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新章:???(ネタバレ防止)

対クラウドガーゴイル

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 雲の放出がようやく止まった。
体積が半分程度まで小さくなっている。
さっきの攻撃で雲を大量に吐き出したからだ。
次にやってくる行動は予想できる。


 ガーゴイルは大口を開けると、雲を吸い込み始めた。
クラウドモンスターは雲を取り込むことで自己再生する能力を有している。
 ガーゴイルも例外ではないみたいだ。
雲を取り込むことで失った体積を回復させるつもりらしい。


 その吸引力はすさまじい。
フレスヴェルグも吸い寄せられそうだ。
これまで遭遇してきたクラウドモンスターの中でも一番の吸引力だった。


「それを待っていた」

 ハンドグレネードを投げつける。
その数は四つ。適当に投げたため、狙いは甘い。ガーゴイルから大きく逸れたグレネードもある。
 でも、大丈夫。
雲と一緒にグレネードがモンスターの体内に吸い込まれていく。


 吸引による回復は厄介な能力だけど、これは一つの弱点を生む。
雲と一緒に手榴弾のような爆発物を飲み込ませることで、モンスターの内部を攻撃できるのだ。
小型のクラウドモンスターならこれで倒せる。
このサイズのクラウドモンスター相手だとさすがに一撃では倒せないけど、それなりのダメージを与えられるはずだ。


 呑み込まれたハンドグレネードは起爆。
口と腕の砲門から爆風が漏れ出していた。
 爆風はガーゴイルの体を内側から押し広げ、その体を風船のように膨らませた。
あの状態じゃまともに動くことはできないだろう。
パイルガンも弾く伸縮性が仇になったみたいだ。


 今がチャンス。
態勢を立て直すと同時に作戦を考える。
 パイルガンは効果なし。
ハンドグレネード四発の同時起爆でも倒せなかった。
残弾はまだあるけど、それを全て使っても撃破は難しいと思う。


 ガーゴイルを倒せる可能性があるのはウィングブレードだけだ。
別の兵装も残っているけど、ウィングブレードのような決定力はない。
ウィングブレードに賭けるしかない。


 爆風はすでに収まっているはず。
しかし、ガーゴイルの体はしぼむ様子はない。
よく見ると、薄らとピンク色に変色している。
 ガーゴイルはアンチクラウドミストに汚染された雲も取り込んでいた。
しぼまないのはその影響だと思う。


 アンチクラウドミストはクラウドモンスターにも有効。
この事実は突破口になりえる。

「陸!」
「すでにやってます!」

 ミストをモンスターに重点的に浴びせかける。
ガーゴイルの体がミストに侵され、ピンク色に染まっていく。


「これなら!」

 再びパイルガンを撃ち込む。
今度は弾かれずにガーゴイルに突き刺さった。
 アンチクラウドミストは雲を硬化させる。
そのせいで弾力性が失われたみたいだ。


 予備のパイルガンも取り出し、乱射する。ガーゴイルの体は少しづつ削っていく。

「アリエルドライブ最大出力。終わらせる!」

 今のガーゴイルは身動きが取れる状況にない。
接近しても、反撃される危険は少ない。


 まだなにか持っているかもしれないけど、これ以上戦闘を長引かせるのはまずい。
増援のクラウドモンスターが出現する危険がある。
 ガーゴイル単体でも苦戦するのだ。
たとえそれがガーゴイルよりも弱い種類だったとしても、複数を相手取るなんてできない。


 ウィングブレードを展開、最高速度まで一気に加速する。
ウィングブレードがガーゴイルの右腕を斬り落とした。

「まだだよ!」

 すぐさま機体を反転させ、再び斬りつける。
アリエルドライブなら僅かな距離で旋回できる。


 突如、コックピットに警告音が鳴り響いた。

「おっと、切り忘れてた」

 機体に異常が発生したんじゃなくて、生命維持システムからの警告だった。
急旋回したことで、強いGが体に襲い掛かっていたらしい。
僕にそんなもの関係ない。警告音をミュートにし、攻撃を再開する。


 左腕、両脚。
四肢を切り落とし、さらに頭を落とすことにも成功した。
 普通のモンスターならこれで倒せるが、相手はクラウドモンスター。
頭を切り落としても死にはしない。新たな頭が生えてくるだけだ。


 クラウドモンスターの倒し方は単純。
彼らの体を構成する雲を削ればいい。
種類によって異なるけど、耐久力が高い種でも半分程度削れば、撃破することができる。
 ただガーゴイルは雲の放出によって、かなりの雲を失ったはず。
だけど、クラウドガーゴイルは依然健在。
クラウドガーゴイルの耐久力はこれまで発見された種類よりも上みたいだ。

  
 旋回を幾度となく繰り返し、ガーゴイルの体を削っていく。
時折、雲の砲弾を飛ばしてくるけど、注意していれば回避は容易だ。
ガーゴイルはその巨体の三分の二ほどを失っている。しかし、まだ倒れない。
 頭を落とすこと四度。
ようやくガーゴイルは崩れ落ちた。
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