい?』
「少しある、横浜でその行方不明の少女を見た人はいるのか?」
『懸賞金目当ての奴等が探しているらしいが、この辺りにはいないらしんだよな……だから、そいつらも妖怪の仕業じゃないかと言っているんだ』
「そうか、妖怪か……厄介だな……」
……
仕方なく、裕翔は奥義を使うため、神社の境内に移動する。
静けさの中、鎮守の力をもらい、奥義、『心眼』を使う。
気を集中し、刀のつかから金属音を発する
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鳥居が反応して、ネットワークが構成され、各地の鳥居の周囲の情報を探知、裕翔の意識に伝わる。
……
「浅草方向に気配があるが、場所が特定できない? おかしい、何処にいるんだ……」
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途中、路地から出て来た子猫のミーシャに会う。
「お! にゃんこ、お前も迷子なのか? 一緒に来るか?」
『ニャン!』
「お~! お前、人懐っこいな」
子猫は裕翔の肩に乗った。
……
マリンは、数枚の御札をポケットから取り出した。
「私の忍術を見せてあげるわ!」
指先に小さな魔方陣を出して、御札に力を与える。
マリンが考え出した、ハイブリッド忍術だ!
また、妖怪が襲いかかって来る。
「えい!」
すかさず御札を投げつけた。
妖怪もさすがに怯む……
また、 近くの空間が切り裂かれる。
それを再確認したマリンは、その裂け目から帰れると確信した。
「次の攻撃が来たら、全部御札を投げ付けるわ! 来なさい!」
マリンは、攻撃のタイミングを計る……
妖怪の攻撃が来た。
力を与えた御札を全部投げ付ける。
妖怪の攻撃が僅かにずれたが、マリンは、お腹を切られてしまう……
「う! 痛い!」
しかし、同時に切り裂かれた空間にマリンはおもいっきり飛び込んだ。
……
腹部を切られながらも、異界からの脱出に成功するマリン……
しかし、出血が酷く、激痛に意識が薄れていく……
「もうだめ……だれか……たすけて……」
……
文明開化、浅草は日本一の繁華街として賑わっていた。
浅草寺まで来た裕翔だが、まだ少女の足取りは掴めなかった。
……
野生(猫)の感なのかもしれない、ミーシャに誘導されるように、裕翔はマリンが脱出した場所の近くに移動して来ていた。
「なー、にゃんこ、君はなぜこんな場所へ俺を連れて来たんだい?」
『ニヤー』……
一瞬! 嫌な感覚に襲われて、刀に手を掛けて周囲を警戒する。
「なんだ? この尋常ではない妖気は!」
先にミーシャがマリンに気が付き、駆け寄って心配そうに顔を舐める……
裕翔も倒れている少女に気付いて駆け寄る。
「大丈夫か? しっかり!」
「……」
少女のお腹から大量の血が流れ出ているのが見えた……
「これは、酷い……」
裕翔が少女を抱き起こすも、ぐったりとして意識はなく、少女の回りは血で染まる……
……
無常にも時間は過ぎ、切り裂かれた空間はゆっくりと閉じて行った……
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のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。
目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。
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