暁テトラポット

ちぇだーちーず

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暁テトラポット

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時刻は朝の四時半ちょうど。
スマホのアラームで目が覚めたところだ。
「んぅ、何?うるさいなぁ。」
そう言ったのは彼女の舞。
気持ちよく寝てたのに起こされ、少し不機嫌そうだ。
「ねぇ舞、パジャマのままでいいから、ちょっとドライブに付き合ってよ。」
頬を膨らませながらも、承諾してくれた。
「いいけど、どこ行くの?」
「んー、内緒。」
僕はちょっと意地悪に、微笑んだ。

ピッ、と車を開錠、そして乗り込んだ。
舞が笑いながら、拗ねながらも数分車を走らせて着いたのは、近所の海岸。
「はい、着いたよ。」
僕はそう知らせた。
車から出て、僕は可愛い彼女を浜辺へとエスコートする。
「うぅ、さむ.......」
いくら夏とは言え、やはり日が昇る前の空気は冷たかった。
「だったら来なきゃ良かったじゃん。」
さっき拗ねたのがまだ残っているのか、辺りの空気に影響されたのか、少し冷たい言葉が飛んできた。
「しょうがないじゃん、目的があるんだから。」
オブラートに包んで返す。
「だから、目的って何?」
あ、ちょっと、オブラート剥がそうとしないでよね?!
まあ、けど、そろそろいいかな。
「じゃあさ、舞、ちょっとついて来て。」
そう言って僕は、テトラポットの方へ歩いていく。
何も言わず、舞も付いてくる。
「はい、じゃあ登って。」
僕が先に登ってから、引っ張ろうと手を伸ばす。
何も言わずとも、舞はその手を握って、テトラポットの上に登った。
「わぁ、きれい。」
朝日が昇る数分間のみ見られる、束の間の絶景。
「これを見せたかったんだ。まぁ、テトラポットに登らなくても良いんだけど。」

日が昇りきるまでの僅かな時間を、
僕は、僕等は、存分に楽しんだ。
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