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新章:???(ネタバレ防止)
ガルガディア
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「あの、そもそもの話なんですけど?」
「この人ってどんな人なんですか?」
「知らないの?」
「統合軍のトップってことぐらいしか。どうせ関わることないと思っていたので、調べてないです」
ルイ君に元皇太子のことを説明しておく。
僕としても情報を整理する良い機会だ。
元皇太子、名前はたしかガルガディア。先々王の息子、第二王子だった人物だ。
今はガルガディア・シルイーン・クインシフを名乗っているらしい。
王位継承権第一位を持っていた第一王子が亡くなったことで皇太子となった。
第一王子の死に関しては第二王子の関与が疑われているが証拠はない。
イントリアを壊滅させた責で継承権を剥奪、王家から除名された。
統治者として高い能力を持ち、廃嫡前は多くの支持者がいたらしい。
ルイ君が感じたように、人を従えるカリスマ性を持っていたそうだ。
性格については人伝なので、確かな情報はない。
曰く独善的な性格だったらしい。
目的のためなら手段を選ばない気質を持っていたそうだ。
彼は王家からその名を抹消されているため、シルイーン・クインシフという名を使うことは許されていないはず。
なので、正確にはメルガシアという名になるんじゃないかな。
メルガシア家は彼の母方の家で、元皇太子の最大の支援者だ。
「あの、メルガシア家ってメルガシア大陸と関係ある家なんですか?」
「それも知らないの?あそこの大陸主だよ」
メルガシア家はヴィンディス最大の大陸、メルガシア大陸の大陸主だ。
元皇太子を流刑に処さなかったのは先々代の意向だけど、メルガシア家からの圧力もあったんだと思う。
おそらくガルガディアはこれまでメルガシア家が匿っていたんだろう。
「大陸名は知ってるんですけど、大陸主のことまでは……生きるのに必死だったんですよ!」
「じゃあ大陸主の説明もするよ。統合軍の説明にもなるしね。この様子だと表層のことしか知らないと思うし
」
「はい。お願いします」
知識のなさに少し呆れてしまう。でも、本当は僕の方が異端なのかもしれない。
僕は好きだから調べるけど、大半のプレイヤーは詳しく調べないかも。
「ヴィンディスには七つの大陸があるんだけど、これは知ってるよね?」
「はい、行ったことある場所もあるので」
「当然、大陸主も七家ある。土地が多いってことはそれだけで力だからね。どの家も強い影響力があるんだ。そして、全ての大陸主は元皇太子派、もしくは中立派なんだよ」
「女王派はいないんですか?」
「いないよ。中立派の中には女王寄りの家もあるけどね」
「でも、どうして?」
「色んな理由があるけど、大きな要因の一つはシルフィードの存在だね」
「シルフィードってあれですよね。ヴィンディス最強の」
「そう、あれ。現王家はシルフィードの破棄を求めてるんだよ」
今の女王は巫女だ。
シルレーラとの和解を求めている。それにシルフィードという存在は邪魔なのだ。
「空魔とかモンスターとやり合うにはシルフィードが必須ですよね。なんで破棄を求めるんですか?」
「あっ、そこからか」
ルイ君はシルレーラと空魔の違いを知らないようだ。
これは彼の勉強不足じゃない。この情報を知るのはヴィンディスで限られた人間だけだし。
この話は大陸主によって徹底的に隠匿されてきた。
歴代の王の中には事実を公表しようとしたものもいたらしいが、みな非業の死を遂げている。
謀殺されたのだ。
でも、もう事が始まっている。いずれ女王は真実を公表するだろう。
ここで洩らしても問題ないだろう。
「つまり大陸主って戦友を裏切った人の末裔なんですか?」
「そういうことだね」
「酷い」
「当時は今みたいにファルシュのような完全な戦闘用ロボットはなかったからね。モンスターの脅威に対抗するために力が欲しかったのかもね」
「でも、こんなのってないですよ!」
「はいはい。分かったから。落ち着いて」
現在もシルフィードを手放していないのはシルフィードがヴィンディスの力の象徴だから。
シルフィードを所有していることが彼らの権威を高めている背景があるのだ。
そんな彼らにとって、シルフィード廃棄を求める女王は邪魔者でしかない。
ガルガディアにつくのも不思議な事ではない。
ガルガディアは元王家。当然シルレーラの真実を知っている。
にもかかわらず、シルレーラ討伐を計画した。おそらく彼はシルフィードを破棄するつもりはないんだと思う。
「この人ってどんな人なんですか?」
「知らないの?」
「統合軍のトップってことぐらいしか。どうせ関わることないと思っていたので、調べてないです」
ルイ君に元皇太子のことを説明しておく。
僕としても情報を整理する良い機会だ。
元皇太子、名前はたしかガルガディア。先々王の息子、第二王子だった人物だ。
今はガルガディア・シルイーン・クインシフを名乗っているらしい。
王位継承権第一位を持っていた第一王子が亡くなったことで皇太子となった。
第一王子の死に関しては第二王子の関与が疑われているが証拠はない。
イントリアを壊滅させた責で継承権を剥奪、王家から除名された。
統治者として高い能力を持ち、廃嫡前は多くの支持者がいたらしい。
ルイ君が感じたように、人を従えるカリスマ性を持っていたそうだ。
性格については人伝なので、確かな情報はない。
曰く独善的な性格だったらしい。
目的のためなら手段を選ばない気質を持っていたそうだ。
彼は王家からその名を抹消されているため、シルイーン・クインシフという名を使うことは許されていないはず。
なので、正確にはメルガシアという名になるんじゃないかな。
メルガシア家は彼の母方の家で、元皇太子の最大の支援者だ。
「あの、メルガシア家ってメルガシア大陸と関係ある家なんですか?」
「それも知らないの?あそこの大陸主だよ」
メルガシア家はヴィンディス最大の大陸、メルガシア大陸の大陸主だ。
元皇太子を流刑に処さなかったのは先々代の意向だけど、メルガシア家からの圧力もあったんだと思う。
おそらくガルガディアはこれまでメルガシア家が匿っていたんだろう。
「大陸名は知ってるんですけど、大陸主のことまでは……生きるのに必死だったんですよ!」
「じゃあ大陸主の説明もするよ。統合軍の説明にもなるしね。この様子だと表層のことしか知らないと思うし
」
「はい。お願いします」
知識のなさに少し呆れてしまう。でも、本当は僕の方が異端なのかもしれない。
僕は好きだから調べるけど、大半のプレイヤーは詳しく調べないかも。
「ヴィンディスには七つの大陸があるんだけど、これは知ってるよね?」
「はい、行ったことある場所もあるので」
「当然、大陸主も七家ある。土地が多いってことはそれだけで力だからね。どの家も強い影響力があるんだ。そして、全ての大陸主は元皇太子派、もしくは中立派なんだよ」
「女王派はいないんですか?」
「いないよ。中立派の中には女王寄りの家もあるけどね」
「でも、どうして?」
「色んな理由があるけど、大きな要因の一つはシルフィードの存在だね」
「シルフィードってあれですよね。ヴィンディス最強の」
「そう、あれ。現王家はシルフィードの破棄を求めてるんだよ」
今の女王は巫女だ。
シルレーラとの和解を求めている。それにシルフィードという存在は邪魔なのだ。
「空魔とかモンスターとやり合うにはシルフィードが必須ですよね。なんで破棄を求めるんですか?」
「あっ、そこからか」
ルイ君はシルレーラと空魔の違いを知らないようだ。
これは彼の勉強不足じゃない。この情報を知るのはヴィンディスで限られた人間だけだし。
この話は大陸主によって徹底的に隠匿されてきた。
歴代の王の中には事実を公表しようとしたものもいたらしいが、みな非業の死を遂げている。
謀殺されたのだ。
でも、もう事が始まっている。いずれ女王は真実を公表するだろう。
ここで洩らしても問題ないだろう。
「つまり大陸主って戦友を裏切った人の末裔なんですか?」
「そういうことだね」
「酷い」
「当時は今みたいにファルシュのような完全な戦闘用ロボットはなかったからね。モンスターの脅威に対抗するために力が欲しかったのかもね」
「でも、こんなのってないですよ!」
「はいはい。分かったから。落ち着いて」
現在もシルフィードを手放していないのはシルフィードがヴィンディスの力の象徴だから。
シルフィードを所有していることが彼らの権威を高めている背景があるのだ。
そんな彼らにとって、シルフィード廃棄を求める女王は邪魔者でしかない。
ガルガディアにつくのも不思議な事ではない。
ガルガディアは元王家。当然シルレーラの真実を知っている。
にもかかわらず、シルレーラ討伐を計画した。おそらく彼はシルフィードを破棄するつもりはないんだと思う。
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