魔王の息子に転生したけどアイドルを愛でたくて妹に全部押し付けてみたのだが……【R18】

縁(えにし)

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7.草葉の陰から

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 お二人に見送られて、本来の目的地に向かっていた。

 姉の足取りが途絶えたとされる場所へ。

 そこは、魔族が支配する土地となる領域となるはずなのだけど……

「この先がもう魔の森になるんだ……」

 禍々しい森を想像していたのに、そこは緑が映える、心落ち着く場所だった。

 サワサワと木々の揺れる音が心地良い。

 場所を間違えたのかとも思ってしまうけど、この先は確かに魔族が住む森だ。

 どこまで行くべきか。

 あまり奥深くに入って魔族に遭遇しては、戦闘能力の低い私では対処できない。

 走って引き返せる距離ほどで様子を見てみて、あとはここの冒険者ギルド近くで話を聞いてみるしかない。

 そう決めて、森の中に足を踏みいれようとしていたら、

「お前、そこで何をしている!」

 そんな怒声と共に、兵士に囲まれていた。

「お前、獣人か?」

「おい、この前の奴らの残党じゃないのか?」

「捕まえろ!」

 何、いきなり!?

 いくら私が獣人と言えど、ここまで問答無用に拘束されそうになるのは、明らかに異常だった。

 四方を囲まれて、逃げることもできずに立ち尽くし、これからどんな目に遭うのかと恐怖した。

 考えが甘かった。

 ただ獣人というだけで、まともな扱いはされないことは、よく知っていたはずだったのに。

 男性達に睨みつけられ、緊張を強いられ、恐怖がさらに増した。

 緊迫した空気の中、


「待て待て待て待て!」


 そんな声がしたかと思うと、私の視界を大きな背中が塞いでいた。

 その見上げるような、私達の間に割って入ってきたその人は、ベレトさんだった。

「この子は、数日前にうちの妹が捕まえた連中とは無関係だ。むしろ、協力者なんだ」

「ウィーナー伯爵家のっ………」

 ベレトさんの顔を見た兵士達は、すぐに武器を下げていた。

「では、身元の保証はお任せしてよろしいでしょうか?」

「ああ、手間をかけたな。お勤めご苦労さん」

 ベレトさんが登場しただけで、呆気なく兵士達は引いていく。

 彼らに手を振って見送り、そして私に向き直ったベレトさんは、

「大丈夫か?」 

 心配そうに手を差し出してくれていた。

 その温かい声に、緊張が緩んで腰が抜けそうになる。

「悪いな。先日、獣人の傭兵がらみでちょっとした騒動があって、魔の森近くはピリピリしてるんだ」

「あ、いえ、あの、ありがとうございます……でも、どうして……」

 動揺が治らずに、何とか声を捻り出していた。

「ちょっと、やっぱり気になって、少しだけ様子を見守るつもりでいたんだが、こんな事に、いや、むしろうちの領地の問題に巻き込んですまなかった」

 うちの領地って、

「伯爵家って、貴族の方だったのですか?」

「ああ、まぁ……」

 さっき滞在した場所は、確かに大きな御屋敷だったけど……

「すみません、私、教養がないので、失礼なことをしてしまっていたら……」

 慌てて、頭を下げる。

 でも、さらに慌てたのはベレトさんの方だった。

「あああ、俺相手にそんなことを気にしないでくれ!俺なんか、学校にも行ってないニートなんだから!」

 にーと?とは聞き慣れない言葉だったけど、顔を上げると困り顔のベレトさんの顔を捉えることができた。

「迷惑かけたお詫びに、ライラの人探しを手伝うから、思う存分俺をこき使ってくれ!」

 何だかこじ付けのような申し出だったけど、助けてもらった以上、断るのも逆に失礼かと思って、

「ベレトさんのお力を借りたいと思います。よろしくお願いします」

 そう、答えていた。

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