452 / 816
滅びし水晶の惑星
晶隷化
しおりを挟む
もう会話しても大丈夫だから、クリアに色々と質問を飛ばした。
最初にしたのはクリアが乗っていたロボットのことだ。
あのロボットの名前はクリスタラー。クリステラの防衛兵器だそうだ。
どういう技術で作られているのか聞いたが、クリアはパイロットではないらしく、詳しいことは知らなかった。
クリスタラーを包んでいた水晶はクリスタルスリープモードというシステムを起動した際に構築された物だそうだ。
クリスタルスリープとは機体を超硬度の水晶で守ると同時に、パイロットの生命活動を一時停止させることでパイロットの命を保持するシステムらしい。
コールドスリープに近い物なんだと思う。
色んな質問をしたが、多くの質問に答えが返ってこなかった。
隠しているわけじゃなく、単純に覚えていなかったのである。
クリアは一般常識や自身の事は覚えているみたいだが、その他の事柄の記憶が欠落していた。
長期間に渡るクリスタルスリープの後遺症なのかもしれない。
「スワロちゃんはどこから来たのですか?」
「ヴィンディスから来たんだ。知ってる?」
「ヴィンディス?そんな星知らないです」
ヴィンディスは単純に知らないそうだ。
他の星の名前も出してみたが、そのほとんどは知らず、知っていたのはジーイフ、ギング、トラアルカだけだった。
ジーイフが健在の頃の人間なのは間違いない。
その年齢は僕らよりも遥かに上だが、ずっと眠ってたこともあって、そんな感じはなく、むしろ幼さを感じられた。
クリステラが滅んだ訳を聞こうとした時、降下艇のスピーカーからユラさんの声が流れた。
『スワロ君!大変!早く来て!』
「何があったの?」
「ノロミオとウラノス君の様子がおかしいの!」
ノロミオさんとウラノスはAGラッパの除染を行っているはずだ。
クリアを置いて、急いで降下艇の荷台に向かうと、二人が倒れていた。
ウラノスを起こそうとしたら、手に鋭い痛みが走った。
手に刺し傷が出来ている。それを作ったのは彼の体から生えた水晶だった。
この症状、クリアと同じだ。
ノロミオさんの体からも水晶が生えている。
二人の意識はない。
何が起こったのか聞くために、一度ログアウトして、天王寺に電話を掛けた。
「強制ログアウトされたんだ。そっちの様子は?」
「体は残っているよ」
ログアウト中はプレイヤーの体は消える。
しかし、今回、二人の体は消えていなかった。普通のログアウト状態ではない。
「もう一度ログインしてくれる?」
「もう試した。でも、出来ないんだ」
天王寺によると、キャラクターの異常によりログイン不能と出たらしい。
キャラクター消去かもしくは治療を待つかのどっちかを選択する必要があるそうだ。
野口さんへの連絡は八雲さんが取ってくれた。
彼女も同じ状況らしい。
再びコスモス・リバイブにログインし、二人の治療を開始した。
幸い、治療法は判明している。
クリアと同じなら、ハイポーションが効くはずだ。
ハイポーションを水晶に振り掛ける。
水晶はクリアの時と同じように次々と抜けていった。
これならキャラクター消去をさせずに済みそうだ。
「あれ?ここってハイポーション掛けたよね?」
最初にハイポーションを掛けたはずの腕に水晶が残っていた。
見落としがあったのかも。
もう一度、ハイポーションを掛けようとした時、異常に気付いた。
さっきまで生えていなかった場所に水晶が出現していたのだ。
何度抜いても同じだった。すぐに新たな水晶が生えてきてしまう。
全身を覆おうする水晶の侵攻を抑えるのが限界だった。
「……どうすれば」
「何があったです?」
騒ぎが気になったのか、クリアが荷台までやってきた。
「晶隷化が始まってるです」
「晶隷化?」
「クリステラが滅んだ原因です。このままじゃ死んで、奴の奴隷になるです」
「治療法は!?」
焦りから問いただすかのような強い口調になってしまった。
少し落ち着こう。
「まだ初期症状だから、薬を投与すればどうにかなるですよ」
「これじゃあ駄目なの?」
ハイポーションが入った瓶をクリアに示す。
「ポーションですね。それじゃあ、その場しのぎにしかなりませんです」
クリアはポーションの存在を知っているみたいだ。
「君の時は効いたんだけど?」
「クリステラ人は少しだけ晶隷化の抗体を持っているです。それのおかげです。でも、クリアも症状が出ていないだけです。完治はしてませんです」
「それじゃあいずれ君も?」
「ハイです」
だとしたら、僕はなんてことをしてしまったんだ。
眠りを覚まさなければ良かった。僕がロボットが欲しいという欲望に流されたせいだ。
最初にしたのはクリアが乗っていたロボットのことだ。
あのロボットの名前はクリスタラー。クリステラの防衛兵器だそうだ。
どういう技術で作られているのか聞いたが、クリアはパイロットではないらしく、詳しいことは知らなかった。
クリスタラーを包んでいた水晶はクリスタルスリープモードというシステムを起動した際に構築された物だそうだ。
クリスタルスリープとは機体を超硬度の水晶で守ると同時に、パイロットの生命活動を一時停止させることでパイロットの命を保持するシステムらしい。
コールドスリープに近い物なんだと思う。
色んな質問をしたが、多くの質問に答えが返ってこなかった。
隠しているわけじゃなく、単純に覚えていなかったのである。
クリアは一般常識や自身の事は覚えているみたいだが、その他の事柄の記憶が欠落していた。
長期間に渡るクリスタルスリープの後遺症なのかもしれない。
「スワロちゃんはどこから来たのですか?」
「ヴィンディスから来たんだ。知ってる?」
「ヴィンディス?そんな星知らないです」
ヴィンディスは単純に知らないそうだ。
他の星の名前も出してみたが、そのほとんどは知らず、知っていたのはジーイフ、ギング、トラアルカだけだった。
ジーイフが健在の頃の人間なのは間違いない。
その年齢は僕らよりも遥かに上だが、ずっと眠ってたこともあって、そんな感じはなく、むしろ幼さを感じられた。
クリステラが滅んだ訳を聞こうとした時、降下艇のスピーカーからユラさんの声が流れた。
『スワロ君!大変!早く来て!』
「何があったの?」
「ノロミオとウラノス君の様子がおかしいの!」
ノロミオさんとウラノスはAGラッパの除染を行っているはずだ。
クリアを置いて、急いで降下艇の荷台に向かうと、二人が倒れていた。
ウラノスを起こそうとしたら、手に鋭い痛みが走った。
手に刺し傷が出来ている。それを作ったのは彼の体から生えた水晶だった。
この症状、クリアと同じだ。
ノロミオさんの体からも水晶が生えている。
二人の意識はない。
何が起こったのか聞くために、一度ログアウトして、天王寺に電話を掛けた。
「強制ログアウトされたんだ。そっちの様子は?」
「体は残っているよ」
ログアウト中はプレイヤーの体は消える。
しかし、今回、二人の体は消えていなかった。普通のログアウト状態ではない。
「もう一度ログインしてくれる?」
「もう試した。でも、出来ないんだ」
天王寺によると、キャラクターの異常によりログイン不能と出たらしい。
キャラクター消去かもしくは治療を待つかのどっちかを選択する必要があるそうだ。
野口さんへの連絡は八雲さんが取ってくれた。
彼女も同じ状況らしい。
再びコスモス・リバイブにログインし、二人の治療を開始した。
幸い、治療法は判明している。
クリアと同じなら、ハイポーションが効くはずだ。
ハイポーションを水晶に振り掛ける。
水晶はクリアの時と同じように次々と抜けていった。
これならキャラクター消去をさせずに済みそうだ。
「あれ?ここってハイポーション掛けたよね?」
最初にハイポーションを掛けたはずの腕に水晶が残っていた。
見落としがあったのかも。
もう一度、ハイポーションを掛けようとした時、異常に気付いた。
さっきまで生えていなかった場所に水晶が出現していたのだ。
何度抜いても同じだった。すぐに新たな水晶が生えてきてしまう。
全身を覆おうする水晶の侵攻を抑えるのが限界だった。
「……どうすれば」
「何があったです?」
騒ぎが気になったのか、クリアが荷台までやってきた。
「晶隷化が始まってるです」
「晶隷化?」
「クリステラが滅んだ原因です。このままじゃ死んで、奴の奴隷になるです」
「治療法は!?」
焦りから問いただすかのような強い口調になってしまった。
少し落ち着こう。
「まだ初期症状だから、薬を投与すればどうにかなるですよ」
「これじゃあ駄目なの?」
ハイポーションが入った瓶をクリアに示す。
「ポーションですね。それじゃあ、その場しのぎにしかなりませんです」
クリアはポーションの存在を知っているみたいだ。
「君の時は効いたんだけど?」
「クリステラ人は少しだけ晶隷化の抗体を持っているです。それのおかげです。でも、クリアも症状が出ていないだけです。完治はしてませんです」
「それじゃあいずれ君も?」
「ハイです」
だとしたら、僕はなんてことをしてしまったんだ。
眠りを覚まさなければ良かった。僕がロボットが欲しいという欲望に流されたせいだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,342
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる