上 下
670 / 816
星海から訪れる侵略者

線路の続く先 前編

しおりを挟む
「この子たちがそんな危険な生き物だったなんてね」
「ぴぎゅ」「ぴにゃ」
「こんな可愛いのに」

 アウラさんは二匹を抱き上げる。
女の子好きのピギは勿論、ピュニアも彼女に甘えていた。
アウラさんは二匹を排除する必要を感じていないみたいだ。


「彼らが暴走する可能性は?」
「ここまで成長すればもう大丈夫らしいです。過剰なストレスを与えたらどうなるか分かりませんけど」

 ヴェルリーナさんは二匹の愛嬌に惑わされてはしない。
彼女を納得させるために、何処からか送信されてきたピギたちの生態を解説した動画と僕らが記録したピギのデータをモニターに表示させる。


「彼らはどうやって増えてるの?」
「ズールは母体となるマザーがいました。Zも同種なので、同じくマザーがいるんだと思います。ねぇ?ピギ」
「ぴぎぃ!」

 僕の推論をピギも肯定する。
同種ゆえにマザーの存在を感じ取ることができるのかもしれない。


「だったら、問題になるのは母体の場所ね。検討を付けるのは簡単でしょ。すぐにできる?」
「はい。やってみます」

 奴らが撤退しようとした方角。
モンスターの死骸が運ばれていった方角。
 その二つを延ばしていく。大陸中央部まで延びていた。
線は同一地点に収束していく。


 そこは何もない荒野だった。
地図によると、木々などもなく、線路などの人工物もないらしい。
近くにセントラルステーションがあるぐらいしか特徴はない。

「ここは確か………」

 アウラさんたちダァン組は何か知っているらしい。

「アウラさん、ここって隕石の?」
「ええ。隕石落下地点よ」

 マルヴェちゃんの問いを、アウラさんが肯定した。


 僕も隕石が落下していたことは知っていたが、詳しい座標までは知らなかった。

「ここの衛星写真出せる?」
「やってみますけど、期待しないでください」

 ベース22に指示を送り、写真を撮らせる。
ベース22の移動は済ませてある。すぐに送られてくるだろう。


 5分後、写真がマイグラントまで転送されてきた。
案の定、何も写っていない。
 写っているのは隕石落下で生じた土煙だけだ。

「もしかしたら、土煙はZが発生させてるかも。隕石落下は一ヶ月以上前よ。雨はほとんど降ってないけど、ちょっと不自然じゃないかな?」

 衛星軌道上からの敵を警戒していたのかもしれない。
だとするなら、相当な知能を所持している。
そこまで驚きはない。ズールも高い知能を所持していたし。



●●●お知らせ●●●
Twitchにて作業配信してます。
もうちょっと時間が掛かるので、完成している分だけ投稿します。
この後も引き続き配信しながら、執筆してます。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,883pt お気に入り:14

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,627pt お気に入り:139

元邪神って本当ですか!? 万能ギルド職員の業務日誌

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,024pt お気に入り:10,938

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:1,689pt お気に入り:2,625

悪役令嬢に転生しただけで、どうしてこんなことに?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:631pt お気に入り:332

ロマンドール

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:3,920pt お気に入り:25

処理中です...