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ホント、可愛かったすよ~
しおりを挟む「ねぇ」
私に服を着せている下僕に疑問をぶつけた。
ちなみに今着せられている服もどこから調達してきたのか分からない、清潔な白いワンピースだった。
「途中で放っぽり出して好きなように生きたら良かったのに、何で足枷にしかならない私を連れてここまで逃げてきたの?それ以前に、半魔のアンタならもっともっと前に奴隷なんかに甘んじてないで逃げる機会があったでしょ」
ただやりたいだけなら、ここまで来る必要もなかったはずだ。
途中でヤルだけヤッて、ヤリ捨てることもできたはずだ。
手枷足枷なんか、自分で破壊するくらいの力はある。
現に、私のところに来た時には自力で破壊していた。
「俺達の大切な主人は、今でもお嬢様と亡き奥方様と思っていますから」
下僕は、気持ち悪いくらい優しい顔で私を見た。
「私と、ママ?」
「奥方様が公爵家を取り仕切っていた時は、本当に生きやすく、働きやすい環境でした。俺達は、普通の人間として過ごさせてもらっていました」
「ママの生まれ育った国には奴隷制度がなかったってのもあるけど、あの人達は、矜持と教養をどこかに忘れてきていたからね。てか、人間としてって、あんたは半魔でしょ。魔族でしょ。人間を恨むものじゃないの?」
下僕のくせに、恩を感じていたわけだ。
「それに、お嬢様は口は悪いですけど、奥方様と同じで俺達を大事にしてくれていました。知ってますか?美少女にいくら罵られても、そっち系の男を喜ばすだけなんすよ」
「いや、気持ち悪いから、今すぐ私から離れて」
ヘラヘラ笑ってる下僕が、鬱陶しい。
「公爵家の旦那とその愛人親子が来てから、お嬢様は歯を食いしばって耐えていましたね。誰にも助けを求めずに。あの時、初めて俺に、助けてと……それはもう、全力で応えようと思いますよ。他ならぬ、美少女の頼みですからね」
「鼻の下伸ばして言っても、胡散臭いだけだけど」
「涙目で怯えていたお嬢様、可愛かったっすよ~」
「忘れて。今すぐ。忘れないなら、脳みそ掻き出す」
「あ、食事もせずに毒抜きヤッてたから、お腹すいていますよね?ちょっと待っててくださいね。白湯はここに置いておきますんで」
まだ話の途中だったのに、どこから出したのか考えたくも無い毛布を私にかけると、下僕は森の奥へ消えていった。
途端に、周囲は静かになって、心細さが増していた。
それを紛らわすように毛布を頭からすっぽりと被って、横向きに寝る。
ガイが隠れていたあの場から連れ出してくれたけど、国を出た直後にノートンからの追手がきて、あいつら、躊躇なく毒を塗り込んだ矢を放ってきた。
それで、あの時逃げ込んだ場所がここだったってわけだ。
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