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星海から訪れる侵略者

壁を打ち破るために

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 討伐軍から光の壁の情報が届いた。
ボナさんはちょっと電話を掛けるだけなのに。凄い影響力だ。

「やっぱりそうだ」
「何かわかったのか?」
「はい。とんでもなくまずいことが。討伐軍の動きを止められますか?このままじゃ滅びます」
「そこまでか」
「はい。そこまでの事態です」
「分かった。どうにかしてみよう」

 本当に止められるかどうか分からない。
ボナさんを信じよう。無理だったら、全てを見捨てて逃げるしかなくなる。


 Zは複数の耐性を所持していた。何者かと戦闘を繰り広げ、獲得したと考えられる。
耐性どころかその何者かの技術も獲得している。
エネルギーシールドを自力で編み出した可能性もあるけど、奪ったと考えていいと思う。
 僕らの他にもエネルギーシールドを実用化に成功した文明があるようだ。
そんなに不思議じゃない。イドでもレオブレイブスが研究していた。
他の星でも研究が進められていても、おかしいことではない。


◇討伐軍総司令官視点

 あの光の壁がある限り、セントラルステーションへ近づけない。
うちの技術者に分析を命じたが、判明したことは僅か。
 あの壁はエネルギーを半物質化させた壁らしい。
途轍もない強度を保有しており、こちらの集中砲火を受けても、ビクともしなかった。
あれを破るにはさらに火力が必要になる。


「飛行船の準備完了しました」

 蒸気飛行船を用い、空爆。
それと同時に地上部隊からも砲撃を再開する。
これだけの火力を撃ち込めば、あの光の壁も打ち崩せるはず。


『予定高度まで到達。何時でも投下できます』
「よし。空爆開」
「お待ちください!」
「どうした?」
「本部から入電。作戦を中止し、帰投せよ。とのことです」

 ここまできて?
本部は何を考えてるのだ。


「どうしますか?」

 討伐軍の全権は私にある。攻撃を強行することもできる。
私に期待の眼差しが集中するのを感じた。 


「作戦中止!飛行船も帰還せよ!」
「…………了解!」

 期待が不満に変化したのを感じる。
本部に屈したわけじゃない。ここは退くべきだと第六感が囁いたのだ。




◇スワロ視点

 作戦中止の進言は無事に通った。
怖いんだけど。ボナさんの影響力は凄すぎ。
 討伐軍本部へ出頭を命じられた。
作戦中止の根拠を説明するように求められたのだ。

 
 案内されたのは法廷のような講堂だ。その中央に立たされる。
ダァンのお偉いさんが僕を見下ろしている
まるで裁判を受ける被告人のようだ。


「作戦中止は君からの進言だったと聞いた。何か理由があるのだろう?」
「勿論です」
「では、説明を頼む」
「光の壁、エネルギーシールドと僕らは呼んでます。僕のことはエネルギーシールドの技術者だと思ってください」

 講堂のスクリーンにセントラルステーションを覆う光の壁の映像を表示させた。


「エネルギーシールドというのは安定化させるのがとても難しい技術なんです。僕も苦労しました」

 かつて、僕が起こしたエネルギーシールドの暴発事故の模様をスクリーンに表示させる。

「見た限りZが展開したエネルギーシールドには揺らぎがあります。安定化してない証拠です」
「強引に壊すとどうなる?」
「行き場を失ったエネルギーは暴発します。この規模のエネルギーシールドですから、少なく見積もってもこれぐらいは巻き込まれます」

 予測される衝撃波の規模は広大だ。
計算の結果、大陸の三分の二は衝撃波の影響範囲に入っている。
衝撃波はシールド内部にも行き渡るためZにも届くけど、外部の人間もタダじゃ済まない。文明は崩壊するだろう。


「八方塞がりではないか」
「手はあります」

 スクリーンにフィストの表示させる。

「これは?」
「簡単に説明すると、エネルギーシールド干渉装置です。これを使用すれば、シールドを中和できると思います」
「思う?」
「理論上は、ということです」

 攻性防壁の展開できるが、中和は機能にない。
安定しているエネルギーシールドの中和は難しいけど、不安定な物なら中和できるはずだ。


「そんなのに頼らないといけないなんて」
「では、他に打つ手はあるのか?」

 フィストを使うかどうかで上層部の人間の意見が割れる。
意思の統一に時間は掛からなかった。


「干渉装置の説明をしてくれ」
「装置の起動から中和まで大体15分必要です」
「つまり、それまでの間、装置を死守しなければならないのだな」
「はい」

 中和している間、Zが大人しくしてくれるとは思えない。
何かしらの行動をしてくるはずだ。



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