コスモス・リバイブ・オンライン

星海から訪れる侵略者

戦いのあと

　Ｚ襲来から約一か月。
ダァンは少しづつ平穏を取り戻しつつある。
ただ完全に復興するにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
　そもそも、ダァンはＺが出現前、十二邪将寅の傷跡も癒えていない状況だった。
Ｚ襲来はまさに泣きっ面に蜂だった。


　二つの災厄がダァンに与えた被害は甚大だ。
このまま手をこまねいていたら、衰退してもおかしくない。
　でも、僕が心配しなくても大丈夫だと思う。
ダァンの上層部も無能じゃない。彼らが何かしらの手を打つだろう。


　特に問題になっているのは機関車の不足だ。
対Ｚ戦で民間用の機関車もマザーへ突撃させたため、動かせる機関車の総数が半数以下になっているらしい。
　機関車はダァンの物流の要。
多数の機関車が動けなくなってしまったことで、物流が停滞。一部の駅では物資が不足し始めている。


　引退した機関車も動員することで、多少マシになっているけど、焼け石に水だった。
完全回復には戦場に散乱する機関車を回収し、修理する必要がある。
回収も修理もすぐに終わることじゃない。
　なので、マイグラントとコウノトリで一時的に物流を支援することになった。
たった二隻しかないので、ダァン全域をカバーすることはできない。
　けど、空輸だから、その輸送スピードは鉄道以上。
食糧不足などの緊急事態は未然に防ぐことができた。


　あとＺ討伐の報酬。
様々な物を獲得することができた。
　まずはクエスト達成報酬。
今回のクエスト報酬は個々の活躍にかかわず、全員が一律の報酬を与えられていた。
クエスト報酬の良さから考えると、全員に最高の物を与えてる感じだ。
Ｚ討伐はどれほど高難易度クエストに設定されたのか気になるモノだ。


　いつものようにＳＰＰ、そしてデバイスの機能解放もされた。
今回はそれだけじゃなく、クランポイントも入手することができた。
　それと称号。

【救星主の卵】
　
　その効果はこれまで得た称号の中でも破格の物だった。
この称号はオンオフが可能なアクティブスキルのような物だ。
　救星主の卵、略して救星と呼ぶことにした。
救星はＮＰＣでも使用可能、ヴィニアちゃんも使うことができた。


　救星の効果はプラネットスキルの強化。
プラネットスキルの効果を一時的にパワーアップすることができる。
　アクティブ型プラネットスキル、パッシブ型プラネットスキルのどっちも強化が可能。
ウラノスが超集中で試すと、本当に自分以外が止まったように見えたらしい。
　僕が起動してみると、至高の肉体がパワーアップ、常時を遥かに超えるほどの生命力が溢れ出した。
試しに大サイズのライフクリスタルに生命力を吸わせても、倒れることはなかった。


　救星主の卵の表示の横に数字が書かれている。
僕らは２だけど、１の者もいるそうだ。
　掲示板で調べると、十二邪将討伐に参加していない者は１なのだそうだ。
２と１では強化率が違うらしい。当然２の方が上だ。
おそらく、星を滅ぼしかねないモンスターを討伐すると数字が加算されていくんだろう。


　救星にはデメリットがある。
パッシブ型の場合、効果時間が切れると、プラネットスキルが一時的に使用不能になってしまう。
アクティブ型だと、クールタイムが長くなるそうだ。


　至高の肉体がなくなったら、一般人並の身体能力になると思っていたんだけど、どうやら、そうではないみたい。
たしかに弱くはなっているけど、それでも十分強い。スチール缶ぐらいなら握力で握り潰すことができた。
　僕の身体能力はプラネットスキルなしでも普通じゃないらしい。
パッシブ型のプラネットスキル持ちは同じようなことが起きるようだ。
ユラさんも空の心がなくなっても、ある程度の空間認識能力を維持していた。


　クエスト報酬にはアイテムもあった。
巳やお祭りの時みたいにギフトボックス制で、リストから好きな物を選べた。
選択可能アイテムは十二邪将の時と代り映えしなかった。


　ゲームシステムで入手できた報酬は以上。
これだけでも十分な戦果だと思うが、ダァン上層部から貰える報酬が別にあった。
　事前に欲しい物をリストアップして、実際の交渉はアウラさんとボナさんに丸投げした。
結果だけいうと、交渉は無事成功。さすが。