ちょとだけ不思議で、ちょとだけ夢のある、ちょとだけ昔の冒険物語

いぬっ

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≪巫女編≫

4.しろくまを助ける

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 さつきとルナは異界いかいから脱出して、元の場所、浅草あさくさにある雷門かみなりもんの近くに戻っていた……

「それでどうだったの? 美人だった?」

「あの娘、超美人だったよ!」

「そうなの~! 私と比べたら……」

「姉さま、負けてる……」

「ルナ、それは本当~なの?」

 さつきは、ルナのほほをむぎゅ~てしている……

「やめへぇ~、あねさま~! さつき姉さまも美人だけどそれ以上に可愛くて美人だったよ~!」

「ルナとは?」

「ルナの可愛さに比べたら月とスッポンね!」

「どっちが? スッポンなのよ?」

「ルナが月に決まってるじゃん!」

「こら、ルナ~~~!」

 さつきは、ルナの頬をむぎゅ~てしている……

「やめへぇ~、姉さま~! ごめんなさ~い一瞬しか見えなかったから~、よくわからな~い!」

「本当~に、良く見えなかったの?」

「うん!」

「……そう! なら、仕方ないわね……」

「姉さま~ひど~い、ほっぺたがヒリヒリするよ~」

……

 2人は、知る由しるよしもなかった、その場の男達の視線を集めて『ざわざわ』させていた事に……

『おい、おい、あそこにいるの巫女さまじゃねーか、可愛いじゃねーか、何処の神社の巫女さんかな~? お前、ちょと話し掛けて来いよ!』

『やだよ、恥ずかしい、お前が行けよ……』などの会話がされていた事も……

……

「気を取り直して、そろそろ、しろくまさんの所へ行こうか!」

「そうだね!」2人は浅草寺せんそうじ門前町もんぜんまち仲見世なかみせを通る……

「姉さま~! ここは何? 天国! 美味しそうなものがいっぱ~い!」

「こらルナ、はしゃぎすぎて色んな所行くと、迷子になっちゃうよ」……と、ルナを注意しながら、店の前を通り過ぎようとすると、お店の人が私達に話し掛けて来た。

『おねちゃん達、可愛いね~! どう? お菓子、買ってかないかい?』

「美味しそう!」……ルナは少し立ち止まって見ていると……

『おねちゃん、可愛いから1つ上げるな~!』

「ありがとう~」お店のおじさんから、赤いきれいな色をしたあめもらい、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいる。……流石さすがルナ大人おとなの心を掴むのがうまい……私には出来ないな……と思いながら見ていたら……

「美味しそう! 私も欲しい!」思わず声が出てしまった……『やだ! 恥ずかしい……』さつきの顔は真っ赤になっていた……

『おねーちゃんにも上げるよ!』

「ありがとうございます! でも大丈夫です! ごめんなさ~~~い」

 みんなの視線を感じて、恥ずかしくなったさつきは、ルナの手を引いて、急いでお店の前を通り過ぎた……

『また来てね~!』……お店の人が手を振ってくれている。

「またね~」……ルナは可愛く手を振り返していた。

……

 仲見世通りを抜けると、程なくして見世物小屋に着いた。

「ここね!」

「姉さま! 場所も分かったし、ちょと買い物して来るね~!」と言ってルナはまた仲見世通りへ……

「あ! ちょとまってルナ……もう、仕方ないな~」

 その時、見世物小屋の奥から、商人が出て来て、さつきに声を掛ける……

「巫女さま?……」

「はい! そうです!」……さつきは振り返る。

「あれ?」……一瞬、目線の高さには姿がなく、さつきは驚く。

「お忙しいのに、浅草まで御足労ごそくろういただき有り難うございます。さー、さー中へお入り下さい」

 下の方から声がして、視線を下げるとそこには……

「子供?」ルナよりも背の低い男の子がいた……

其の節そのせつは、しろくまを捕まえて下さり、有り難うございました」

「いえいえ、少し手こずりましたが……でも、驚きました! 商人の方が子供だなんて……あ! ごめんなさい、こんなにも幼くて、可愛らしい男の子だったなんて……」

「実は、僕の父が体を壊しまして、父の後をついで商人と、小さいですが、見世物小屋を営んでいます……申し遅れました、僕は『れん』と申します」

「これはご丁寧に有難うございます。私は鷲宮神社で巫女をしているさつき・・・と言います。でも、えらいわね~! まだ小さいのに、後を継いで働いているなんて! 連くんは何歳いくつなの?」

「僕は10歳です! 立ち話もなんですから、さー、さー中でお茶でも飲みながら……」

「あ! もう一人、一緒にルナって娘が来てるのよ……」

「そうなんですね! 大丈夫です! ルナさんが来られたら店の者に案内させますから!」

「そ、そ~ですか、それじゃ……」

 さつきは、小屋の奥の応接間おうせつまへ通された……

……

「このお菓子美味し~い! なんと言う名前のお菓子なのですか?」

「これは、僕がヨーロッパのドイツと言う国から職人をやとって、作ってもらったお菓子で『木のお菓子バームクーヘン』と呼ばれています。小麦粉に卵と牛乳にバター、メープルシロップを混ぜ合わせ、それを幾重いくえにも少しずつ焼きながら、木の年輪のように重ね焼きして作ります。作るのは手間がかかりますがとても美味しいお菓子です! 仲見世で販売しようかなと思ってます」

「ほんと~だ! 木の年輪みたい! 美味しい! このお菓子なら、きっと売れるわよ!」

「そうですか、有難うございます。そう言ってもらえると、お店を出す決心がつきました。それでさつきさん……申し訳ないのですが、しろくまの事でお願いしていた事は?」

「大丈夫です! お薬、持って来ました! 滋養強壮剤じようきようそうざいです!」

 さつきは竹筒に入った薬を渡す……

「有難うございます。 それでは、失礼して、早速使ってみます!」……そう言うと連は、直ぐにしろくまに飲ませに行った。

……暫らくして

「どうでした?」

「お薬有難うございます。薬を飲んでだいぶ落ち着いて来ましたが、直ぐには舞台には出せそうにも有りません……ヤバイです。どうしましょ~……助けて下さい、さつきさん……」……連は少し……いいや、かなり困った表情を見せる。

 その時ルナが、両手にお菓子をいっぱい持って、走って来た。

あねさま~!」

「ちょ、ちょと、ルナさん!! すっごく可愛い娘ですね! いい事、思い付きました! 2人にお願いしたい事があります」

「……お願い?」連は何かを企んでる悪い商人の顔をした。

……

「やだ~~~! やらないわよ! ルナは貴方が連れて来たしろくまに酷い事されたのよ~!」

「そんな事言わずに~、お願いします~、そうだ! これをどうぞルナさん! ドイツのお菓子です。食べてみて下さい!」

「こんなものじゃ、私はだまされないんだからね! 『ぱく!』なに、なに! このお菓子、すっごく美味しい!」

「もっとお菓子、食べて良いですから、僕のお願い、聞いてもらえますか?」

……ルナはお菓子で買収された……

 2人はれんに頼まれ、見世物小屋の舞台で神楽かぐらを舞っている……『だって、しろくまさんが体調不良で見世物に出来ないからって、あんなにお願いされたら断われないでしょ! それに、美味しいお菓子も頂いたし、みんなの分のお土産も用意してくれるって言うし……しかたないわよね!』と思いながら……

「でも、大丈夫かな~? 神楽を神前以外で舞っちゃって?」

「私達の神は寛大かんだいですから大丈夫でしょう!……たぶん……」

『巫女さま~! こっち見て~!』

『きゃ~、巫女さま~!』

「私達の舞を見て、やけに盛り上がってますね? どうしたのでしょうか? ルナ、何かしたでしょう?」

「だって~、恥ずかしいから~……『魅了』をちょと……」

「……どうりでこの盛上がり……でも助かったわ!」

……舞も無事に終わり、舞台の裏で……

「さつきさん、ルナさん、お疲れ様です! 助かります」

「連くん、ルナの舞、どうでした~?」

「凄く素敵でしたよ! でも無理を言ってすみません……」

「お菓子のためだからね! このお菓子を皆んなに持って行ってあげたいからなんだからね!」

「分かってますよ! 沢山、お土産をご用意いたしますから、みなさんへ持って行って下さいね」

……

 それは突然で、一瞬の事でだれも対処出来なかった……おりの横を通ったルナをしろくまは、引きずり込んだのです……

「きゃ~~~!」……しろくまはルナの体をペロペロ、ベロベロと隅々まで、あめをしゃぶるように舐め回しています……「いやぁ~ん!」

「こらー! しろくまー! 僕のルナさんに何て事を💢」

「誰か早く助けてよ~」……しかし、しろくまは、ルナの事を堪能かんのうし終わると『ポイ』と放り投げました……

「こら! くま! 何すんじゃい💢」……ルナの体をペロペロと舐め回したしろくまは、何故だが? 元気を取り戻し復活してました。

「しろくまさん、元気になってる??? ルナからなにか出てるのかな?」

「姉さま! 違うわ、わたしの魅力よ!」……勝ち誇るように話すルナ。しろくまのよだれがひたたってました……

「ルナ、くま臭い……」

「え!」

……

「ね~ルナ! ちょと思ったんだけど、毎回ルナばっかり襲われるのは、ルナだけが持っている何かが有るからよね? それを考えると、魔法のエキスが出てるんじゃないかな?」

「姉さま、魔法をそんな変な風に例えないでよね! エキスなんて出てないわ!」

「ルナさんは、魔法が使えるのですか?」

 れんは話始める……

「僕、聞いた事があります、ヨーロッパには、魔法使いの一族がいて、時代によっては恐れられたり、あがめられたりしたとか……その力は余りにも強力なため、国を治めた権力者の陰には必ずその一族がいたとかいないとかと言う話しも……現在では伝説的存在で、一般の人々に紛れて、身を隠して生きているので、絶対に会うことは出来ない存在だと言われています……その一族の末裔まつえいが目の前に……」

「ルナ! そんな凄い娘だったの?」

「ルナ知らな~い!」

 連は何かを企んでる悪い商人の顔をした……

「連くん、たまに悪い顔するわね……まだ10歳なんだから、止めなさい……」

「イケない! 僕、友達のルナさんの魔法を見世物にしようと考えています……商人の悪い血が……そうだ! ルナさん契約して下さい僕と!」

「契約?」

……

「有難うございます! ルナさん、友達のルナさんの秘密を人に漏らしたら僕の全ての財産をルナさんに渡すという契約を結んでいだだいて……」

「契約はOKよ! でも、何言ってるのよ! そんなに簡単に友達になるわけないじゃん!」

「そんな~……でも大丈夫です! きっと友達になってみせますよ! 将来的には結婚も……うわ! 恥ずかしい……」

 連は真っ赤になって恥ずかしがっていて、もじもじしている……

「何言ってるのこの人?……それじゃ~、ルナと友達になりたいなら~、ルナのお願い聞いてくれる~~~?」

「なんでも聞きます! ルナさん!」

「ルナ? 連くんに『魅了』の術をかけたの?」

「掛けてないよ、勝手にこうなってる見たい!」

「丁度良いわ、それじゃ、しろくまを何とかして貰いなよ、このままじゃ、可愛そうでしょう!」

「そうだね!」

……

 ルナは連に、しろくまを、元の国へ帰す事を約束させた。また遊びに来る時に、しろくまに襲われるのは『いや!』って言ったら、「直ぐに返します!」って言ってくれたの! 「だって、またしろくまに、ペロペロされるのは嫌だもん……」

……

 その後、北極圏に帰ったしろくまは、日本で覚えた芸を地元の村の人々に見せ、人気者になって、たまに、芸を見に来る1人の村の少女をペロペロ舐めながら幸せに暮らしたとさ……めでたし、めでたし。
 また、しろくまを返した後のれんといえば、また凝りもせずに、何処どこかの山奥にいた白と黒の熊を連れて来て、見世物にして荒稼ぎをしていたとさ……

……

 浅草から帰って来たさつきとルナはお土産をみんなに渡してから、美人姉妹について結果報告を行っていた……

「なんだ? このお菓子、美味しい~!」

「バームクーヘンって言うのよ! 美味しいでしょ!」

「うん! 美味しくてほっぺが落ちそうだぞ!」

「それでは~、噂の姉妹の報告をしま~す!」

……みんな固唾かたずを呑んでさつきに注目する……

 さつきが口を開こうとした瞬間……

「ごめんなさ~い! 良く見えませんでした~!」

 ルナが横から割り込んで誤った……

「なんだよ~それ~!」

「だって~、一瞬しか顔、見れなかったんだもん!」

「さつきは見れなかったのか?」

「大量の妖怪に襲われてて……見れなかった……ルナが
彼女を助けに行ったんだけど、異界から、逃げ出す所を少しだけ見ただけで、ほとんど見えなかったらしいの、ごめんなさい……」

「そっか……残念だぞ! だけどみんな無事で良かったぞ!」

……

 しばらくして、商人の連から招待状が送られて来た……その招待状には手紙が添えられていて、熊の絵が描いてあった……

「へったくそな絵だな~! くまの目の回りを黒く塗ってるよ?」

「なに? なにこれ? 絵の上手さはともかく、耳が黒で、手足も黒くて、体は白って! すっごく可愛いいんですけど~!」

「そうか~?」

「とうとう珍獣ちんじゅうを作っちゃたんだね~! 一線を越えちゃんだね~!」

「居るわけ無いよね、顔と体が白で、尻尾がボブテイルで黒く、耳と目の周りが黒くなってて、フサフサの毛で覆われている熊さんなんてね~! 絶対に色を塗ったんだよ!」

「でも、気にならない? こんど、みんなで見に行ってみようか?」

「俺は行かないぞ!……だけど、あのお菓子はすっごく美味かった! また食べたいな、東京で売ってるんだよな?」

「あのお菓子はね、商人の連くんがね、ドイツから職人を雇って作ってもらったお菓子で、見世物小屋まで行かないと食べられないわよ!」

「そ、そうなのか……」

……

 暫らくして、浅草に5人の巫女の姿があった……

「本物だったぞ! 驚いたぞ!」

「白黒のくまさん、可愛かったね~!」

「お菓子も美味しかった! また来ような!」

……


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