ちょとだけ不思議で、ちょとだけ夢のある、ちょとだけ昔の冒険物語

いぬっ

文字の大きさ
19 / 29
≪巫女編≫

5.屍使い

しおりを挟む
 今日も、新たな妖怪退治のお仕事の依頼が来ました。近くの村に幽霊ゆうれいが出るらしいのです……「きゃ~~~!」

「なんだよ、突然! 驚かすなよ!」……りんは突然悲鳴をあげたルナに驚き、かなえに飛び付いた……

「ルナ!💢」

「だって~……怖いんだもん」

「俺だって怖いんだからな……やめろよな、漏らし
ちまうだろう……」……りんは小声で恥ずかしそうにつぶやく……

「私もだぞ……」

……

 その依頼の内容は、村の墓地から丑三つ時うしみつどきになると、死者がよみがえって来て、村の中を彷徨さまよい歩く、と言うのです。

「そんな訳ないわよ~」……小枝の声は震えている……

「聞いたことがあるぞ……外国では死者が蘇るらしいなのだぞ、それも大量にだぞ……『ゾンビ』って言うらしいぞ……」

「かなえ! それ本当?」

「本当なんだぞ! ゾンビは銃や刀の攻撃は効かないんだぞ! それに……」

「どうしたの? かなえ、それに何?」

「それに、まれると、ゾンビになっちゃうぞ」

「それ、怖くない?」

「だれよ~、こんな依頼受けたの~~~」

……

「あ! ごめんなさい、ルナよ! ルナが受付うけつけしたよ!」

「ルナ💢」

「だって~」

「だってじゃない💢」

……

「こういう事は、警察に任せよ~ぜ!」

「そうだよ~~~、私達がやんなくてもいいんじゃないかな?」

「次からは警察にまかせましょう、けど今回はだめよ! 鷲宮神社わしのみやじんじゃ巫女みこは、1度引受けた依頼は必ず遂行して、達成します。 みんな頑張りましょう!」……さつきは、リーダとして鼓舞激励こぶげきれいする……

……

午前1時00分……

 蒼白あおじろ月明つきあかりに照らされる鷲宮神社のおやしろ……

「それじゃ時間よ!」

 全員の動きはにぶい……

「みんな~! どうしたの~? 何時いつものように素早く動きましょう!」

さつき・・・ね~も、遅いぞ……」

「……今回は仕方ないわね、気乗きのりがしないから……」

 本殿ほんでんに集まり、3柱みはしらの神のご加護かごを貰う……

「それでは、今日の仕事ですが、狐塚村きつねづかむらからの依頼で、幽霊を退治に行きます。かなえの情報では、ゾンビではないかとの事ですが、詳細はわかりません。現地に行って直接確認します」

「そんなんで大丈夫なのか? まれたらゾンビだぞ……」

「大丈夫よ! 私達は3柱の神のご加護を貰ってるからね!」

「そうたぞ! びびる事はないんだぞ!」

「それじゃ、かなえが先頭ね!」

「え! それはないぞ……ルナ……」

……かなえはりんの後ろに隠れた。

……

午前1時40分……

 現地に到着……

 月明つきあかりに照され、蒼白あおじろく見える墓地、薄気味悪い雰囲気のなか、おおかみ遠吠とうぼええとフクローの鳴き声が少し不気味にきこえて来る……

『ワウォ~~~ン』
『フォ~、フォ~』

「きゃ~!」ルナはまた悲鳴を上げる……その横でかなえは震え上がって、小枝の後ろに隠れていた。

……

 生暖かい風が吹き、突然お寺の鐘が鳴る……

『ゴーン、ゴーン、ゴ~~~ン……』

「ゔあ~~~! 何で鳴ってんのよ~?」りんも恐怖の余りしゃがみ込む……

「りん、ルナ、かなえ、大丈夫?」

「うえ~~~ん、もう、やだ~~~!」

……

午前2時00分……

 突然、地面が揺れた……

「今度はなに~?」

 そいつ等は、墓の下からゾロゾロと、それも大量に湧き出すように出てきた……

「キャーーー!」

こわい、くさい、気持ち悪い!」みんな蜘蛛くもらすように逃げ回る……

「やだ~! こっち来るな~~~」

「これがゾンビだぞ! やばいぞこれは! 凄い数だぞ……」

 数分間逃げ回っていたが……

「こいつら、動きが結構速い!」

 りんは、銃で心臓を撃ち抜く……

 ゾンビの左胸に風穴があくが……

「効かね~! それなら……」

 こんどは頭部を狙って撃つ!

「マジかよ~! 頭が無くなっても動いてる……ルナ! 魔法で撃退してくれよ!」

「もう使ってるよ! でも、効いてないよ~~~!」

木っ端微塵こっぱみじんにすれば良いんだぞ!」

「本当か? かなえ?」

「本当なのだぞ!」

「わかった、わたしが甲賀流火炎の術こうがりゅうかえんのじゅつで退治してやるわ!」

「小枝! 頼んだわよ! 爆破ばくはしちゃえ~!」

 小枝は火薬を仕込んだ竹筒を投げ付ける……

『ドッカーン』

「派手に吹き飛んでるな~!」ゾンビは木っ端微塵に吹き飛んで消えて行く……

「でも、何か変ね? 手応えがないと言うか? 煙に巻かれて消えて行ってるような?……」

「良いじゃないか、効果ありだ! どんどんやっつけるぞ!」

「私にも頂戴ちょうだい、爆弾投げた~い!」5人みんなで投げまくる……

『ドッカーン』

……

「もうダメ!」

「どうしたんだ? 小枝?」

「もう無いわ……火薬が……」

「ヤバいじゃん……」

「きゃ~! こっち来るな~~~」

「いやぁ~ん」ゾンビはどんどん増え、さつき、小枝、かなえ、りん、ルナを追い回す。

 ルナはつまずいて転んだところを、ゾンビに捕まったが大騒ぎして、蹴りやら頭突やらを食らわせて抵抗しいる……その時、声が……

「こんばんわ、ルナさん!」

「💢だれ?」

「お久しぶりです!」

 ゾンビに捕まり、あんな事やそんな事をされているルナの横に、近寄って来て冷静に、ルナに話しかけて来た誰か?

「💢だから、だれ?」

「いやだな~忘れちゃいました? 僕ですよ~!『れん』です……」

「え?」

れんくん?」

「さつきさんも、お久しぶりです!」

「そんなことよりも、れん💢 早く助けなさいよ!」

「あ! ルナさんごめんなさい、すぐに助けます!……でも、このゾンビはきつねですよ! 驚かせて楽しんでいるだけで特に何もして来ませんよ!」

「え? きつね?」

……突然、ゾンビが煙になって消えた。

「も~~~う! 騙された~~~!」

 5人の巫女の叫び声が、蒼白あおじろ月明つきあかりに照らされる墓地に木霊こだました……

……

「ね! きつねだったでしよ! 皆さんもなんとも無いでしよ?」

「……」

 冷静になって自分の体と服を確認する……

「……本当だ!」

 みんな顔を赤らめながら、気まずそうにすそを払い、起き上がる……

「さっきも聞いたけど、何でれんくんがここの居るの?」

「さつきさん、それはですね……1週間前、鷲宮神社へ向かっていたんですが、この辺って、湿地帯しっちたいじゃないですか池やら沼やら川を迂回うかいしながら歩るっていたら迷っちゃいました……は、は、は、は~! 仕方ないんで、この辺で騒ぎを起こせば、皆さんが来てくれるかな……なんて思いまして、僕がアフリカの国で学んだ屍使いネクロマンサーの術をちょつと使いました~」

「……屍使いネクロマンサー? 1週間前?」

「でも、何で墓地なのよ?」

雰囲気ふんいきですよ! 墓地でやれば、ほら、なんとなく、テンション上がりますよね! しかし、僕が操れるのはせいぜい1体のみですよ、他はほら、そこに居る狐たちが、僕の術を面白おもしろがって、まねして、化けて遊んでるんですよね! あ、は、はは~! それに、僕が操ってるのは1体の傀儡くぐつですし……」

「それじゃ、この数はなんなのよ?」

「数? 僕の傀儡くぐつは1体ですし……きつねも数匹しかいませんが?……」

「そんなはずないじゃん、見なよ、この数を!」

「……」

 そこには、れんの操る傀儡くぐつきつねしかいなかった……

「このきつね達にだまされましたね!」

「でも!」

「でも? なんですか?」

貴方あなたが原因よね? れんくん!」

「……何を言ってるんですか? みなさん……僕はだだ……」

 れんは、すっごく冷たい視線を感じてシドロモドロになる。

「ただ、何なのよ、言ってみなさい」

「……ご、ごめんなさ~~~い」

 れんの叫び声が、蒼白あおじろ月明つきあかりに照らされる墓地に木霊こだました……

……

れんくん、あなた1週間も迷子まいごになってたの?」

「はい! 1人だったんで、心細かったですよ~、でもルナさん! 僕を助けに来てくれたんですね~! 嬉しいです!」

「あなたを助けに来たわけじゃないわよ!」

 嬉しそうにルナにハグしようとしているれんを、足で蹴って引き離そうとしている……

「あ! そうだ、皆さんに、美味しいお菓子も持って来ましたよ!」

「何言ってるの! 1週間もたってるじゃないの……」

「そうでした……食べられませんね……」

「仕方ないわね~、一緒に来なさい、お腹へってるわよね?」

「皆さん! 有難うございます! ここ1週間、水しか飲んでませんでしたので、お腹ペコペコです!」

……

「これで、幽霊退治のお仕事は完了ね!」

「でも、れんくんが原因でしたって言うの?」

「ごめんなさ~い、それは止めてくださ~い」

きつね悪戯いたずらでしょ!」

「そうよね、きつね仕業しわざね!」

「有難うございます! みなさん!」

…… 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ
ファンタジー
 ハートとお気に入り登録、ぜひぜひお願いいたします!  ↓簡単なあらすじは''もっと見る''へ!↓  ここは、剣と魔法の異世界グリム。  ……その大陸の真ん中らへんにある、荒野広がるだけの平和なスラガン地方。  近辺の大都市に新しい冒険者ギルド本部が出来たことで、辺境の町バッファロー冒険者ギルド支部は無名のままどんどん寂れていった。  そんな所に見習い冒険者のナガレという青年が足を踏み入れる。  無名なナガレと崖っぷちのギルド。おまけに巨悪の陰謀がスラガン地方を襲う。ナガレと仲間たちを待ち受けている物とは……?  チートスキルも最強ヒロインも女神の加護も何もナシ⁉︎ ハーレムなんて夢のまた夢、無双もできない弱小冒険者たちの成長ストーリー!  努力と友情で、逆境跳ね除け成り上がれ! (この小説では数字が漢字表記になっています。縦読みで読んでいただけると幸いです!)

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

処理中です...